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【バーフバリ】人生で初めてインド映画を観た感想は、「馬鹿みたい」だった。


皆、インドの映像作品と言えばどんなのを想像するだろう?例えば…

Tunak Tunak Tun

トゥルットゥル ダダダwwwww だろうか。それとも…


Gola Gola Rangola

ア ゴラゴラwww ア ゴラゴラwww だろうか。
(年代がバレそうなインド感だな…)

動画投稿サイト然り、某番組の細かすぎて伝わらないやつのせいでいきなり歌い出してパッと終わるのがインド映画。なんてイメージの人も居るだろう。
ターバン巻いたりしてる男がキレッキレのダンス踊ったり笑顔で謎の舞をするのがインド。そんなイメージを持った人間が、インド映画を初めて見た後の他愛の無い文章を書き連ねたいと思う。


今回見た映画は、バーフバリという映画だ。

『バーフバリ 伝説誕生』(バーフバリ でんせつたんじょう、原題:Baahubali: The Beginning)は、2015年公開のインド映画。インド国内で最高額の予算で製作された本作は公開直後から高い評価を受け、インドの歴代興行収入最高額を記録した。また、興行的に最も成功したテルグ語映画となった。(Wikipediaより引用)

簡単に言うと、めっちゃ金掛けて作った、めっちゃ売れた映画だ。ちなみに二部作だ。まぁ、初めて手を出すにはもってこいだろう。

めたくそ簡単にあらすじを言うと、
すげー血筋の子供が命からがら逃げた先でなんかめっちゃムキムキに育って、近くにあるやべー高い滝登りに挑んでたら美女の幻影見て一目惚れしたから気合いで登り切ったら自分の産まれた国に着いちゃった!?
みたいな感じだ。雑。何も伝わらんな。

まぁ、別に良い。これは私の感想文を書き連ねる汚い作文紙みたいなものだ。
とりあえず字幕版で見てみたのだが…

何言ってるのか全然分からん…。

舐めてた。英語の字幕版でもニュアンス分かるし行けるやろって思ってた。文節が掴めない。いや、字幕あるから問題ないんだけど、人名とかの個別の呼称すら訛りみたいなのがキツくてギリギリだ。おそらく他県の方が、私の生まれ故郷の青森県津軽郡の津軽弁を聞いたらこんな感じだろうなって思った。

津軽弁サンプル

別に字幕版をdisってる訳ではないが、俳優の演技をありのまま観たいと思っている人以外は吹き替えでも良いかもしれない。ほんと何も分かんないから。字幕と本文の意訳の違いとか全然感じ取れないから。

ま、まぁいい。大事なのは内容だ。さて、どうなるやら…。



顔の違いが分かりづれえ…

インド初心者過ぎてやばい。主要キャストの2人、主人公と敵みたいな2人が特に分かりづらい…。見分けられなくは無いけど遠目に出されると一瞬どっちか分かんなくなる。途中で主要キャラの嫁の従兄も参戦してくるが似てる。
やめろ髭を生やしてターバン巻くな。頼む。

まぁ、実際最初の辺りだけで普通に見分けつくが初心者過ぎると多分同じ感情味わうと思う。あだち充の書き分けか?

あだち充の絵


ちなみに正解は…

描き分ける気あんのか?


そろそろ本編の話をしよう。
お話はいきなりおばさんがピンチになりながら追っ手から逃げるものの、川に行く手を阻まれる所から始まる。川に飲み込まれる女性。抱いた赤子もこれでは助からない。残念。
ちゃんちゃん。

…とはならず、赤子を掲げシヴァ神に祈りを捧げながら沈んで行く。赤子は付近にいた村人に助けられるが女性はそのまま亡くなってしまう。亡くなってしまう直前に雲より上まで聳え立つ滝の方角を指すが、赤子の母となる事を決めた村の女性は気味悪そうにして滝の向こうの土地へと続く洞窟を封鎖して村で赤子を育てる事を決める。

