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【音楽ジャンル】Industrial Metal/Rock 名曲33選 85 - 99

(前置きは全然読み飛ばしてもらって大丈夫です)

このジャンルが一番盛り上がったのは90年代で、2000年代に入る頃には刻まれたディストーションギターとダンスビート、楽曲に組み込まれたSEなどの手法がヘビーロック/ニューメタルに限らず様々なジャンルに広く溶けていって、カテゴリーとしての輪郭が薄くなっていったいう印象ですが、
15年もすると流行も一周するのか2010年代の後半からStreet Sects、UNIFORM、YOUTH CODE 、High-Functioning Flesh 、POP. 1280、Dais所属のHIDEといった若い世代のインダストリアルメタルの影響が色濃いバンドが少しずつ目立ってきました。
HyperPopの歪ませたボーカルもインダストリアルメタルの孫引きになるかなと思います。

80年代中盤から現れたElectronic Body Music(略してEBM)というジャンルがあって、その発展系としてダンスミュージックに合流していく流れとディストーションギターを取り入れてロック的な展開をする流れがあり、今回の投稿は後者の紹介なのですが、自分の趣味でロック/メタル側からインダストリアルメタルに接近したバンドは外して、80年代のEBM、Post-Industrial Musicの頃から続けている人が多めです。
インダストリアルメタル/ロックでは無いのですが、それ以前に活動していた関連のある人達の曲もいくつか挙げています。

始めにIndustrial Metalという呼称が使われたのはMINISTRYが89年にリリースしたアルバムThe Mind Is A Terrible Thing To Tasteをある音楽雑誌がレビューする際に"Hyper Progressive Industrial Metal"という言葉を使ったのが始まりと昔読んだディスクガイド本が何かに書いてあった気がするのてすが、検索しても全然出てきませんね。
記憶違いでしたらすみません。

Big Black - The Ugly American (1985)

スティーヴ・アルビニ率いる、ドラムマシーン(名前はRoland)に剃刀の様なソリッドなGt.×2とBa.によるバンド。
いきなりインダストリアルメタルの枠の中で名前を挙げるとファンの人と本人達にも違うやろと嫌がられるとは思いますが、その後の影響が大きいのと単純に好きなので一曲紹介。
ごく初期はもろにUK Post-Punkの、特にダークなバンドの影響が出た音でしたが、83年の12インチのBulldozerでUKの湿った感じは無いカリカリに乾いた疾走する音になっていて、この時代にもうこんな事をやれていたんだと驚きました。
1stアルバム以前の12インチはThe Hammer Partyという編集盤にまとまっていますがジャケがハンマーで殴られる頭部だったので初めて見た十代の私はこのバンドはだいぶ怖い人達に違いないと思いました。

Tommi Stumpff - Seltsames Glück (1985)

ドイツにてパンクバンドDer KFCのメンバーとしてとして82年まで活動。
その後は、ソロとなってパンキッシュな勢いを持ったままNeue Deutsche Welle的なシンセとドラムマシーン主体の音に。
83年の名作12インチシングルMich Kriegt Ihr Nichtに引き続き、12インチシングルSeltsames Gluckではタイトルトラックを含めて内2曲をConny Plankがプロデュース。
何年か後に、EBM勢が試行錯誤していた課題をもっと早い時点で解決していたという印象があります。

Laibach - Die Liebe (1985)

ユーゴスラビア時代のスロベニアのバンド。ライバッハはスロベニアの首都リュブリャナのドイツ語名。元々は総合芸術集団(NSK)の音楽部門。
語るべき所が多過ぎて何を書いたらいいのか迷う人達。
この曲は12インチシングルで発売されて、86年のアルバムNova Akropolaにも収録。
ライバッハでこの曲が一番好きです。
当時のライブ映像も何度観ても良いです。
この重いリズムワークや、コンセプトなど色んな方面に影響を与えていると思います。

BLACKOUTS - Happy Hunting Ground (1985)

