花ざかりの森・憂国

好きな人の読む本が気になる僕ですが。
そんな人から借りた三島由紀夫短編集。

僕にとっての初三島由紀夫作品であり、
これによって三島童貞を捨てた訳ですが…。

三島くんって、面倒臭い。

学生時代の三島くんはお顔も良いし、頭も良いし絶対にモテたけど、
告白されて付き合ったのに何故か振られるってことを繰り返してきたに違いない(偏見)

一つ一つの動作に意味を求め過ぎる。
瓶の蓋を開ける動作に思いを乗せて、
空の青さに心情を重ね、日の陰りに不吉を過ぎらせる。
THE☆丁寧過ぎる暮らし。
この調子で生活してたら朝ご飯食べ終わる頃には日が暮れている気がする。
絶対に厨二病発症しているよねって思ったら、表題の作品なんて本当に十代で書いた作品で、
それは本当に信じられない気持ちになる。そこまで所作に対して意味をのせ、表現なんて出来ないよ普通。
三島さん半端ないって。

………

そして、
人にある欲望とか悪徳、社会の矛盾や不条理を「うわぁ〜、やめちくりぃ〜」ってなるまで描いた短編集でもある。

慎ましく堅実な家族計画持った夫婦がセックスショーで生計を立てていたり(百万円煎餅)、
元許婚との数十年ぶりの再会で、今でも自分に気があると思いこんでスカされたり(覚えられてすら居なかった)(遠乗会)、
夢で英雄であるとの啓示を受け行動した少年たちが、最後にはまとめて奴隷に売られたり(海と夕焼)、
ぽっと出の男に好きな人を奪われて歯がゆい思いをしたり(しかも、ぽっと出の方は全然気がないふりしていたのに、それポーズだったんかーいって感じになるであろう終わり方に居た堪れなさがしゅごいぃ)(女方)、
二・二六事件で謀叛した友を討伐する命を受けた中尉が苦悩し、妻と共に自害するまでの1日を克明に描いたり(憂国)…。

昔言葉で分かりにくい部分もあるけれど、人間の内面は不変のものだと感じさせる説得力に満ちている。

死してなお読み継がれる作家である理由が分かる一冊でした。
と言いながら初めて触れたんですけれど。

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