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"ひとり感"

唐突に、押し寄せてくる"ひとり感"。
手伝ってくれた家族を見送って、最低限必要そうなものをコンビニで揃えて、帰宅して、台所を少し整え、弁当をチンして音楽をつけてひと息つく。段ボールの上で食べようかと思ったけど、ミニテーブルも絨毯もある。ガスストーブであったかいし。なんだ、けっこう優雅じゃん。ケータイの通知がいくつか来てるけど、ちょっとまだ余裕ない。最低限何が在れば私の生活が成り立つのか、なんてことを試す気持ちで来るつもりだったけど、結局荷物は多いし、食器もちょこちょこ持ってきた。自炊する材料は一切ないのでしばらくはスーパーやコンビニのお世話になる予定。多分、案外ふつうに過ごせてしまうような気もしているけれど、"ひとり感"は突然に、急速にやってきた。普段ギリギリ人間の私にしては、今回は余裕を持った引っ越しができたと思うし、途切れなく生活するための準備を、物理的にも心理的にも用意したつもりだった。だけど、準備が満足できることは決してない。まだ開封できていないダンボールの山をひとりで抱えている事実。明日からはまた朝起きて着替えて出かけなければならないこと、そもそも今夜お風呂に入れるのだろうか。手伝ってくれたみんなは、帰ればいつでもいつも通り入れる風呂があり、同居者がいる。あぁ、私、ほんとうに独り身になったのだなぁ。お風呂にいつもどおり入れる状態の家族が今夜はちょっと羨ましい。まあそんなこと数日経てば忘れるんだろうけど。でもこうして、文章書こうと思えば中断されずに書き続けられること、テレビの雑音に邪魔されることなく好きな音楽を聴けること、ガスストーブで暖まって、絨毯やミニテーブルや本棚、自分が好きな家具に囲まれながらカフェオレをゆっくり飲めること。ちょっと歩けばカフェだって本屋だって行き放題。あぁ、楽しみだな。好きな土地で、私らしさしかない生活。どんな生活になるんだろう。楽しみだな。

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