後にMINISTRYに参加するPaul BarkerやWilliam Rieflin(Bill Rieflin)、Roland Barkerがいた米国のポストパンクバンド。
この曲はAl Jourgensenがプロデュースして85年にWax Traxから発売した12インチシングルLost Soul's Clubのレコーディング時の未発表曲で2001年に出たベストアルバムに収録されています。
実質、後のMINISTRYみたいな音源ですがMINISTRYはAl Jourgensenのワンマンバンドではなく参加メンバーの要素も強い事が分かります。

Sodom – TV Murder (1985)

↑の動画は1985年にTransrecordsから発売されたアルバムのタイトルトラックのMV。
カバーもしていたThe Birthday Partyの様な暴力的なPost-PunkにPost Industrialの音を組み合わせた曲。自分はリアルタイム世代ではないのですが、ビジュアルイメージも含めてその後の日本のバンドへの影響が大きかった事が伝わります。
翌年リリースの12inchシングルMaterial Flowerはゴリゴリとした金属質な感触のままNew Wave Danceのビートを取り入れて更に強力な音になっています。

ZEITLICH VERGELTER - Dimension (1986)

ツァイトリッヒ・ベルゲルダー
塚本晋也監督の映画作品のサントラでお馴染みの石川忠氏とボーカルのNEUを中心として他は流動的なメンバーで活動していたというバンド。
音源は再発されて無いので何かと名前を見る機会が多い割にリアルタイム世代より下の世代で音を聴いた人は少ないかもしれない。
この曲は唯一の単独音源の7インチから。
忠さんとしては失敗作と言っておられましたが、日本のノイバウテンというよりは最初期のTest Dept.とKilling Jokeのフォロワー的なトライバルなリズムのポジティブパンクを合わせた音が興味深いです。
90年代のインダストリアルロックとは音楽的にはそれ程接してはいませんが、バンド名のドイツ語の響きや、ライブでの立ち姿も含めて日本での「インダストリアル」のイメージの雛型になってる気がします。

Swans – Time Is Money (Bastard) (1986)

Swansの代表的な音源はまず1st,2ndアルバムですがインダストリアルロックに影響を直接を与えたというか、参考にされたのはこのTime Is MoneyやA Screwの12インチシングルなどの特にリズムの音かなと思います。
あと自分的に一番好きな曲は95年のThe Great Annihilator収録曲のI Am The Sunです。

The Young Gods - Envoye (1986)

スイスのバンド。ボーカルに生ドラムにサンプラーという編成で、サンプリングで鳴りまくるスラッシュギターはMINISTRYより早かったのですが知名度で言うとそんなですね。
Envoyeは初12インチシングル収録曲ですが、この時点でもうスタイルは出来上がってますね。
アルバムだと93年のライブ盤Live Sky Tourがほぼベスト盤的な選曲でよく聴いていました。
元SwansのRoli Mosimannプロデュースで進めたこのアプローチでの集大成的なアルバムは95年のOnly Heavenで、元々要素としてあったダブ的な処理がインダストリアルメタルと上手く組み合わさって全体的なクオリティが高いです。

Meat Beat Manifesto – Strap Down (The Sound Defence Policy Remix) (1988)

ラップ/ヒップホップやダブと、EBM/インダストリアルロックの狭間の中で一番鮮烈な音。
突き刺す様なサンプリング音が凄い。
近い系統で言うと他にはConsolidated、The Beatnigs、TackHeadとか。
Jack Dangersのプロジェクトですが初期は三人くらいでやってましたね。
この曲は色々なバージョンがありますがどれも良いです。
96年に出したWorld Domination EnterprisesのカバーのAsbestos Lead Asbestosも好きです。

Foetus Interruptus - English Faggot/Nothin Man(1988)

とにかく色んな名義でリリースするFoetus(Jim Foetus)ことJ.G. Thirlwellが1988年に出したアルバムThawの収録曲。
代表作とされるのは84年に出たアルバムHoleですが、都市の底の混乱状態に突っ込んで行く様なこの曲も好きです。
オリジナルアルバムも好きですけど12インチで出してた音源が好きで、80年代の物は編集盤のSinkにだいたいまとまっています。

Head of David - Skin Drill (1988)

