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#529 「ヤマダコーポレーション事件」東京地裁(再掲)

2021年1月20日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第529号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【ヤマダコーポレーション(以下、Y社)事件・東京地裁判決】(2019年9月18日)

▽ <主な争点>
試用期間満了時まで指導を継続せず決定した本採用拒否など

1.事件の概要は?

本件は、Y社に正社員として採用されたXが、同社から試用期間満了により解雇されたが、解雇は無効であるとして、Y社に対する雇用契約上の地位確認および解雇時からの未払賃金の支払とともに、不当解雇等による不法行為ないし債務不履行に基づく損害の賠償を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Y社およびXについて>

★ Y社は、圧縮空気を動力源としたポンプを開発・製造するメーカーであり、自動車整備工場や車輛メーカー向けの製品開発・販売・メンテナンスを業とする会社である。

★ Xは、平成29年9月にY社へ入社し、経営企画室係長としてITインフラ運用・保守等の社内情報システム管理の業務に従事していた者である。なお、XはY社入社以前において、3社に勤務し、システムエンジニアとして約27年間の社会人経験を有していた。

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<本件解雇について>

▼ 試用期間途中の勤務について、(1)部下に対する威迫的な言動、(2)取引先との間での発注データ送信の不具合が生じた際の不適切な対応により取引先とのトラブルを生じさせた、(3)データの誤消去等の業務上のミスおよびその際の対応により他部署との軋轢を生じさせた、等の行為があったとし、Y社はパワーハラスメント、勤務態度不良、勤務能力不足等の理由により、29年11月30日付で試用期間満了に伴い、Xを解雇した(以下「本件解雇」という)。なお、本件解雇の通知は試用期間満了の約2週間前になされている。

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<Y社における就業規則等の定めについて>

★ Y社における就業規則には以下のような定めがある。

第11条
 従業員は、勤務に関して次の各号を守り自己の職務を遂行するとともに、進んで能率の向上に努めること。
(中略)
 職場において、職権などの立場を利用して業務上の適切な範囲を超えて、個々の従業員の人格を無視した言動や強要をしないこと。
 パワーハラスメントについては第69条懲戒のほか、「パワーハラスメントの防止に関する規程」により別に定める。

第39条
 新たに採用された従業員は、入社後3ヵ月間を試用期間とし、試用期間終了後本採用とする。試用期間は勤続年数に通算する。

 前項の試用期間中に、従業員として不適当を認めた者は、採用を取り消すことがある。
(以下略)

★ Y社におけるパワーハラスメントの防止に関する規程には以下のような定めがある。

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