ルマンド

好物はブルボンのルマンド(サクサク感が最高)ドラゴンランス(D&D小説)、ドット絵、ゲーム音楽、吹奏楽(Per)、クラシック音楽(マーラー)、DTM、TRPG(D&D5版、AFF2e、パグマイア)、ゲームブック、アリータ(銃夢)、ヴァイオレット・エヴァーガーデンなども。

ルマンド

好物はブルボンのルマンド(サクサク感が最高)ドラゴンランス(D&D小説)、ドット絵、ゲーム音楽、吹奏楽(Per)、クラシック音楽(マーラー)、DTM、TRPG(D&D5版、AFF2e、パグマイア)、ゲームブック、アリータ(銃夢)、ヴァイオレット・エヴァーガーデンなども。

最近の記事

それはまるで宝石箱のように (3)それはまるで宝石箱のように

「たぶん、この先にあるはずなんじゃが……」沼地(マイア)のぬかるみに足を取られながら、老犬が言った。あたりにはコナラやヤナギなどの、湿地を好む樹木が鬱蒼と生い茂っている。 「あんた、大丈夫か?」老犬は、すぐ後ろを歩いているリトル・シスターを振り返って言った。 「ええ、平気ですわ」リトル・シスターは応える。  老犬は彼女を観察する。沼地に入って半日、彼女の服は沼地の泥でかなり汚れてしまっている。だが、確かに彼女が言うとおり、その足取りに疲れは見られない。  たいしたものだと関心

    • それはまるで宝石箱のように (2)卑劣な罠

       前日のことである。グスタフは開拓団宿舎の自室で、差出人不明の郵便物を受け取った。それは麻ひもで封印された木箱で、なかには手紙と鉄製の仮面が入っている。  手紙にはこう書かれている。 グスタフ殿  貴殿の妻を預かった。返して欲しくば、日没後、同封している仮面を着け、西の共同墓地で待て。  そして、仮面を着けたもうひとりの男が現れたら、これと対決し倒せ。そうすれば、妻を返してやろう。  なお、このことは他言無用である。妻と連絡を取ろうともするな。少しでもそのそぶりを見せれば、

      • それはまるで宝石箱のように (1)リトル・シスター

         彼女には記憶が無かった。自分がどこで生まれ、どのように育ち、生きてきたのかがまるで分からなかった。  彼女の記憶はこの小さな教会から始まっていた。彼女が教会のベッドで目を覚ました時、最初に目に入ったものは、彼女を介抱した教会のシスターの優しげな顔であった。  教会は記憶のない彼女を受け入れた。彼女はシスターを母のように慕い、教会のために働いた。やがて彼女は、教会が信奉する〈ヒト〉の教えについて学ぶようになり、修道女見習いとなった。  教会は、王都パグマイアを取り巻く沼地(マ

        • 護るべきもの (3)秘密の館

           アーロンは夢を見ていた。そしてアーロンには、これが夢であることもわかっていた。  彼はワイマラナー屋敷の前に立っていた。時刻は真夜中。足元には雪が降り積もり、時々雲間から差す月明かりで、淡い光を放っている。  アーロンは屋敷の塀に沿って歩き、やがて屋敷の裏手に辿り着く。そして、付近に犬影がいないことを確認すると、突然、跳躍して塀に飛びつき、あっという間に屋敷の塀を乗り越えてしまう。  屋敷の庭の一画に降り立ったアーロンは、庭を見て愕然とする。庭には、背の高い生け垣が迷路の

          護るべきもの (2)風変わりな貴族

           翌日アーロンは、サウスゲート地区のとある貴族の屋敷を訪ねた。  この地区は王都でも有数の商業地区である。多くの豪商の家が立ち並び、南から入ってくる食料や物資の売り買いが盛んに行われている。  その貴族の屋敷は、それらの商家に連なるようにして建っている。  この日のアーロンは、いつもとは打って変わり、随所に複雑な刺繍が施された派手な服を身に着けていた。その服は、豪商などが好んで着るような服であり、彼もさながら、王都の上流市民といった出で立ちである。  彼は屋敷の門をくぐり、中

          護るべきもの (2)風変わりな貴族

          護るべきもの (1)路地裏

           アーロンは、暗い路地裏に潜み、大通りの反対側にある屋敷を見ていた。 日没後の大通りは、馬車の往来も少なく人影もまばらだ。屋敷のいくつかの窓には灯りがともり、淡い光が大通りを照らしている。  彼がD大公の屋敷を探るよう命令を受けてから、一週間が経とうとしていた。  屋敷の警備は厳重で、昼夜を問わず、屈強な犬たちが屋敷の入口に立ち、周囲を歩きまわっている。  それだけに、名うての〈ラッター〉であるアーロンさえ忍び込むことができず、ただ、屋敷の様子を窺うほかなかったのだ。  路

          護るべきもの (1)路地裏

          沼地から来た男 (3)練兵場

           受付の女性に案内されて地下への階段を下ると、石造りの小部屋にたどり着いた。  そこにはすでに、数名の入団志望者と思われる者たちがおり、試験の開始を待っている。  部屋の四方には円筒形のガラスで包まれた灯りが備え付けられている。それは、グスタフが見たことがない灯りで、オイルランプの何倍もの明るさであった。  壁には、剣や鎧などの装備品が立て掛けられている。 「みんな、そろったようね」部屋中に、さきほどの試験官の声が響きわたる。彼女の姿は見えない。これはおそらく、開拓団が有

          沼地から来た男 (3)練兵場

          沼地から来た男 (2)沼地の農場

           グスタフは、馬に荷をくくりつけ、妻に見送られながら農場を後にした。馬の負担を減らすため、自らも荷を背負っている。荷物の中身は、じゃがいも、豆類、にんじんなどの農作物である。  今日は、これらの農作物を王都の市場へ売りに行く日だ。  グスタフの農場は王都から歩いて半日ほどの沼地にある。農地は、グスタフの祖先が長い年月をかけて沼地を開墾したものであり、彼は成人してすぐに、父母の死去に伴い、この土地を譲り受けていた。  今は妻とふたり、この農場で暮らしている。    王都へは道と

          沼地から来た男 (2)沼地の農場

          沼地から来た男 (1)王都の雨

           その日も雨が降っていた。  グスタフが王都の城門をくぐる頃には、雨はいっそう激しさを増し、彼の身体を容赦なく濡らした。  雨の中であっても、王都の大通りは貨物を運ぶ馬車でごった返している。  ときおり、勢いよく走ってきた荷馬車が、石畳の窪地に溜まった泥水を跳ね上げ、グスタフはいくどとなくその泥水を浴びた。  だが、すでに雨でずぶ濡れの彼は気にすることなく、目的の建物を探して歩みを進める。  かつて農場を営んでいた頃、グスタフは農作物を売りに幾度となく王都の市場を訪れていた。

          沼地から来た男 (1)王都の雨

          はじめに

           TRPGでキャラクターを作成すると、ついついそのキャラクターのバックグラウンドを妄想してしまいがちです。さらにキャラクターを深堀するために小説などを書いてしまうのですが、それらを整理するためにnoteを始めました。