文野麗

文野麗(ふみのれい)と申します。アマチュア作家です。小説を書いて投稿します。ドイツ語・…

文野麗

文野麗(ふみのれい)と申します。アマチュア作家です。小説を書いて投稿します。ドイツ語・英語を学んでおりますからそのことも書こうと考えております。TOEICとその他試験を受けます。 ドイツ語技能検定試験2級/GOETHE-ZERTIFIKAT A2/英検2級 合格済み

マガジン

  • 15th-逆さまの悪魔-

    非常に苦しい中学時代を終え、高校に入学した琴音は新しい生活を楽しもうとしたが、思うようにいかない日々の中で食べる意欲を失ってしまい、摂食障害に陥る。 —これは自分を奪われた少女たちの、克服と再生の物語— この作品は拙作「Thirteen」の続編となっております。 ※小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラスでも同内容で掲載しています 各話表紙は根本鈴子さんに描いていただきました。

  • 短編集「空回り、空踊り」

    儘ならない日常と、報われない努力と、徒労 この作品は短編集です。それぞれ独立した作品が五編収録されています。全て書下ろしです。 ※小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラスでも同内容で掲載しています

  • 中編小説「Thirteen」

    中学二年生の琴音は同級生で従妹の麻理恵から、塾の講師白田と付き合っていることを告げられる。やがて琴音は麻理恵の男女交際に協力するようになる。麻理恵の禁断の恋のゆくえは? そして琴音の本心とは?  ※作中道義的に問題がある描写や触法行為が描かれますが、この物語は法律・法令に違反する行為を推奨・容認するものではありません。よくご理解いただいてからお読みくださるようお願いいたします。 ※この作品は小説家になろう・カクヨムにおいて連載し2019年完結した内容に加筆修正を施したものです ※ノベルアッププラスでも同内容で掲載しています 表紙は根本鈴子さんに描いていただきました。

  • 明日を夢見て(掌・短編集)

    掌編と短編を集めました。一つ一つの作品がそれぞれ独立した短いお話になっています。全て書下ろしですが、「人生最良の日は」は以前作者が書いた「『星と花』に寄せて」の続きになっております。前作を読まなくても分かる内容になっています。 ※小説家になろう・カクヨム・ノベルアッププラスでも同内容で掲載しています

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初めまして

初めまして。文野麗と申します。アマチュア作家としていくつかの投稿サイトに作品を投稿しております。小説・詩・エッセイ合わせて20作品をカクヨムで公開しております。 こちらでは小説を有料公開しようと考えております。他のサイトでは読めないnote限定の素晴らしい作品を書いていきます。どうかご贔屓ください。 またいくつかの他サイトで公開済みの小説をピックアップして無料で公開いたします。 私は作家としての活動の他に語学学習を行っております。ドイツ語と英語を勉強中です。語学学習の進

    • 【悲報】拙作「絶体絶命」のタイトルをずっと間違えた漢字で表示しておりました。今日判明しました。申し訳ありません。 ショックと恥ずかしさでいっぱいです。とほほ。 https://note.com/lei_fumi_zb8/n/nca84c8efb473

      • 第二十四話「麻理恵の近況」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

         琴音は少しだけよそゆきの格好をして、母に連れられ、麻理恵と麻理恵の両親が住んでいる、藤沢の家と呼ばれている家へ行った。  広いダイニングで、麻理恵は琴音を迎えた。上下灰色のスエットなんて着ている。琴音は最初驚いた。 「久しぶり、琴音。旅行のとき以来じゃね?」  麻理恵の嬉しそうな様子は、本心からのものに見えた。 「そうだね。麻理恵、久しぶり。元気だった?」 「元気。最近学校超楽しくなってきたし」  琴音は麻理恵の風貌をさりげなく観察した。麻理恵の髪の毛は明るい茶

        • 第二十三話「学校でも問題になる」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           どうしてこのつらいときに限ってネムは私の傍にいてくれないのだろう。琴音は夜中にベッドの中でネムのブログを読み返しながら、考えた。なんで入院なんてしてしまうんだろう。ひどい。私はこんなにつらいのに。  無駄だと分かっていながら、何度も琴音はページを更新した。今、新しい記事が現れるはずなんてないと理解しているが、やめられなかった。  私はどれほどネムを必要としていたのだろう。琴音は痛いほど実感した。ネムと話ができないせいで。心の拠り所がない。  家族との不和も歌羽からの叱

