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痛いの痛いのとんでゆけ





「くぅー痛い、痛い、先生この膝
なんとかしてください!
明日は草サッカーの
試合があるんですぅーあー痛ったぁー」

いつも、急患専門の患者さんのSさん

もうこの世の終わりのような顔をして

足をひきずりながら治療室に入ってくる

最初は僕も、Sさんの今すぐ治してほしい

という注文に

この世の終わりのような

気持ちになったりしたものだが

今はちがう

なぜならば

彼から

「痛みにものすごい弱い男」症候群

があることを学んだからだ
(本当はそんなものない!) 


「男だろ、泣くんじゃない」と

親からや社会からかぶらされてきた

ペルソナを

僕としてはもちろん、全肯定はしない

男だって泣いていい

それとはちがって

ある種、ヒゲを生やし、体育会系の

たくましい見た目とは裏腹に

痛みに関してはモーレツに弱い

かよわい小動物のような

いまにも消えてしまいそうな

小さな羽虫のような

そんなギャップを感じさせる

男性の患者さんがけっこういる


「痛み」は脳で増幅する

幻肢痛といって、あるはずのない手や足が

痛いと訴える患者さんの話は有名だ

昨今、だんだんと痛みの治療は

構造から脳へのアプローチへ

シフトチェンジしていってるのだ


さて

「痛いの痛いの飛んでいけ」という

マジックフレーズとマジックハンド

のパワーを知らない人はいないだろう

誰もが子供のころにヒーラーである

お母さんやおばあちゃんなんかに

この魔法をかけられた記憶があるはずだ
(ない人はゴメンナサイ)

声を大にしていうが

これは立派な、痛みへの対処法だ

誰がしてもいいってわけじゃないが

特に母親のもっている子を癒やす

力はすごいから

世の母親はいろんな情報に惑わされず

自分の力に自身をもってもらいたい

「風邪の効用」や、「整体」の創始者

として有名な、野口晴哉さんは

医者よりも勝る

我が子を治そうとする

母親の手のひらの力のことを

深い洞察で書きしるし、実践もした

・・・

舞台を治療室のSさんに戻す

僕の母性的な(!?)鍼灸治療が

聞いているのか

スヤスヤとベッドの上で

寝息を立てている

明日のサッカーの試合はわからないが

近日中に膝が元気になることは

保証する。


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