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#411 「甲社事件」東京地裁

2016年5月11日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第411号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【甲社事件・東京地裁判決】(2015年1月14日)

▽ <主な争点>
内部告発を理由とする解雇など

1.事件の概要は?

本件は、保健所に対して不正目的による虚偽の通報を行い、会社の業務を妨害した等の理由で甲社から解雇されたXが、解雇の無効を主張して、労働契約上の地位にあることの確認等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<甲社およびXについて>

★ 甲社は、東京都内に本社を置く、高齢者等に弁当を配達する配食サービス業者であり、直営店を数店舗展開している。

★ Xは、平成23年11月、甲社との間でS店(以下「本件店舗」という)の厨房スタッフ(パートタイマー)として労働契約を締結した者である。

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<本件解雇に至った経緯、解雇理由等について>

▼ S保健所は、Xが平成24年12月12日に行った通報に基づき、同月17日に職員1人で、同月25日に職員4人で本件店舗に対し、抜き打ちで立入検査を行った。

★ XはS保健所に「本件店舗では、汁物用ポットが細い管式のもので中が洗えないため、カビ臭がしている」等の事実を通報した。

▼ Xは12月25日、立入検査に入ったS保健所職員が帰った直後、本件店舗の店長であるAおよび甲社の取締役であるBの両名から「通報者はお前だと判った」等と告げられ、即時、その場で解雇された(以下「本件解雇」という)。

★ 甲社の主張による解雇理由は、(1)日頃から上司の業務指示に従わず、勤務態度が著しく不良で協調性が著しく欠如していたこと、(2)不正目的による虚偽通報を行い、会社の業務を妨害したことであった。

★ 上記の立入検査の結果、Xによる通報事項および見聞事項はいずれも確認されなかったが、S保健所から甲社に対して15項目にわたる衛生指導がなされた。

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<パートタイマー就業規則等について>

★ 甲社のパートタイマー就業規則には以下のような定めがある。

第15条(服務の基本原則)
パートタイマーは、正社員就業規則第5章(服務規律)に定めるほか、少なくとも次の各号に掲げる事項を遵守しなければならない。これに抵触したときは、雇用契約期間中といえども解雇し、又は次期の契約を更新しないことがある
(2)所属長の指示命令に従うとともに、仕事中の私語、私行為を慎むこと。
(3)会社の内外を問わず会社の名誉を害し、又は信用を傷つけ、若しくは同僚を中傷する等会社の人間関係に悪影響を与えないこと。
(5)整理整頓、職場の清潔保持に努め、同僚に明るく接し、迷惑をかけないこと。
(10)他のパートタイマーと相互に協力して、会社の業務の円滑な遂行に努め、利己的態度をとらないこと。
(11)この規則及び会社の指揮命令に従うこと
(12)その他、業務の正常な運用を妨げ若しくは職場の秩序を乱し、又は顧客、取引先等に不快感を与えるような行為を行わないこと。

第18条(解雇)
パートタイマーが次のいずれかに該当するときは、雇用契約期間中といえども解雇し、又は次期の契約を更新しない。
(2)協調性がなく、注意、指導しても改善の見込みがないと認められるとき

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