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シンガポールの年金システムCPFについて

海外で働くことのデメリットの一つが、日本の年金システム(公のもの、NISAやiDeco含む)で資産運用ができず、滞在国でも外国人のため年金システムに加入できないことだと思います。各国の年金システムは基本的に非課税で長期的な資産運用に適した制度になっているので、どこの国の年金システムに入れないと節税や資産運用の観点で非常に不利になります。

ただし、シンガポールではPR(永住権)を取ると基本的に選挙権以外は市民権と同等の扱いなので、シンガポールの年金システムであるCPF(Central Provident Fund)に加入することができます。

本記事では、CPFとはどういう制度なのか、日本の年金システムとの違い、加入のメリットなどを紹介します。

(注)私もつい先日加入したばかりなので、100%理解できている訳ではないので、さわり部分だけご紹介します^^ 詳しくは公式サイトを参照ください。

CPFとは?日本の年金との違い

CPFは正式名称Central Provident Fund(直訳は中央倹約基金ですか?なぜかpensionではない)であり、シンガポールの年金基金です。

https://www.cpf.gov.sg/Members

私の把握している限り、日本の年金システムとの大きな違いは、以下の通りです。

(注)仕組みに興味がない人は読み飛ばしてください。

違いその1 - 還付方式(世代間扶養)ではなく積立方式

日本の年金が世代間扶養方式であることはご存知だと思います。世代間扶養である理由は、皆さん現役世代が支払った保険料が前世代の給付に使われています。この仕組みは日本が人口ボーナス期(現役世代の方が前世代より人数が多い)の時には合理的であり、かつインフレには強いとされていますが、少子化でデフレの現代では一人で老人を2人も3人も支える形になり、非常に不安定だと言えます。

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https://www.mhlw.go.jp/topics/nenkin/zaisei/zaisei/04/04-17-4.html

一方で、シンガポールの年金システムは積立方式です。現役世代が自分で自分の年金を積立る方式です。若い時に貯めたお金で老人になった自分の年金を賄うので、少子化になっても安定しています。

違いその2 - 年金システムが1種類でありシンプル

日本の年金と言えば階層化されており、上乗せ年金部分は加盟者の職業によって入る先が異なり非常に複雑です。日本の年金システムをシンガポール人嫁に説明しましたが、理解してもらえませんでした。

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https://www.nenkin.go.jp/service/seidozenpan/20140710.html

一方で、シンガポールはCPFの1種類のみで非常にシンプルです。

(私が知らないだけで、実は公務員や自営業者は別ですよ!なんて情報お持ちであれば教えてください^^)

違いその3 - 年金以外に教育・住宅・医療など多目的に使え

私がPRを取得し、CPFについて勉強し始めて1番驚いたことが、口座が目的ごとに別れていて年金以外にも多目的に使える点です。

以下はCPFのサイトにある各口座の概要です。

企業に勤務している場合は、雇用主と従業員がそれぞれ決められた金額をCPFの各口座に拠出します。拠出分は非課税ですので、政府が許可した目的に対して非課税で貯蓄できる、なかなかよく出来た仕組みだと思います。

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https://www.cpf.gov.sg/Members/AboutUs/about-us-info/cpf-overview

・Ordinary Account (OA) は日本語だと普通口座でしょうか。これは日本の年金口座にはない仕組みだと思います。自分の年金ではなく、住宅ローン・保険・学費の支払いなどに利用できす。一般的な使い方は、毎月、夫婦でそれぞれのOAに拠出したお金を住宅ローン支払いに回したり、あるいは将来、子供の学費として貯めておく、などでしょう。

・Special Account (SA) は日本の年金口座と同じです。自分の老後の資産を投資するための口座です。OAとSAはそれぞれ金利が違います(OAは最大3.5%まで、SAは5%まで)。SA方が高金利ですが、OAからSAへの一方向にしかお金を移動できないので注意が必要です。住宅ローンや学費などOAで支払う分はOAに残しておき、余裕分をSAに回す必要があります。

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(注)OAの金利が3.5%となっていますが、これにはCPF口座全体で最初の6万ドルのうちOAの最大2万ドルに対する追加金利1%が含まれています。それ以上には通常金利2.5%が適用されます。

Savings in the SA and RA earn an interest rate of up to 6%*.
* Your CPF savings in the Ordinary Account (OA) earn guaranteed interest rates of 2.5% per year, while savings in the SA, MediSave Account and RA currently earn interest rates of 4% per year. The first $60,000 of your combined CPF balances, of which up to $20,000 comes from your OA, earn an additional 1% interest per year. Since 2016, an additional 1% interest is paid on the first $30,000 of combined CPF balances for all members aged 55 and above.

・MediSave Account (MA) は医療費用の口座です。MediSaveからの支払いを許可されている医療についてはMAから支払いできます。政府から医療費の補助がある場合、政府からMA口座に給付金があります。例えば、子供を出産した場合は、母親のMAに(確か、子供のMAにも)出産一時金が振り込まれます。

(注)Retirement Account (RA) は55歳の誕生日に作成される口座で、私も持っておらず、内容を把握していないので、ここでは省略します。

年金資産のおすすめ節税方法

基本的なCPFの仕組み、日本の年金との違いは以上です。最後に嫁さんから教えてもらった節税方法を1個紹介します。

自分や家族のSA(年金口座)に非課税で7000ドル/年(約56万円)top-up(追加)できます。もし家計に余裕があり、所得税をより安くしたい人は活用した方が良いと思います。

Cash top-ups can be made to any recipient. You can enjoy tax relief of up to $7,000 per calendar year if you are topping up for yourself and additional tax relief of up to $7,000 per calendar year if you are topping up for your parents, parents-in-law, grandparents, grandparents-in-law, spouse and siblings.

終わりに

以上までが私がCPFについて把握している内容です。ここまでの分でCPFを理解するとっかかりの分として十分だと思いますし、PRを目指す動機として十分だと思います^^  本記事が皆さんがPRを目指す心の一助になれば幸いです。

(CPFを利用し始めて日が浅く、理解が不十分のため、もしベテランの方でもっと便利な仕組みや制度があるという情報がありましたら、ぜひ教えていただけると助かります!)


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