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#170 「人材派遣会社社員(労働安全衛生法違反等被告)事件」長崎地裁

2007年1月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第170号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 参考条文

★ 労働安全衛生法 第66条(健康診断)

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。(2項以下 略)

★ 労働安全衛生規則 第43条(雇入時の健康診断)

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目(1~11 略)について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

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■ 【人材派遣会社社員(労働安全衛生法違反等被告)事件・長崎地裁判決】(2006年10月3日)

▽ <主な争点>
派遣労働者雇入れ時の健康診断不実施/労働安全衛生法違反等

1.事件の概要は?

本件は、人材派遣会社であるS社において人材派遣業務全般を統括管理していたXが、新規の派遣労働者を雇用する際、労働安全衛生法規で定められた健康診断を行わず、同社従業員を利用するなどして、医師名義の健康診断個人票を偽造し、派遣先に提出して行使したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は長崎市に本店を置き、人材派遣業等を営む会社である。

★ Xは、S社の開発事業部部長として、同社の人材派遣業に係る業務全般を統括管理していた。

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<本件健康診断の不実施等について>

▼ 平成17年11月、XはS社の業務に関し、法定の除外事由がないのに、AおよびBを同社の常時使用する労働者として雇い入れる際、身長、体重、視力および聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定ならびに心電図検査等の項目について医師による健康診断を行わなかった(以下「本件健康診断の不実施」という)。

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