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#407 「コンチネンタル・オートモーティブ事件」横浜地裁

2016年3月16日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第407号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【コンチネンタル・オートモーティブ(以下、C社)事件・横浜地裁決定】(2015年1月14日)

▽ <主な争点>
休職期間満了時の復職可能か否かの判断など

1.事件の概要は?

本件は、XがC社に対し、休職事由が消滅したにもかかわらず、休職事由が消滅していないとして休職期間満了による退職扱いをしているのは不当として、未だ同社との間で労働契約が継続していることを前提に賃金の仮払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<C社およびXについて>

★ C社は、自動車部品(ブレーキ、ブレーキ制御装置、シャシー、シャシー制御装置)およびこれらの部品の研究、開発、設計、製造、販売および修理を主たる目的とする会社である。

★ Xは、C社との間で雇用契約を締結していたところ、平成25年7月に適応障害の疑いと診断された者である。

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<休職期間満了に至った経緯等について>

▼ Xは25年7月29日、主治医から適応障害を理由として、同年7月30日から8月31日まで自宅療養が必要であると診断された。

▼ Xは同年7月30日から10月29日まで傷病欠勤、同月30日から傷病休職となった。なお、C社就業規則の規定によると、Xは3年未満の勤続年数であるため、「傷病欠勤は3ヵ月、傷病休職は12ヵ月」であった。

▼ Xは26年9月29日、適応障害を理由として、同年10月1日から31日まで自宅療養が必要であると診断されていた。

▼ C社は同年10月10日にXに対し、「退職手続書類送付のご連絡」等の文書を送付した。その内容は同年10月29日の経過をもって休職期間満了により自然退職となる旨の通知および退職手続に関するものであった。

▼ 同年10月17日、XからC社に対し、症状が軽快しており、同月27日よりの通常勤務は問題がないと診断されたとして「復職のご連絡」という書面が送付された。

▼ 同年10月22日、C社代理人がXの主治医と直接面談して話を聞き取ったところ、同医師は「XがC社からクビを宣告されて、焦って目が覚めたと言ってきて、同社に戻りたいと言ってきたので、希望どおり通常勤務は問題ないという診断書を書いた」などを述べた。

▼ C社は同年10月24日、Xに対し、休職期間満了を理由に同月29日の経過をもって退職させる旨を撤回しないことを連絡した。

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<C社就業規則の休職、復職に係る定め等について>

★ C社における就業規則の規定は、以下のとおりである。

第47条(休職)
1 社員が次の各号のいずれかに該当するときは会社の判定により期間を定め休職を認めることがある。休職期間満了後、復職出来ないときは退職とする。ただし休職期間は会社の判定により延長することがある。
(1)傷病休職
業務外の負傷疾病により、業務遂行がかなわない場合、以下の傷病欠勤及び傷病休職の取得を認めることがある。傷病休職は、原則として傷病欠勤の期間終了時より連続して取得するものとする。
  勤続3年未満:傷病欠勤3ヵ月 傷病休職12ヵ月
  勤続3年以上:傷病欠勤6ヵ月 傷病休職24ヵ月
(2)以下略

第49条(復職)
 休職期間中に休職事由が消滅したときは復職させるものとする。
 傷病休職の場合は、復職にあたり、社員は医師の診断書を会社に提出する。会社はその内容に基づき復職を決定する。なお、会社は必要に応じ、会社の指定する医師の診察を受診させ、その診断書を提出させることがある。社員は正当な理由なく、これを拒んではならない。

3.社員Xの主な言い分は?

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