成長した青年は滝に魅入られたように登ろうとするが、流石に高さがヤバイので全然登る事が出来ない。滝を登る事を心底嫌がる母親が何度止めても聞かない為、神への祈りを捧げ息子が止めるよう願うが、その荒業が母の負担になると止める主人公の青年シヴドゥ。まずそのシーンでこのシヴドゥが普通の青年では無い事が描写される。簡単に言うと、

この神と崇められてる石碑に滝の水大量にかけりゃいいんだろ?一々汲みに行かなくても良いように石碑持ち上げて滝の真下に運び出してやるよコラ

と言うもの。見て分かるパワー系である。
その時滝の上から落ちて来た謎の仮面に惹かれて結局滝登りは一旦止めるのだが…。
その仮面に女性の面影を感じ、滝の上にその面影を探しにまた滝登りしようとする主人公。その時謎の女性が目の前に現れ、主人公を導き始める…それは壮大な運命の幕開けとなるのだが…

この滝登りのシーン。やばい。最高。

実はこの作品を観ようと思ったきっかけは他の人の記事でチラッと見たからなのだが、その人は要約すると、
めっちゃ良い作品で、二部作だけど簡単な回想入るからギリ二作目から始めてもイケる。見てくれ。
みたいな事を書いていたのだ。そこだけ読んで、まだその記事は読みきっていないのだが…。

その文章を見た私は、

二部作の二作目だけ見て行けるか??

と言う疑問に突き動かされた。いや、良い作品ってめちゃ推してるのもあったんだが。それを確かめる為に、あえて一作目からちゃんと観てみた。観た上で言える事は、まぁこの作品の良さは二作目からでも伝わると思う。という事。だが絶対両方観た方が良い。絶対だ。何故ならこの滝登りのシーンだけで観る価値があるからだ。
危ねぇ、危うくこのシーンを見逃す所だったぜ。このシーンだけで4回は観た。全部観てないのにそこから進めなかった。歌とアクションの迫力が馬鹿みたいに最高なのよ。だから絶対一作目から観て欲しい。

勘違いを避ける為に言っておくが、二作目からでもイケるのは確かだ。
(そのきっかけで観たので気になってたら、回想が始まった途端終わって想像の5000倍簡潔で笑ったよね。)

色々あって運命の女性と会うシヴドゥ。しかしとある事情から敵だと思われ攻撃されてしまう。どうするシヴドゥ!?
……なんか歌始まったんだが…。

てか、歌の中、剣いなして女性の身包み剥がし始めた。戦いながら脱がして行ってるんだが。

私は笑ってしまった。馬鹿だ。この映画は馬鹿なんだ。緊張感あるシーンだったのになんだこれは。

しかもこのシーン終わったら恋仲みたいな雰囲気になってる。

即堕ち2コマかよ。女騎士はすぐ堕ちなきゃ駄目なの世界共通なの?

この後にも色々なシーンで歌がかかる。ダンスまでは行かなくとも、場面中の人物達が歌に合わせて動くシーンも多い。そんな中、私は1つの結論に至った。インド映画を知らない、私と同じような人にこの結論を聞いてもらいたい。

インド映画は、ムービーでは無く、ミュージカルだ。

舞台を捨て、劇場のスクリーンの中で際限ないスケールで描かれるミュージカル。それがインド映画なのだ。一作しか見てないが私はそう思う事にした。
そう思って見たら、何かストンと腑に落ちた。映画の中に純粋に吸い込まれて行った。

この作品の魅力を語ろう。馬鹿みたいな程の表現のスケールだ。特にアクションの表現が凄い。凄すぎて笑ってしまう。
武器を投げて渡し、掴み上げてそのまま斬りつけるのは当たり前。槍だって投げられたやつを掴んでそのまま突き刺す。チェーンを投げれば目的の物に引っかかり、矢を放てば百発百中、木を倒せば敵目掛けて倒れるのだ。まるで"なろう"作品だ。

