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#38 「秋田運輸事件」名古屋地裁

2004年5月19日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第38号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【秋田運輸(以下、A社)事件・名古屋地裁判決】(1998年9月16日)

▽ <主な争点>
団体定期生命保険金の帰属など

1.事件の概要は?

本件は、運転業務中の追突事故で従業員Kが死亡したことにより、保険会社との団体定期保険契約に基づき、保険金を受領したA社に対して、Kの遺族であるXらがその保険金の引渡しを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<A社、KおよびXらについて>

★ A社は、貨物運送を業とする会社である。

★ Kは、A社の自動車運転手として勤務していた者である。

★ Xは、Kの配偶者であり、YおよびZは、いずれもKの子である。

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<本件自動車保険契約、本件団体定期保険契約、弔慰金の支払等について>

▼ 昭和63年6月、Kは長野県飯田市の中央自動車道にて、大型貨物自動車を運転中、前方に停車中の観光バスに追突し(以下「本件事故」という)、脳挫創等により死亡した。

▼ A社はM海上との間において、Kが本件事故当時運転していた大型貨物自動車について、一般自動車保険契約(以下「本件自動車保険契約」という)を締結しており、63年11月までに自損事故保険金1,400万円を受領した。

★ 自動車保険普通保険約款には、自損事故保険金は「被保険者の相続人に支払う」旨が規定されていた。

★ A社はM生命との間で、A社の全従業員を被保険者、同社を保険金受取人として、一年定期の団体定期保険契約(以下「本件団体定期保険契約」という)を締結しており、毎年更新していた。

★ 本件団体定期保険契約について、Kが商法に定める被保険者としての同意をした際、KとA社との間で、死亡保険金はKの相続人に支払う旨の合意がなされた。

★ Kは毎月の給与から1,000円を本件団体定期保険契約の保険料として控除され、これを負担していた。

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