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栃木県庁のデジタルマーケティング、正直ナメてた、と言う話

sembearによる、栃木県でのデジタルマーケティング活動に関するウェビナーに参加しました。良かったところやすごいなぁと思ったところを書こうかな、と思ってたんだけど、気づいたら動画が公開されてた。

ともあれ、動画があるので「良かったから1.5倍速でもいいから見てみなよ。以上」でもいいんだけど、それじゃあ話が広がらないので、備忘も兼ねて良かった点をまとめておこうと思いました。
※認識の誤りなどありましたら、ご指摘ください。以下はウェビナー内容を受けての個人的な感想です。

結論:栃木県職員の方々の本気度がステキだと思った

個人的な観測範囲に限った話ですが、一部の地方自治体やJTCのデジタルマーケって「カモ」にされてると思うんですよね。予算とやらなきゃいけないことはたくさんある。でも配属は定期的に循環するから、個々の職員やスタッフにはノウハウが蓄積されない。
ノウハウがない中でチャレンジしなきゃいけない割に減点はとても怖いので、どうしても「権威を持った人が提案した内容に従いました」となるのは仕方のないことだと思うんです。良くないけどね。

でも、栃木県職員の方々は、そういった「人材の流動性」も加味した上で、「自治体と自治体職員すべての未来像」を明確に持ってデジタルマーケティングに取り組んでいる様子が伺えました。
これってすごいことだと思います。という事を以下に書きました。


すごい1:目的とゴールを明確にしている

認知のゴールを明確に定義しているところ

栃木県では、デジタルマーケティングを実践している「デジタル戦略課」の前身組織である「デジタル戦略室」時代に、ブランディング推進方針として、「栃木ファン」の定義をしたそうです(以下はうろ覚え)。

  • 栃木県について好意的に情報収集やSNSで拡散してくれる人

  • 県産品の購入や観光旅行で何度も訪れてくれる人

  • 栃木に住み続けてくれる人

いや、「こんな定義はやって当たり前やろ」という声も聞こえてきそうです。ですが、運用型広告にズッポリだと「認知施策をやろう」と宣言した時にこの辺の「どういった認知の人を増やしたいのか」があやふやになってることってありませんか?
上記の3定義って資料上は特に明記されてなかったんですが、スピーカーの方がスラスラと紹介されてたんですね。それだけ「どんな認知を獲得したいのか」が体に染み付いてる。それだけ、本気で「栃木を好きになってほしい(ブランディングしたい)」ってことなのかな、と感じました。

各施策のKPI設計に取り組んでいるところ

最終的なゴールに到達するには、小さな施策の積み上げが欠かせないわけですが、その中でさらりと「仕様策定の段階で、運用会社とすり合わせながらKPI設計やシミュレーション作成をしている」とおっしゃるわけですよ。これも「当たり前」なことではありますが、KPIやシミュレーションの作成には

  • ゴールを明確にすること

  • 効果計測の環境構築

  • レポートの読解

が不可欠なわけですが、これを「自治体の職員の方」がやってるわけです。そして、能動的に試作設計や評価に関わっていく体験を通して、さらに施策の改善に向けた前向きな取り組みが増やせてるそうです。
曰く、「楽しくなってきた」と。
もちろん、当初はレポートの読み方もよくわからないし、「なんかいい感じの提案がほしい」といった待ちの姿勢だったそうです。まさに「何ということでしょう!」ですね。

あの頃の俺たちとは一味違うぜ!という感じ

すごい2:組織全体での取り組みの本気度

知事が「やるぞ!」と言った

DXでもマーケでもなんでもですが、どんな組織もどんな施策も、継続性が大事です。そして、継続性にはリーダーシップが大事です。
データ活用施策って世の中にたくさんあります。そして成功への王道ステップとして「小さい成功体験を積み上げて、徐々に広げていきましょう」というものがあります。
でもさ、それって「トップダウンの決断」に比べるとめちゃくちゃ非効率なんですよね。予算のつき方も根回しのハードルも。実際、デジタルマーケティングに関する勉強会を他部署や市町村に向けて展開することや、予算稟議も、そういう「やるぞ!」という空気のおかげか苦労は少なかったそうです。

逆に考えるんだ。「3年ごとに新しい人が来る」んだ!

公務員というのは、どうしても異動が多い組織です。それが一因としてノウハウが蓄積せず、どうしても「カモ」にされやすいです。
でも、栃木県は一味違いました。
「デジタルマーケティングの力なんて、どうせ全員が持ってなきゃいけないんだから、それを前提にカリキュラムを組めばいいのだ」
と割り切りました。そして、栃木県および市町村の職員に対して、レベル別のカリキュラムを用意してじゃんじゃか「経験者」を増やしているそうです。

実際に受講者がどの程度の習熟になっているかとかはあんまり大事じゃないとも思います(もちろん、全員がスーパーマーケターになるのが理想だけど、そんなことは起きない)。
こういうのって「なんか知ってる」とか「やったことある」という事実で、「デジタル」や「マーケティング」に関する忌避感を取り除くことが一番大事だと思うんです。そのきっかけづくりを「全職員に対してやるぞ!」という意気込みに本気度を感じました。
(というか、営利企業だと逆にやりにくいのかもね)

年齢もスキルも業務もみんなバラバラ。でもやる。だからやる。

すごい3:GTMとGAの設定、内製してるんだって

ありとあらゆる検討・意思決定において「できるだけ正しく、網羅的な計測」というはとても大切です。でも、その「計測」ってどれくらい信じられるの?となった時、不安にならない方法は「自分でやる」ことだと思います。

「効果計測」という施策実施のインフラをしっかりと内製されているからこそ、足腰の強い「自信のある施策実施とPDCA」に繋がっているんだろうな、と感じました。

ていうか、GTMやGAを触れない「デジタルマーケティング専業のコンサルタント」ってめちゃ多いし、そういうガチャでハズレを引いた時に進行が滞るリスクも回避できて、一石二鳥ですね。

ちなみに、広告運用のインハウス化まではしていないそうですが、それでいいし、そうするべきだと思います。話すと長くなるけど(めんどくさい)。

インフラの保守・管理は大変

まとめ

いかがでしたか?栃木県では自治体の職員の方々が主体的にデジタルマーケティングに取り組んでいらっしゃるようです。
これからも、栃木県職員の方々のデジタルマーケティング活用に期待したいですね!

詳しくはこちら https://sembear.biz/

。。。何か書くのを忘れてたような、、とぼんやりしていたけど、地方自治体でなぜデジタルマーケティングが重要なのか?ついて触れるのを忘れてた。まぁいいか。


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