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#154 「廣川書店事件」東京地裁(再掲)

2006年9月27日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第154号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【廣川書店(以下、H社)事件・東京地裁判決】(2006年4月28日)

▽ <主な争点>
私傷病等による賞与の減額査定が権利の濫用に当たるか

1.事件の概要は?

本件は、平成16年の夏季賞与の支給につき、H社がAとBについては私傷病による欠勤などを理由として、Cについては業務上のミスを理由として、それぞれ減額査定を行って賞与を支給したために、AらがH社に対し、当該賞与の査定は権利濫用に該当し無効であると主張して、減額支給された賞与額と減額を受けない場合の賞与額との差額を請求したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<H社およびAらについて>

★ H社は自然科学部門の大学用教科書の出版などを事業目的とする会社であり、平成17年1月末現在の社員数は21名である。

★ Aは昭和52年4月にH社に入社し、本件当時(平成16年9月)は同社の営業部に、Bは46年4月に入社し、本件当時は経理部に、またCは49年9月に入社し、本件当時は営業部にそれぞれ所属していた。

★ Aら3名はいずれも、H社の社員により構成されるH社労働組合(以下「組合」という)の組合員であり、本件当時の組合員数は15名であった。

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<本件賞与および本件協定等について>

▼ H社と組合とは、16年9月、同年の夏季賞与(以下「本件賞与」という)の支給につき、以下の内容を要旨とする協定(以下「本件協定」という)を締結した。

(1)支給額:(30万円×本人就労日数÷121日)±20万円<会社査定
(2)会社査定>部分は、プラス・マイナス20万円の範囲で、会社業務への貢献度を勘案して、会社が決定する。

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