Napalm Death,GodfleshのJustin K Broadrickがドラムで参加していた時期がある事でも知られるバンド。
今で言うNoise Rockの先祖的な音でかっこいいのですが、なかなか再発されませんね。こつこつ中古でレコードを探して見つけては買っています。

Pailhead – Man Should Surrender (1988)

Killing Jokeの追っかけだったというMINISTRYのAl JourgensenがFugaziのIan MacKayeを迎えてKilling Jokeみたいな音をやってたプロジェクト。MINISTRYも音の処理などKilling Jokeの影響が濃いのですが、こちらはモロです。
特にこの曲はKilling Jokeの1st〜3rdアルバム辺りの曲にぐっと音圧を加えたといった感じで余計な味付けが無い所がありがたい。

Cop Shoot Cop – Shine On Elizabeth (1989)

初リリースのミニアルバムHeadkick Facsimileの一曲目。ギターレスでベース×2、生ドラム、サンプラーといった編成。特に初期の激しい音が素晴らしいと思います。
メンバーはSWANSやMissing FoundationのサポートをしてNYのシーンを支えていました。
一時期、日本のみで使われていた"ジャンクロック"という括りのバンドでもあります。Pussy GaloreとかThe Jesus LizardとかOf Cabbages And Kings 、Daydream Nation辺りまでの頃のSonic Youthとか。日本のインタビューでサーストン・ムーアはジャンクには麻薬中毒者の意味があるからジャンクという言葉は嫌がってた記憶があります。

Nine Inch Nails – Get Down Make Love (1990)

前年リリースのPretty Hate Machine収録曲Sinのリミックス12インチ収録のQueenのカバー曲。
プロデュースはMinistryのAl Jourgensen。
NINはかなり意識的にミニマルなEBMの次の音をやろうと大胆なボーカルラインを乗せていましたが、このカバー曲はNINのオリジナル曲以上にトレントのボーカリストとしての魅力が良く出ていると思います。
Soft CellのMemorabiliaのカバー(1994)も好きでした。
NINはシングルやリミックス盤に良い曲が沢山紛れ込んでいて買い集めるのが楽しいバンドでした。

Lard - Fork Boy (1990)

Dead KennedysのJello BiafraとMinistryのメンバーのコラボバンド。
NINのトレントが監修した1994年の映画Natural Born Killersのサントラにも収録。
90年の時点ではこういった直線的なUSハードコアパンクな曲調自体はちょっと時代遅れだったと思いますが、死んだと思っていたパンクスがインダストリアルメタルのエンジンが組み込まれサイボーグになって再び街に現れたって感じでかっこいいです。
動画はMelvinsがJello Biafraのバックを務めたライブ演奏。

Front Line Assembly - Overkill (1990)

このカナダの人達はEBMの代表的な存在です。この曲が収録されたアルバムCaustic GripはEBMの名盤中の名盤と呼ばれてギターも使ってないのでインダストリアルメタルではないのですが、同じ時期のMINISTRYやSkinny Puppyの動きに対抗してか、前作まではBPM遅めの重いダークSF感のある作風でしたが、このアルバムはスピード感を増してロック的な攻めのモードです。特にこのOverkillのリズムなんかに顕著に表れてると思います。

Skinny Puppy – T.F.W.O. (1990)

カナダ出身の EBMのダークサイドの王様です。
音やステージングで後続のバンドへの影響の大きさもトップレベル。
この曲は一番よく聴いたアルバムToo Dark Park収録曲。他の曲と少し違ってシンセパンク的な軽めのテイストがあります。
本来の作風とは違いますが、好きな曲です。
後のVo. のNivek OgreのプロジェクトohGrに近い。
このアルバム収録のSpasmolyticは評価が高い曲でMVも凝っていて面白いです。
ちなみに前年発売のアルバムRabiesはMinistryのAl Jourgensenがプロデュースしていますが、インダストリアルメタルを確立したThe Mind Is A Terrible Thing To Tasteとレコーディング時期も近くて姉妹盤といってもいい内容。
Skinny Puppyのメンバー的にはプロデューサーの色が出過ぎて満足はしていないそうですが、
Fascist Jock Itchのドラムマシーンの打撃とか凄いです。
それと検閲行為に対する批判として製作された、ホラー映画のシーンを繋いだ名曲WorlockのMVも必見です(ゴアシーンがあるのでログインしないと見れないかも)
1996年に出た、2000年代の再始動前だと最後のアルバムThe Processも賛否両論ですが自分は良い内容だと思います。配信などでは聴けますがメジャーレーベルから発売されて版権の問題からか長らく廃盤の状態です。

