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#109 「銀行産業労働組合・AIGスター生命事件」東京地裁(再掲)

2005年10月26日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第109号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【銀行産業労働組合(以下、G組合)/ AIGスター生命(以下、A社)事件・東京地裁判決】(2005年3月28日)

▽ <主な争点>
労働組合の街宣ビラ配布・HP上での公衆送信による会社の名誉・信用毀損等

1.事件の概要は?

本件は、A社が同社を雇止めされたXら4名の嘱託事務員に関して、4名が加入していたG組合が虚偽の事実を記載したビラを配布したことおよび同ビラをG組合開設のホームページ上にアップロードして公衆送信したことによって、A社の名誉・企業イメージおよび信用を毀損されたと主張して、G組合に対し、慰謝料500万円の支払い並びに謝罪広告の掲載等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<A社およびG組合について>

★ A社は、千代田生命保険(以下、C社)が平成13年3月に「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」に基づき、更生計画の認可を受け、商号および組織変更をした、生命保険業を目的とする会社である。

★ G組合は主として金融機関の従業員により結成された個人加入形式の労働組合であり、同組合には12年2月以降、C社とA社の従業員、元従業員が加入している。なお、A社にはG組合のほか、同社の従業員多数をもって組織されているA社労働組合が存在する。

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<本件雇止めについて>

▼ A社は組織・業務の再編の一環として、顧客サービス本部の機能を東京から長崎に移転することにしたのに伴い、嘱託事務員(A社においては、有期雇用契約を締結した常用の職員をいう)であるXら4名(以下「本件嘱託」ともいう)を15年8月末または9月末をもって、雇止めにした(以下「本件雇止め」という)。

▼ A社とG組合は15年7月から同年11月にかけて計4回、本件嘱託の雇用継続に関し、団体交渉(以下「団交」という)を行った。なお、Xらは本件雇止め前である15年6月、G組合に加入していた。

▼ G組合は15年7月、東京都地方労働委員会(当時の名称。以下「都労委」という)に対し、A社を被申立人として、同社に誠実団交義務違反があると主張して、不当労働行為救済の申立てをした。

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<G組合による本件ビラ配布、街宣活動および公衆送信等について>

▼ G組合は16年1月以降、本件雇止めについて、A社本社周辺等で頻繁に同社を批判するビラの配布および街宣活動等を行った街宣活動を行った。

★ 上記街宣活動の際にG組合が配布したビラ(以下「本件ビラ」という)に「不当解雇」・「従業員をポイ捨て」・「約束を守らない保険会社」等の記載があったほか、A社が『安心』をコンセプトに放映したテレビCMのコピーなどを掲載した上で、「従業員が安心して働けないような保険会社に『大きな安心をお届けしたい』などという資格があるのでしょうか?」との記載があった。

▼ G組合は16年1月以降、同組合が開設するホームページ上に本件ビラの一部の映像をアップロードし、公衆送信した。

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