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#6 「日経クイック情報事件」東京地裁

2003年9月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第6号で取り上げた労働判例を紹介します。


■【日経クイック情報(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2002年2月26日)

▽ <主な争点>
私用メール、誹謗中傷メールに関する調査がプライバシー権の侵害に当たるかなど

1.事件の概要は?

本件は、N社の社員Aに誹謗中傷するメールが送られてきた事件について調査する過程での同社のX(当時社員)に対する事情聴取が名誉毀損に当たるとして、XがN社に対し慰謝料の支払いと同社が調査の過程で入手したXの個人的なデータの返還を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ Xは、平成9年10月、N社に雇用され、10年頃から営業第一部に勤務していた者である。


<私用メール等に関する調査、Xの退職に至った経緯等について>

▼ N社の社員Aが11年6月頃から自分に宛てて誹謗中傷する電子メールが複数回送られてきたという苦情を同年12月、会社に申し立てた。同社が発信者を調査したところ、Xの机の上の端末を使用してメールが送信さていることが明らかとなったため、Xへの事情聴取がなされた。

▼ 第1回目の事情聴取でXは問題のメールとの関わりを否定したため、会社のパソコンサーバーを調査したところ、Xが送受信した多量の私用メールのファイルが発見された。

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