Die Krupps – Germaniac (German Speed Version) (1990)

12インチシングルGermaniacに収録された別バージョンで元はEBMというよりは82年のアルバムVolle Kraft Voraus!の頃の様なNDW/proto EBMな曲調ですが、B面に収録されたこのバージョンはリズムだけスラッシュメタル風の高速ビートに差し代わっていて、なんか変な曲ではあるのですが大好きです。
この発想は全曲メタリカをカバーしたアルバムへ発展したように思ます、たぶん。
このカバーアルバムは、一時期は日本の全ての中古CD屋に捨て値であった作品ですがギターとベースが全てシンセに置き換わってドラムだけ生というのは今聴くと面白いですね。Blackenedが特に迫力あって良いです。昔、メタルやオルタナが好きな知人に聴かせたら眉間に皺が寄っていましたが。
ドイツ的な太いシンセのproto EBMと とスラッシュメタルの組み合わせは95年のアルバムOdyssey Of The Mind (III)収録のMetalmorphosisが最高の状態の仕上がりだと思います。

Godflesh – Meltdown (1991)

Napalm DeathのJustin K BroadrickとG. C. Greenによるリズムマシーンを使ったヘビーなIndustrial Metal Duo
この曲は得意のゴリゴリと重く続くパートの先に浮遊感のあるギターが現れてPost Metal系のプロジェクトJesuに繋がっていく雰囲気があって代表曲と言われる曲でないのですが好きな一曲です。
当時の所属レーベルEaracheはOLD、Scorn、The Berzerker、Misery Loves Co.、FUDGE TUNNEL、Pitchshifterなどインダストリアル的な要素があるバンドも沢山いて、日本盤のリリースも多くありました。

Einstürzende Neubauten – Headcleaner (1992)

アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン
Tabula Rasa収録の複数の曲を組み合わせた15分を超える長尺曲(という事でいいのか?)
アート志向の静かなアルバムと言われますが、この曲は激しいドラムがかっこいいですね。
リリース時のツアーのライブ映像が好きで何度も観てます。

Buck-Tick - ICONOCLASM (1992)

1989年発表曲のリアレンジ版。
インダストリアルメタルのギターというと、もろにスラッシュメタル的なリフか、ガガーっと斬り込むノイズ的な音か、ある程度パターンが定まっていますが、この曲の反復する機械の起動音か警報音の様なギターは凄いですね。
リズムはNitzer Ebb風味な反復ビートを生演奏主体で鳴らしていて、この組み合わせで同じ様なアプローチをしているバンドを他に聴いた事がありませんし、Buck-Tick自体もこの曲から発展させていった様な曲は余り無いですね。

Klute – They're Right I'm Wrong

デンマークのEBM、Leæther Stripの別プロジェクト。
92年のアルバムExcludedはAlfaから日本盤が出ていて、地方の田舎でもMINISTRYより手に入りやすかった一枚。懐かしい。
この曲は95年のExceptedというシングルに入っていて初出は93年のカセットなのでExcludedの同じ時期に制作された続編的な内容だと思います(分かりにくい)
先行する大物バンドに比べると粗い音ですが、 EBMに軸がある人が全編ザクザクに激しいインダストリアルメタルをやってるのは珍しいですね。

Screaming Mad George & Psychosis  - Transmutation (1993)

何より特殊メイクアーティストとして有名な方ですがThe Madの頃から数えるとミュージシャン歴も長いマッド・ジョージが90年代に組んでいたインダストリアルホラーパンクバンド。
Extasy Recordsからリリースしたアルバムから。映像も含めてこの時代の雰囲気がよく出てて良いですね。ビデオレンタル屋でVHSテープを借りたホラー映画、ザンゲリアかゾンゲリアどっちだっけ?みたいな記憶が蘇ります。
名古屋大須のELLでライブも観ました。

