第二十五話「何度も着せられた濡れ衣(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」
琴音が中学生の頃、部活では楽器ごとのパート別に練習する時間があった。
この日は秋だった。三年生は琴音と豊子の二人で、他に二年生と一年生の部員が二人ずつ、全員で六人のパートメンバーがいた。一日一日、みるみるうちに日が短くなっていって、トランペットパートが練習している部屋の外は薄暗かった。明かりは白色灯のはずなのに部屋の中はどこか赤味を帯びていた。暖房が音を立てながら暖かい空気を巡らせていた。
トランペットパートは冷暖房が直接快適な温度に保ってくれる教室の一室を練習場所