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【HEART Global】英語だから伝えられたこと。

ワークショップ最終日。
今日のワークショップはお絵描きから始まった。
クレヨンを握るのなんて何年ぶりだろうか。

テーマは「大切な人」。ライオンキングの演目の練習で思い浮かべた人のことを描いてほしいと言われた。
絵心のない僕は、人を描くのは苦手だ。それに、姉さん自身を描いたって、きっと伝わらない。
僕は、夜空に光るポラリスと、満面のひまわり畑を描いた。

描いたものについてシェアする段になって、僕は発表することを躊躇った。姉さんの話をするのはいつだって苦しく、難しいことだった。しかし、伝えたい、知ってもらいたいと思った。ここまで一緒に練習を頑張ってきたファミリーである受講生たちに、姉さんのことを知っていてほしいと思った。僕が愛し、共に生きる人のことを。

姉について描きました。
僕が生まれる前に亡くなったんですが、
彼女は夏のひまわりのような人で、
僕のポラリス(北極星)です。
会って、愛していると伝えたいです。

そんなことを、まず、英語で話した。
日本語ではきっと、もっと言葉に詰まっただろうと思う。第二言語の英語だったからこそ、ストレートに伝えることができた。
その後、日本語でも同様の内容を話した。一度英語で話したことを日本語で言い直すだけだったから、随分やりやすかった。

その場にいた30人くらいの受講生とキャストたちが、優しく称えてくれた。素敵だと言ってくれた。君の絵が好きだと言ってくれて、姉さんへの思いをこうして絵や言葉にできて良かったと思った。

ショー本番。
歌も踊りも、本気だった。
姉さんが姉さんであること、僕が僕であること、共に生きること。
全力で表現した。
やりきったあとの僕に怖いものなんてなかった。

ショーのあと、昨日の例のキャスト、Mさんにサインを貰いに行った。
ショーの衣装であるTシャツのど真ん中に、大きく書いてくれるよう頼んだ。
どんな言葉でも伝えきれないありがとうを、どうしても伝えたかった。

You are my Hero.

口をついて出たのは英語だった。
日本語で「あなたは僕のヒーローだ」と言うのでは伝わらないニュアンスがそこにはあったように思う。
Mさんは笑って、サインだけでなく、メッセージと、僕の名前まで書いてくれた。
最後にもう一度、本当にありがとう、と言って、ハイタッチをして、お別れをした。

昨日、夜な夜な書いた手紙を、キッズサポーターと呼ばれるボランティアさんに託した。
行動力がすごいね、とKSさんは驚いていたが、違うんです、ただ、救ってもらったからどうしても感謝を伝えたくて、と言った。絶対渡してくださいね、と重々に頼んだ。

そして偶然知ったこと。
Mさんのお名前に入っている漢字と、僕の女性名に入っている漢字が同じだったのだ。
Mさんは、僕の中の、自分らしく生きることへの最後の躊躇いを、女子というしがらみを、引き取ってくれたのだなと、勝手ながら思った。
Mさんの優しい「大丈夫?」の声も、美しい髪も、エネルギッシュなダンスも、忘れたくない。
僕の人生に小さな灯火をくれたMさん。
そのできるだけ多くを、このnoteに書き留めておく。それが今僕にできる唯一のことだ。

素敵な人達に出会って、僕は僕であれたから、このワークショップに参加して、心からよかった。

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