箱
そこは周りを白い壁で囲まれた何もない部屋だった。
天井も白色、床も白色。
周りは白色一色だ。
君は周りが白色一色の空間に囲まれたことがあるだろうか。
距離感がつかめなく、どこまでも続いてる気がするし、目の前までしか空間がないような気もする。
数歩だけ歩いてみると、ゴンと頭がぶつかる。
意外と硬い壁に涙が出そうになる。
狭いな。
壁を手で触れてみると、金属を触っているみたいにひんやりとしていた。
コンコンと壁を叩いてみると、意外と軽い音がした。
結構薄い。
「誰か聞こえますかー」
少し大きめな声で、叫んでみるが外から反応はない。
誰もいないのだろうか。
壁に耳を押し当ててみると、ゴソゴソとする物音や人の話す声がかすかに聞こえた。
やっぱり人はいるんだ。
「誰か聞こえますかー」
今度はさっきより大きな声で叫んでみる。
しかし、いくらたっても外からの反応はない。
僕の声は聞こえてないんだろうか。
そもそも、周りにこんな謎の空間があったら誰だって変だと気付くだろう。
だんだん疑問に感じ始める。
最初から僕の姿は箱で覆われたように誰からも見えなくて、自分の声は誰にも届かないんじゃないかと。
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