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金髪

憑き物「ぐへへ。暗い気持ちになって、気分転換できずに線路に飛び込んで死ねい。そういう気持ちで四六時中いやがれ。俺はずっとお前のすぐ側にいるからな。げへへへへ。」

なんだか嫌な感じがずっと続いていた。こういう憑き物がいた感じだった。気分転換しようと思った。今年入ってすぐのことだ。人生で初めて金髪にしたのだ。こんなことで何か変わるのかとも思うけれど、気持ちは明るくなった。

1月の7か8日くらいだと思う。なんだかしょぼくれていた僕に妻が「髪の毛を染めてみたら?」と勧めてきた。二つ返事で承諾し美容院へさっそく向かった。

サッカーの本田圭佑みたいな金髪が良かったので、2回染めをしなければならなかった。1回目の染めではわかりやすいド金髪にしっかりしなくちゃダメで、それは田舎の調子乗った10代が自分で染めた感じというか、埼玉とか千葉にいそうな中途半端なチンピラ臭しかしなかった。

でも、この工程を辿らないと、青や赤、銀や少しオシャレな金髪などの、いい感じの色には染められないというのを初めて知った。しなくちゃならないやつなのだ。

それで、地方都市のチンピラ風のイモい金髪の上から、少し外国人ぽい金髪の毛染めをしていく。これが2回目の染めだ。カッコよくなるのかな?ドキドキ。その後、シャンプーして髪を流し、金髪に変身した自分を確認。ええやん!!おしゃれさん!!本田やん。(バンドのメンバーにはたけし軍団の下っ端とか、高須クリニックの高須医院長やらボロクソ言われたが、間違えてない気もして何も言えない。)

そういえば、美容師さんに「仕事などは大丈夫ですか?」と聞かれた。別にバイトとかも大丈夫やろ、と思い「大丈夫ですよ。」と答えた。あほか。覚悟できてなかったのではないか。世間は厳しい。ちょげた髪色の専業主夫のおじさんなどバイトで受かるとでも思っていたのか?(その後、バイトの面接に行くと、食品衛生上の理由でダメと言われたり、髪色は自由で大丈夫ですよと言われても普通に落とされた。)。

まあまあ、あとあとのことはいいとして、気分転換できてるんるんして帰ってきた。髪色を染めるのも楽しいのは分かった。が、でもだ。染めてだいたい一か月経った今は、あっさりと黒に戻した。バイトが受からないのは死活問題だ。グッバイ金髪!!憑き物がまた復活しないか心配ではあるが、大丈夫だろう。


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