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Legalscape のリモートワークを支えるコラボレーションのしくみ

こんにちは、秋元です。

Legalscape という会社でエンジニアをしています。

皆さん、リモートワークしてますか?Legalscape では週4でリモートワークをしています(2021年12月現在)。

リモートワークで組織として仕事をする上でのコラボレーションは、同期・非同期コミュニケーションが混合し、情報をどのように流通させるかなど、なかなか各社工夫しがいのあるところではないでしょうか。

Legalscape が約1年9ヶ月に渡ってリモートワークをやってきたなかで得た経験則や文化をご共有し、柔軟で生産性の高い働き方ができる組織とはどういうものかという議論に資すれば幸いです。

🎄 この記事は Legalscape アドベントカレンダー 2021 の12月7日の記事です。前回は久本さんの「言語処理学会年次大会をスポンサーしている話」でした。

私たちの取り組み

Legalscape におけるリモートワークのコラボレーションは、Slack や Notion といった文字媒体を使った非同期・オープンな情報の共有を基盤とし、Discord などのビデオ会議サービスを使った同期的なコミュニケーションも日常的にしています。

テキストによる情報共有

Legalscape では、可能なかぎりすべての社内情報を文字としてオープンに共有しようと努めています。業務上の会話、意思決定、会議録、設計、仕様、オペレーションログ、コードなどが実際に記録され、社員ならば誰でもいつでも見られるようになっています。適切なツールを用いて文字情報として残しておくことで、何を、誰が、いつ記録したのかが履歴を含めて残ります。これには書いた本人にとってのメモという価値だけではなく、それ以外の人にとってもアクセス可能な情報になるというメリットがあります。

ただし、現時点では人事などの一部の情報はこれに含まれていません。また、人によってどこまでを積極的に共有しているかはマチマチで、透明性の観点ではもっと議論や改善の余地があります。

ドキュメンテーション

具体的なツールを一部ご紹介しましょう。Legalscape の情報共有のコアは Notion です。Notion には体系的に情報がまとめてあり、プロジェクトマネジメントの記録や、各システムに関する wiki のようなもの、各種の議事録、オペレーションログなどがあります。日報や業務メモを書いている人もいます。僕が何か探すときはまず Notion を検索しています。

Google Workspace の docs や spreadsheet もよく使われています。こちらは体系的というよりも、雑多なメモや表計算が必要なときにアドホックに使っていることが多いです。

Microsoft SharePoint も歴史的経緯により使っています。外部とのやりとりでは MS Office プロダクトを使うことがあるため、SharePoint に Word や Excel などのファイルが置いてあります。それでも Google Workspace への移行を進めようとしており、移行できるものは既に移行済みです。

タスク管理

タスク管理には Linear を使っています。以前は Azure DevOps を使っていましたが、Linear の使いやすさ、軽さ、シンプルさに惹かれ、一定の試行期間を経て Linear に移行しました。Linear はガッチリしたアジャイル向けではなく、かなり簡素化されたプロジェクトマネジメント向けの軽量なサービスです。半年ほどの使用を振り返ると、Linear でほぼ問題なくプロジェクトマネジメントができていると思います。プロジェクトマネジメントで問題があるときはツールの問題ではなく仕組みの問題であるという話が社内ではあり、その意味では現在の Legalscape には Linear くらいの複雑さで十分ということかもしれません。なお、Linear でどの程度まで細かいタスク管理をするかは個人の裁量に任されています。

テキストチャット

日常的なテキストコミュニケーションは Slack で行っています。約 70 のパブリックチャンネルがあり、プロジェクトごとのチャンネルや雑談チャンネルなど 20 ほどが毎日動いている印象です。Slack には人間以外の投稿もたくさんあり、人間と機械が一同に会する場になっています。例えば GitHub からは CI/CD の結果やリリースノートの下書き(リリース実行画面に直行できるボタン付き)が飛んできますし、Google Cloud 系で言うとシステムのアラートや今月の GCP 費用予測などが飛んでくるようになっています。Linear とも接続していて、いま社内で何が起こっているのかが大体わかるようになっています。

コード

コードホスティングには GitHub を使っています。各リポジトリの issues は使っておらず(Linear にすべて集約しているため)、pull requests と GitHub Actions を主に使っています。各 PR では多いときには数十のコメントが付きます。ちなみに社内の CI/CD のほとんどは GitHub Actions で構築しています。最近 GitHub Issues というリポジトリをまたいだプロジェクトマネジメント機能が登場し、弊社ではまだ使っていませんが個人的に注目しています。

BI

ビジネスインテリジェンス的な観点では、BigQuery に情報を集約しつつあるところです。まだまだ改善の余地はありますが、 SQL さえ書ければビジネスに関わる数字やデータがだいたい手に入る環境ができつつあります。

ビデオ通話によるコミュニケーション

Legalscape でのリモートワークのコミュニケーションは、ここまで書いてきたようにテキストベース、非同期でだいたいカバーできます。他方、ビデオ通話ツールを用いた会議や相談、雑談などの同期的なコミュニケーションにも価値があると私たちは考えています。