        • 固定された記事

        初めまして

        • 【悲報】拙作「絶体絶命」のタイトルをずっと間違えた漢字で表示しておりました。今日判明しました。申し訳ありません。 ショックと恥ずかしさでいっぱいです。とほほ。 https://note.com/lei_fumi_zb8/n/nca84c8efb473

        • 第二十四話「麻理恵の近況」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

        • 第二十三話「学校でも問題になる」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

        マガジン

        • 15th-逆さまの悪魔-
          24本
        • 短編集「空回り、空踊り」
          5本
        • 中編小説「Thirteen」
          13本
        • 明日を夢見て(掌・短編集)
          5本

        記事

          第二十二話「麻理恵事件その後(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           中学二年のとき、麻理恵の家出騒ぎと破局、人工中絶手術に琴音は多大なるショックを受けた。麻理恵が彼氏の家に行くことを勧めてしまったのは琴音自身であることから、一連の出来事の責任の一端は自分にあるように感じられて強烈な罪悪感に苛まれるようになった。  琴音は精神的に激しい苦痛を覚えたのち、糸が切れたかのように極端な無気力状態に陥り、外からの情報や働きかけが飲み込めなくなった。ひたすらずっと呆然としていた。  同時に過呼吸の発作が頻発するようになり、授業を受けたり部活をこなす

          第二十二話「麻理恵事件その後(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第二十一話「周囲からの孤立」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           歌羽は不機嫌そうに、唇をすぼめて琴音と目を合わせずにくぐもった声で言った。 「でも琴音には直接関係ないじゃんそれ」 「そんなことないよ。私たちは共犯者みたいなものだったし、麻理恵が可哀想な思いをしたのは気の毒でならないし……」 「琴音が痛い思いをしたわけじゃないでしょう?」  歌羽の直接的な言い方が気にくわなくて、琴音は返事をためらった。もう少し婉曲的な言い方がないものだろうか。 「そんなんでさ、ご飯食べんの拒み続けて倒れるなんて、間違ってるよ。そのいとこは気の毒

          第二十一話「周囲からの孤立」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第二十話「過去の顛末」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           過呼吸の発作は治まったが、摂食障害のせいで危ない状態に陥ったのは間違いないので、琴音は入院することになった。かかりつけの精神科のある病院へ転院し、最低限の体力を回復させるため一週間くらい点滴治療を受けた。  入院中にカウンセリングも受けた。カウンセラーは若い女性の先生だった。何度か話すうちに、琴音は中学時代のことをぽつりぽつりと話すようになった。毒と呼べるほど有害な記憶は、身体の中にあるだけで自分を蝕むが、話すことで口を伝って外に出すときも、気道や喉、口に害をなすように感

          第二十話「過去の顛末」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十九話「発作再び」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           夏休みは終わり、学校に行く日々が戻ってきた。あっという間に一ヶ月が過ぎ、十月の文化祭が開催されていた。琴音は学校の名前がついたお祭りの初日、歌羽とともにクラスや各部活の出し物を回っていた。 「午後一で吹奏楽部の演奏あるんだ。聞きに行こうよ」  と歌羽が学食で、昼食のうどんを食べながら提案した。 「吹奏楽部?」  琴音はその響きだけで嫌な気持ちになった。こちらは手元に何もない。相変わらず何も食べていないのだ。 「吹奏楽、かっこいいじゃん。私結構好きなんだ。体力ないか

          第十九話「発作再び」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十八話「舞台に私の席はない(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           中学時代、琴音は顧問を激怒させたあのとき以来、部活で一度も本番の舞台に出してもらえなかった。身体が回復して十分に演奏できるようになっても一向に認められなかった。表向きは、琴音が本番中に過呼吸の発作を起こすことを危惧して、ということになっていたが、実際には顧問から琴音への懲罰であることを、琴音本人だけでなく部内の誰もが知っていた。  夏から秋にかけて数回あるコンクールのときは、出番の少し前に部員たちが舞台裏に入ると、琴音は一校分ガラリと空いた座席に一人だけ残され、やがて光を

