谷崎詩緒

読んで、何かを書く、こころみ

谷崎詩緒

読んで、何かを書く、こころみ

最近の記事

2024年5月某日。上旬。情潤。

ゴールデンウィークといえば旅なのだろうが、もっぱら本を開いて別世界へ旅することを繰り返していた。ふだん手に取らないような単行本を読もうと思い、茅盾『藻を刈る男』を読んだ。 中国の小説を読むのは初めてかもしれない。と書きながら嘘だと気づく。2、3年前に『三体』読んだわ。現代中国作家でグローバル大ヒット。まさかNetflixで映像化されるとは。それに比べると茅盾はマイナーだ。大体、まず、読めない。矛盾?最強の盾と最強の矛がゴッツンコかなと思いきや、茅盾なので気をつけないといけな

    • おやすみ最後の日はのんびり友田とん

      連休最終日は、友田とん『パリのガイドブックで東京の町を闊歩する: まだ歩きださない』を読むつもりでダラダラしていた。機械書房さんでお勧めされて購入して以来、積んでいたのだけど、この連休を締めくくるのにちょうど良さそうなゆるさを勝手に感じて温めていた。 そんな風にぼんやりしていたら『「百年の孤独」を代わりに読む』が早川書房から刊行されるという一報が流れてきたではありませんか。もうこれで友田とんさんも一躍スター選手になって、綺羅星の如く輝き、昨年の「新しい学校のリーダーズ」のよ

      • 思考と感性、感性と思考

        谷川雁『原点が存在する』を読んでいた。 社会主義的なリアリズムを基調とした詩人、とwikipediaには書いてあったが、あまりそういう左翼的な関心がなくても十分刺激的だった。 表題作を読んでいると、言葉や詩に関する研ぎ澄まされた思考に惹かれる。感性と思考は離れたもののように思われがちだけど、実際は密接につながっているものなんじゃないか。お腹と背中くらい近く、そして分かち難いものなんじゃないか。なんとなくの感性というものはなく、思考によって磨き抜かれた感性なんじゃないか。そん

        • 不快は不愉快、不愉快で不快

          今朝も、朝から不快なことがあり、くさくさしていたのだが、自分ももう、いい大人なので、どんなに他人が悪逆非道で正義は我にあり、という状況だったとしても、その絶望から這い上がり、自分の機嫌は自分でとらなければいけないということは心得ている。 気晴らしをするには自分が好きなものに没頭するのがもっとも良いことはわかっていて、さらにそれは本を読むことであるのだけど、忙しい現代を生きる私たちはいつでもどこでも本を読む自由は与えられておらず、癒しが必要なときに速やかな読書がかなわない場合

        2024年5月某日。上旬。情潤。