"なろう":小説家になろう!というサイトに投稿される作品、及び人気作がことごとくオタクが楽してスーパーマンになるような内容な為付けられた呼称。大抵死んだら異世界に転生して何故か主人公が何かしらの凄い能力を貰っている。


私はこのような作品をあまり好かないのだが、この『バーフバリ』には嫌悪感を抱かない。何故か。それはシヴドゥ、及びバーフバリのカリスマ性とミュージカルという行き過ぎなくらいの表現で表される作品性のおかげだろう。
誤解の無いように言っておくが、この作品の物語は素晴らしいものだが、その上で言えるのはこの作品の1番の見どころはそのアクションシーンだ。先に挙げた滝登りもそう、敵軍や山賊との戦闘もそうだ。それに何より、策による破壊や戦法の表現が凄い。無数の雄牛が走り抜け、敵を薙ぎ払ったと思ったら、鎖を門へ括り付けせき止められた水を斜面から流し敵を一掃する。なんだこれ、モンスターハンターワールドか?ってなる。てか半分MHWみたいなところある。弓矢もバシバシ撃つし。なんならチャージステップからの射撃のシーンもあるよ。マジで。

MHW:大人気シリーズ、モンスターハンターシリーズの最新作。人とは思えないスタイリッシュな動きで様々なモンスターを狩猟していく。9月に新作拡張シリーズが出る。楽しみですね。


一作目は主要キャラクターの説明、二作目はそのキャラクター達の関係性の進行といった感じで展開されて行く。
過去にあった出来事の回想で王になる資格を持った2人の兄弟が王の座を競うシーンがあるのだが、個人的にはこの場面が1番好きだ。
兄は父と共に玉座を目指し、弟は母と民の為に奮闘する。


※以下ネタバレ有り

この映画が気になってネタバレが嫌な人は下まで一旦スクロールして下さい。




兄に玉座を奪われかけるが、弟は民からの支持を一身に集め王になる。その後、王として外の世を知る為に訪れた土地で運命の出会いをするが、とあるいざこざに巻き込まれ王の座を兄に譲る事になる。
しかし、民は弟バーフバリの退位を快く思わなかった。国中に木霊する民のバーフバリという呼びかけ。その中で唯一、一切の迷いなく新たなる王の誕生を受け入れるものが居た。

バーフバリだ。誰よりも王を渇望された男は、国の為に王である事を辞めたのだ。

このシーン、いや、王になる争いの時点で私は感動していた。そして、このシーンでバーフバリが王ではなく、国防長官として力強く宣言をしているシーンで私は泣いていた。この男は、王になる為に産まれたのではなく、王として産まれたのだという証だった。
王という権力を誇示する為、玉座を目指した兄とは違い、弟はただ民の、国の事だけを考えていただけなのだ。

民無くして、何が王か。

そう画面から飛び出してくるような迫力があった。男は一度も王になるなどと言ってはいないのに、そこに居る男は紛れもなく王だった。

この男は国の為に、いや、国のせいで死ぬのだ。だがこの男は、どんな時でも王であった。例えその命尽きて、裏切り者と罵られようと。

このシーン2642935785回観た。是非観てない人は観て欲しい。








※ネタバレ終わり

この作品を糞雑に表現すると

ダイナミックハリウッドなろうミュージカル

だ。実質兄弟みたいな男達が、己の威信を掛けて素手で殴り合うしメタルギアソリッドみたいなもんでもある。気になったら観て欲しい。
ていうかMGS:PWに出てくる"人間パチン虎"みたいなシーンあって凄い笑った。そこも観て貰いたい。

イメージ図

最後にインド映画初心者が初めてバーフバリを観た感想を書こう。

"馬鹿みたいに面白かった"

水曜どうでしょうのBOXが欲しい貧乏です。