          第十八話「舞台に私の席はない(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十七話「理解されない気持ち」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           旅行から帰ってきて一週間ほど経つと精神科の定期通院の日がやってきた。琴音はこの頃険悪な雰囲気で会話さえほとんどしなくなった母と、車で気まずく病院へ向かった。  例によってかなり待ってから、診察室へ呼ばれた。  医師はパソコンに向かい、おそらく電子カルテを開く操作をしていた。それから琴音の方を向いた。 「いかがですか」 「そんなによくないです」  「ご飯、少しは食べられるようになったかな?」 「この間旅行のとき、バーベキューでたくさん食べてしまったんです。それで、

          第十七話「理解されない気持ち」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十六話「楽しめない旅」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           夜中、両親が二人とも眠りにつくのを琴音は密かに待っていた。ずっと寝たふりをしていた。父と母の寝息が寝入った後のものと思しき穏やかな音になるのを確認して、そっとベッドから抜け出た。  忍び足でバスルームへ入った。光で両親が起きてしまわないよう、電気をつけたらすぐドアを閉めた。  バーベキューでお腹いっぱい食べてしまった分を、どうにかしなくてはならない。消化する前に吐き戻す必要がある。  琴音は少しためらったが、右手を口の中につっこんだ。自分の手は温かくて苦い。思い切って

          第十六話「楽しめない旅」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十五話「会話は波にさらわれるように」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           琴音の学校は夏休みに入った。歌羽とはときどきメッセージのやりとりをしていたが、他のクラスメイトや教師と話すことがなくなり、静かな日々を過ごしていた。ネムともしばしばやりとりをした。  二人で会ってから、ネムは元気が出たらしく、頑張る気になったとはしゃいでいた。 ――学校の教室に入ってみることにしたんだ。夏季講習受けるんだ―― ――学校で夏季講習があるの?―― ――そう。私の学校は全員強制参加なんだよ。でも一日三時間くらいしかやらないから、出てみる―― ――講習出ら

          第十五話「会話は波にさらわれるように」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十四話「ネムと遊ぶ」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           約束の十分前に着くように電車に乗ったが、目的地に近づいたところで ――今着いたよ――  という連絡が入った。待つつもりでいた琴音は意外な気持ちとともに、少々の焦りを覚えた。すると、ここ数日ずっと心にあって膨らんだり萎んだりを繰り返している高揚感が一段と膨張して、胸が一杯になり、興奮した。  ネムはどんな人なんだろう。これまでたくさん話はしてきたが、全て文字の上でのやりとりだった。不思議な気持ちであった。顔を見たことさえないくらい身体的距離は遠いのに、心の中だけ先に繋が

          第十四話「ネムと遊ぶ」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十三話「心は上昇、身体は下降」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           以来歌羽は本当に態度を改めた。以前のような意地悪を言わなくなった。琴音はかなり安堵した。歌羽はその代わり、病気の心配をして口出しをしてくるようになった。 「ちゃんとご飯食べなよ。見る度やつれていってる気がするよ」 「痩せるのはいいことだから、成果が出ているのは嬉しい。もっと痩せていきたい」 「ダメだよ。こんなこと続けていたら餓死しちゃうよ。死んだら困るでしょ?」   どうだろう。私は自分が死んだら困るんだろうか。生に執着する気持ちはあるのだろうか。琴音は分からなくな

          第十三話「心は上昇、身体は下降」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          第十二話「受験妨害(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

           琴音が中学生だった頃、受験期のことである。公立高校の前期入試で琴音は第一志望の学校に落ちてしまった。その学校に受かるかどうかは教師も五分五分だろうと言っていたくらいだったので、そこまで落胆もせず諦められた。後期入試では確実に受かる別の公立高校を受験する予定だった。それが今通っているN高校である。  しかし琴音にはN高校よりも行きたい学校があった。  市内では公立高校の後期入試の前にいくつか私立高校の入試が予定されていた。当時琴音はそのうちの一つ、C高校への合格を目指して

          第十二話「受験妨害(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」

          詩「滑稽に見える?」

          夢をもて、と型通りの声をかける 灰色の大きい人たち 見え透いた空言 分かりきったお世辞 何も理解していない頭の中 誰も本気にしていない建前 分かっているよ、その励ましは 子ども騙しのペロペロキャンディそのもの 彼らの前にいるのはみんな同じ 凡百な子どもたちなのだろう 叫んでも何も変わらない 言葉を尽くしてもどこにも届かない 相変わらず僕はただの石ころ どう変われたら彼のような砂鴎になれるというの 結局あの人たちの思った通りなのか また朝が来て夜が来る (2024/07/0

          詩「滑稽に見える?」