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#178 「グローバルアイ事件」東京地裁(再掲)

2007年3月21日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第178号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【グローバルアイ(以下、G社)事件・東京地裁判決】(2006年11月1日)

▽ <主な争点>
雇用保険加入手続懈怠と慰謝料

1.事件の概要は?

本件は、G社に雇用されていたXがその在職中雇用保険料相当額を給与から控除されていたにもかかわらず、同社がXにかかる雇用保険加入手続を怠ったことによって損害を被ったとして、損害賠償等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<G社およびXについて>

★ G社は、各種国家試験・資格試験の受験指導、カルチャーセンターの経営等を業とする会社である。

★ Xは平成14年5月、G社に雇用され、17年10月に退職するまでの3年6ヵ月間、G社はXに支給した給与から、その雇用保険料相当額を控除していた。

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<本件加入漏れの発覚とその後の経緯について>

▼ G社が17年9月、Xを解雇したところ、Xはこれを不満として、その撤回を求め、同年10月、東京労働局長に対し、解雇の撤回を求める解決援助の申し出を行ったが、G社は解雇撤回は拒絶し、金銭解決を希望した。

▼ その結果、東京労働局の紛争調停委員会の斡旋(あっせん)に基づいて、XおよびG社は同年12月、「(1)X・G社間の雇用契約を同年10月かぎり解約とする。(2)G社はXに対し、本紛争の解決金として金70万円を支払う。(3)X・G社間には、本件紛争に関し、本合意書に定めるほか何ら債権債務がないことを相互に確認する」旨の合意書を取り交わした(以下「本件合意」という)。

▼ Xは本件合意に伴い、G社を退職したことになったので、失業保険の手続を行い、失業手当の給付を受けることに加え、何か法律関係か英語関係の講座を受講して、教育訓練給付金の給付を受けようと考えていた。

▼ しかるに、G社において、上記在職の全期間を通じて、Xにかかる雇用保険の加入手続が漏れていたことが判明した(以下「本件加入漏れ」という)。

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