弊社におけるビデオ通話サービスの利用状況は、フルタイム社員が8名、業務委託の方が数名で概ね10名前後です。この規模で、約1年半に渡り様々なビデオ通話サービスを試してみました。

場面

Legalscape でビデオ通話を使う場面には、いくつかのパターンがあります。

つなぎっぱなし

特に決まりはないのですが、フルタイムエンジニアは勤務中つなぎっぱなしにしていることが多いです。カメラはオンにしたりオフにしたりとまちまちです。基本的にはミュートで、口頭で相談したいときに声をかけたりします。

会議

週次のミーティングや、毎日やっている開発困りごと相談タイム、全社会、1 on 1 などではだいたいの参加者がカメラオンでつなぎます。ドキュメントやスライド、コードなど何かを見ながら話すほうが早いときは、画面を共有することで、全員が同じものを見て会話をする状況を作ります。

相談

突発的な口頭での相談などもよくあります。基本は前述の Slack や Notion、GitHub、Linear 等でのテキストベースのコミュニケーションですが、必要に応じて口頭での相談もします。

雑談

つなぎっぱなしにしている人が多いため、何か相談したときや会議のあとなどで雑談が自然発生することもあります。また、1週間すべてフルリモートだった時期には、週に1回昼ごはんを食べながら雑談する時間を設けていました。

何が大事か

複数のサービスを試していくうちに、ビデオ通話ではいくつかの大事なポイントがあるとわかってきました。

画面共有した時に細かい文字まで見える

会議や相談などで画面を毎日のように共有します。共有された映像の画質が悪かったり、画面の文字がスクロールのたびにジャギーになっていては仕事にならないので、画面共有時の画質の良さはかなり重要です。反面、弊社の場合は動画ではなく文書や図を見られれば十分であるため、フレームレートはあまり求められません。

マシンへの負荷が軽い

会議などで複数人がカメラをオンにすると流石に CPU に負荷がかかります。カメラを切るという対処法もありますが、この負荷がなるべく低いとありがたいです。

手軽に会話を始められる

日常的に使うものなので、複雑な手順なしで気軽に会話を開始できると便利です。

多くのプラットフォームに対応している

Legalscape には openSUSE を普段使いしている人もいるため、 Linux でも動いてくれる必要があります。

チャンネルの概念が存在する

チャンネルや部屋のような概念があると、毎日気軽に出入りでき、一同が会するバーチャルオフィスや個別の会話をするための会議室を再現できるので便利です。

結局どれがいいの?

たくさんのビデオ通話サービスがあり、どれが最適かは組織ごと、チームごとに異なるでしょう。あくまで Legalscape での話ですが、私たちは現在 Discord をメインで使っています。ここに至るまでに、5つのビデオ通話サービスを試したり本格的に使ったりしてきました。

最初は Google Meet の特定の URL に毎日入っていましたが、純粋に URL しかなく、予定にない突発的な会議をしようとするときに新たに URL を発行する必要があり少し手軽さに欠けていました。

Tandem はかなり便利だったのでしばらく使っていました。一般的なビデオ通話では声を出すと全員に聞こえてしまいますが、Tandem ではより自然に話しかけたい人にだけ話しかけることができました。またルームの概念があるので毎日使うのに便利でした。

Tandem

他にも静止画が数秒ごとに更新される Sneek、UI が凝っていて楽しい Around、Slack の機能である Huddle などを試しましたが、最終的に落ち着いたのは Discord でした。

Discord Legalscape サーバー

Discord にはチャンネルの概念があるので、「ワークルーム」「会議室」といったチャンネルを用意してバーチャルオフィス的に使えます。Slack が既にあるのでテキストチャンネルは使っていません。

Discord の画面共有では、フレームレートと画質のどちらを優先するかを選ぶことができます。フレームレートを落として画質を優先することで、細かい文字も拡大せずに見せられます。

Discord の画面共有設定

他にも、マイクのノイズを軽減する Krisp というサードパーティソフトウェアが組み込まれていたり、最近ではバーチャル背景がロールアウトされたりと、徐々に高機能になってきています。また、CPU への負荷も以前より改善されてきたようです。

Discord は多様なコミュニティの活動の場という方向性を目指しているため、バーチャルなオフィスとしての使い方はかなりフィットしているように感じます。

ハイブリッドワークに備えて

Legalscape は今のところ、社会情勢に応じてフルリモートだったり、週 4 リモート週 1 出社だったりという状態に落ち着いています。今はまだハイブリッドワークと言えるほど洗練されたしくみ・制度ができているわけではありませんが、普段は場所を選ばず働き、時々集まってチームの共有知識を増やすというやり方を試しています。

今回の記事はちょっと細かい話ではありましたが、それだけ Legalscape には多様な働き方のミックスで生産性を高めたいという文化があります。この記事を読んで Legalscape での仕事に興味が湧いた方や、リモートワークの工夫しどころについてもっと詳しく聞きたいという方は、ぜひ採用情報をご覧ください。カジュアル面談の機会も用意していますのでお気軽にご連絡ください!

🎄 この記事は Legalscape アドベントカレンダー 2021 の12月7日の記事です。次回は大谷さんの「レイアウトコンポーネントを使ってレイアウトを統一した話」です。

ちなみに見出し画像中の素材は shigureni さんです。