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#258 「スカイマーク事件」東京地裁(再掲)

2010年4月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第258号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【スカイマーク(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2009年12月14日)

▽ <主な争点>
業務評価の低かった客室乗務員に対する雇止めが不法行為に当たるか等

1.事件の概要は?

本件は、有期雇用契約の客室乗務員としてS社に勤務していたXおよびYが、不当な勤務形態の変更等に抗議したことに対する報復として雇止めを受け、その地位を失ったと主張して、Yが雇用契約上の地位の確認および賃金等の支払いを求め、Xが不法行為に基づく逸失利益等の支払いをS社に対し、求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社、XおよびYについて>

★ S社は、定期航空運送事業等を行う会社であり、福岡・羽田間等に定期便を運航している。

★ X(昭和53年生)およびY(昭和56年生)は、平成17年12月、S社に入社し、18年2月、福岡ベースに配属されて客室乗務員として勤務した。

★ XおよびYの19年4月当時の雇用契約の主な内容は、「期間1年、有期雇用契約社員、平均月額賃金はそれぞれ31万2715円、29万8378円」というものであった。

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<XおよびYが雇止めされるに至った経緯等について>

▼ 19年8月、客室乗務員がスタンバイ(欠員等の交代要員として待機すること)業務中に一定時間チェックインや手荷物受託等の地上業務(カウンター業務支援)を行うことになったが、Xは立ちっぱなしで地上乗務をした後の乗務では安全確保に問題があると考えて、同月6日、客室訓練課長であるAに対して抗議をし、翌日欠勤した。なお、Xらはカウンター業務支援が雇用契約の業務内容に含まれないという趣旨の申入れ等をしたことがなかった。

▼ その後、カウンター業務支援は、手荷物受託業務が除外されるなど軽減されたが、Xは同月下旬、客室乗員部長であるBの指示により、抗議と欠勤について始末書を提出した。

▼ Xは20年2月、面接において、「135人中107位、ランクC」などの内容の業務評価を示されて、新年度の契約更新をしない旨(雇止め)通告された。

▼ Xは同月下旬、B部長に対し、雇止めの不当性を訴えたが、メールで「撤回の意思はない」、「始末書2回、欠勤9回等、業務評価において成績不良と判断した」という返信を受けた。また、その頃、Xらは労働組合の関係者から雇止めは無効という助言を受けた。

▼ Xは同年3月15日、S社に対し、「会社都合により一方的に契約満了とされたため、3月31日付で退職する」旨記載した退職届を提出して、そのまま3月31日が経過した。

▼ 同年6月、Xは他社に客室乗務員として入社して現在に至る。

▼ Yは20年2月、面接において、「135人中133位、ランクD」などの内容の業務評価を示されて、新年度の契約更新をしない旨(雇止め)通告された。

▼ Yは同年3月2日、S社に対し、「会社都合により契約満了、3月31日付で退職する」旨記載をした退職届を提出して、そのまま3月31日が経過した。その後、現在まで就職していない。

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