最愛の姉への手紙【2】

こんばんは。
筆不精が早速見え隠れしているけれど、とりあえず2通目を書けてよかった。
今日は少しあなたを想う出来事がありました。

今日の生物の授業で、染色体のことを習ったんだ。ヒトの染色体は23組、46本。先生はいつもと変わらぬ調子でそう言ったけど、それが当たり前じゃないことを、おれは知ってたよ。ちゃんと、知ってた。
だって、一本、たった一本余っただけで、そのせいで、人の命はこんなに儚いものになってしまう。
ふぅ、と息を吹きかけたら飛んでいってしまいそうな、写真の中の姉さんの姿を、思い浮かべてたよ。
授業のあと、その鬱々とした気持ちを一人で抱えるのはしんどくて、姉さんのことを知っている友達に、それとなく言ってみた。

47本の人もいるんだよ。
21対目が3本の人とか、18対目が3本ある人もいる。
うちの姉ちゃんの病気がそれだった。

その子はね、こういう話をすると多くの人がおれに向けるような、哀れみとか、困ったような目をしないでくれる。
そっか、染色体の病気だったんだね、と、ただ、受け止めてくれる。重荷を背負わされた、って顔をしないでくれる。
それが一番ありがたかった。ただ聞いてもらえた、って思って、楽になった。
素敵な人でしょう?こういう人がおれのそばにはいるからね、だから、心配しなくていいよ。

アイドル。
我が家の、唯一無二の、偶像アイドル
おれのたった一人のお姫様で、女神様で、かわいい天使。
心を惹きつけて離してくれない。それでいい。
あなたは文字通り天上で、輝き続けていて。
それだけで、確かな道標になるから、偶像アイドルなのでしょう?

姉さんと一緒に生きること。そのためにおれができること。
ずっと考えてるよ。
あなたの小さなきらめきを、なかったことにはさせないからね。

これ以上書いたら、駄文だね。
日付も変わってしまったし、もう寝ようと思います。
おやすみなさい。大好きだよ。

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