SOFT BALLET - PILED HIGHER DEEPER (1993)

アルバムIncubate収録曲。
The Mad Capsule Market'sメンバー(Gt.とBa.)が参加。ドラムは80年代からNW系のバンドで叩いていた寺谷誠一氏。
生演奏の楽器の音が軸になっていますが、(たぶん)ハードディスクレコーダーやサンプラーでかなり緻密に編集されていて、これ迄の打ち込みの音を生演奏に乗せる/打ち込みの音に生演奏のサンプリングを乗せるという作りではなく、同じ音素材としてシームレスに扱うという事をしていて、93年の時点でこのクオリティを出してたのはかなり早かったのではと思います。

SCHAFT – Cold Light (Nicht Regelrecht) (1994)

BUCK-TICKの今井寿、SOFT BALLETの藤井麻輝を中心にPIGのレイモンド・ワッツがメインボーカルその他で参加したアルバムSwitchbladeのRemixアルバム収録曲。
音数が多く凝ったアレンジの原曲と全然違って歪みまくったリズム音が炸裂するかなり「industrial」な音に仕上がっていますが、地中から迫り上がってくる様な重く迫力あるグルーヴがあります。
同アルバム収録の絶妙なシンセベースが気持ちいいアレンジのCold Light (Keim)の方も素晴らしいです。

PIG - Serial Killer Thriller (1995)

日本のVictor Entertainmentから発売されたアルバムの一曲目。ずっしりしたテンポでジリジリ盛り上げるこの曲からドライブする二曲目の流れが良いのでアルバムで聴いてみてください。
インダストリアルメタルは米国中心のジャンルでしたが、この人は英国人。
この次のアルバムの方が音圧もあって切れ味がありますが、好みで言うとこちらのアルバムのが好きです。
NINもMINISTRYもKMFDMもメタルの度合いが上がっても基本的にスクエアなリズムで、ハードロック的なグルーヴは上物の印象よりは無かったりしますが、PIGはダイナミックな勢いのあるアレンジが上手いですね。

David Bowie – The Hearts Filthy Lesson (1995)

90年代の米国発のゴシックムードの流行は90年からテレビ放送が始まったデイヴィッド・リンチ監督のツイン・ピークスが一番大きなきっかけなのではと思ってるのですが、デヴィッド・ボウイもちょっと出てましたね。
80年代の後半とか実は音楽全然やる気無かったんやでとインタビューで語っていたボウイ様ですが、アダルトで落ち着いたアルバムのBlack Tie White Noiseからガラッとイメージを変えて、Nine Inch Nailsをヒントにブライアン・イーノと共に猛烈な勢いで作り上げたアルバムOUTSIDEのリードトラック。
次のアルバムEarthlingの方がシンセやダンスミュージックのビートとの合わせ方は小慣れて上手い。
このアルバムはインダストリアルロックというか、米国の90年代中盤の時代の象徴の一つといった印象です。

Marilyn Manson - The Reflecting God (1996)

アルバムAntichrist Superstarの終盤の、これがあるか無いかでアルバム一枚聴いた印象が違ってくる重要な位置に配置された曲。
このアルバムはNine Inch NailsのトレントとNINチームほぼ丸ごとのフルサポート。
Skinny PuppyのプロデューサーのDave Ogilvieに、レコーディング後半にはNINの音源でお馴染みのSean Beavanがまとめ役で参加していてかなりの豪華な布陣で制作された、これも時代を代表する一枚。
大量の録音素材を扱いパート毎に凝った処理がされた、イメージよりも繊細に組み上げられた音源で、digital audio editingと担当をクレジットされてる人も沢山いて機材とレーコーディングという角度で聴いても面白いかも。当時としてはかなり早い時期にデシダル編集でロックの音源を作る回答を出してたと思います。
そいうえばFloria Sigismondiが監督したThe Beautiful PeopleのMVが観たくて新宿にあったGOLDというお店でブートのVHSを結構なお値段で買った記憶を思い出したました。

