#476 「都市再生機構事件」東京地裁(再掲)
2018年12月12日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第476号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【都市再生機構(以下、T機構)事件・東京地裁判決】(2017年11月10日)
▽ <主な争点>
事故等への対応のために携帯電話を貸与された場合の労働時間該当性など
1.事件の概要は?
本件は、T機構に雇用されているXが携帯電話を渡され、休日も3時間以内に現地集合できるように指示されていたので自宅またはその周辺に待機していた時間が労働時間に当たるとして、主位的に時間外手当の支払を求め、予備的に休日の待機の要否について適切な説明を行わなかったことが不法行為に当たるとして、手当相当額の財産的損害および慰謝料の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<T機構およびXについて>
★ T機構は、都市再生・住環境・災害復興・郊外環境に関する業務を行う独立行政法人である。
★ Xは、平成11年11月、T機構に中途採用され、27年4月、同機構の東日本都市再生本部東日本公園事務所(以下「本件事務所」という)に異動し、総務課長(非管理職)として、総務・経理業務のほか、特定公園施設(国営昭和記念公園の昭和記念館1施設、国営ひたち海浜公園の遊園地プレジャーガーデン等6施設。以下「本件施設」という)の運営管理を担当している者である。
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<本件業務の内容、T機構からの携帯電話の貸与等について>
★ 上記運営管理業務には事故対応の連絡調整業務(以下「本件業務」という)も含まれており、その内容は本件施設で事件事故、災害による被害等が発生した場合、テナントから電話で報告を受け、直ちに現地に赴き、被害状況・負傷程度の確認および把握、テナントに対する指示、T機構本社への連絡等を行うというものである。
★ XはT機構貸与の携帯電話を渡され、事故等が発生した場合の連絡を受けるよう指示されていた。また、本件施設関係者に対して自宅の電話番号を記入した連絡網を渡すよう指示を受け、実際にXの自宅および上記携帯電話番号が記載された緊急連絡網が作成されていた。
★ Xが本件業務を担当していた期間を含め、平成25年度から27年度までの3年間、本件施設において事故等の発生件数は0件であった。また、Xが本件業務を担当していた期間、T機構から休日に携帯電話または自宅に連絡を受けたことはなかった。
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