Def.Master – Risky (1996)

ポジティブパンクからインダストリアルロックに接近していったRosen KreuzのメンバーのYU-MIとEBIによる壮絶な音のIndustrial Metal project。
一曲選ぶならばと1994年に発売したDestroyer Has Godmindに収録された、CocobatのBa.とVo.が参加したTrain Your Bodyとどちらにするか迷いましたがオリジナル盤としてはラストリリースの一曲目のこちらを。
Delta9やD.O.Aの様なギターのサンプリングが乗ったGabba/Hardcore Technoの影響がありますが、それらのジャンルにない内蔵の調子が悪くなってきそうな圧迫感が凄いです。
Atari Teenage Riotも出てきた頃なので「激しいアンダーグラウンドのロック」としてのインダストリアルメタルはこの辺りで折り返し地点かなとも思いました。
その他に7インチやオムニバスに提供してた音源が沢山あるので、それらを集めたコンピを作って欲しいなと願っております。
Gt.で全面的に参加している藤田タカシ氏のDoom のアルバムWhere Your Life Lies!?はYU-MIがコラボレーション的にがっつり参加してるのでDef.Masterが気に入った人にオススメです。

Dissecting Table - Why (1997)

後にexperimental noise系の音になっていきますが日本のNoise Industrial系の代表格の一人。
7インチで発売された曲でB面は初期の名曲Camouflageの再録版。
インダストリアルメタルではないのですが、メタルパーカッションが連打されてる高速ノイズビートのDissecting Table流のハードコアパンクな曲でかっこいいです。

Cubanate - It (1998)

92年から活動開始した確かイギリス拠点のEBM project。
96年のアルバムBarbarossaはEBM好きから名盤と呼ばれています。
この曲が入ってるアルバムはDrum N' Bassを取り入れて、Roni Sizeぽくもありますね。
EBMやインダストリアルロックの次に向かおうとしてクオリティも高くてなかなか良いと思ったのですが、昔からのファンからは不評だったのか、この後解散。

同時期にDrum N' Bassを取り入れたバンドだと同じくイギリスのPitchshifterが居ました。
元々、Godflesh的な重い音でしたがアルバムwww.pitchshifter.comで比重をがらっと変えてこちらはかなりヒットした記憶です。

KMFDM - Adios (1999)

長い活動歴の中でこの一曲というならMegalomaniac
インダストリアルメタルという括りならMVも素晴らしいA Drug Against War
もしくはアルバムNihil全編となりますが、
自分はアルバムAdiosの一曲目のタイトルトラックが一番好きです。アナログモデリンシンセの音を中心とした他の音源よりマテリアルを絞ったトラックと、世界各国の言語による別れの挨拶を叫ぶパートがかっこいいですね。
この後、一旦活動を休止してMDFMK名義になりアルバム一枚出してまた何事も無かったの如く元に戻りなんだったんだあれはとリスナーを戸惑わせました。

MINISTRY – Supermanic Soul (1999)

MINISTRYのインダストリアルメタル期の代表曲はBurning Insideだろうと思うのですがベスト盤的な音源には何でか入らないですね。
92年のΚΕΦΑΛΗΞΘ(Psalm 69)がバカ売れしたもののトレンドのバンドとなった事が嫌になったらしく95年のFilth Pigでは暗く重くうねる曲主体でみんな期待する疾走するスラッシュメタル的な曲はやらず。
2000年代からはどんどんメタルの度合いを上げていきますが、その間の時期のあまり話題に上がらないアルバムDark Side Of The Spoon収録の一曲目。
疾走感はありますがスネアはひたすら打ちつけてるし、シンバル系の音は殆ど聴こえないし、ギターもそこに配置してるといった感じだし、メタルの様でメタルではない妙な塩梅の曲で好きですね。

オマケ:映像作品での演奏シーン

映画The Crow
My Life With The Thrill Kill Kultの演奏シーン。

映画AI
Ministryの演奏シーン

TVドラマ『Twin Peaks: The Return』
Nine Inch Nailsの演奏シーン


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