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#231 「ヤマダ電機事件」東京地裁

2009年4月15日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第231号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【ヤマダ電機(以下、Y社)事件・東京地裁判決】(2007年9月10日)

▽ <主な争点>
競業避止条項違反を理由とする会社の違約金請求

1.事件の概要は?

本件は、Y社が、店長であったXが退職に際して作成した誓約書(退職後最低一年間は同業者へ転職しないことを誓約する旨の役職者誓約書)に違反して同業者に転職したと主張して、誓約書に基づき、退職金の半額および退職直近の給与6ヵ月分相当の違約金の支払いをXに対し、求めたもの。

XはY社を退職した翌日にいわゆるライバル会社であるG社の子会社(K社)において派遣社員として稼働し始め、その後G社に入社した。

2.前提事実および事件の経過は?

<Y社およびX等について>

★ Y社は、家電製品の販売等を目的とし、家電量販店チェーンを全国的に展開する会社である。

★ Xは、平成9年4月から17年4月までの間、Y社に従業員として勤務し、地区部長、茅ヶ崎店の店長等を務めた者である。

★ Y社の「職務分掌ならびに職務権限規程」によれば、店長は店内業務の執行の統括、店内の各職位の指揮監督等を行うとされる。

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<本件競業避止条項およびXの退職後の経過等について>

▼ Xは17年4月15日にY社を退職するに際し、次の記載のある役職者誓約書(以下「本件誓約書」という)を作成して同社に提出した(以下、その三項および五項をあわせて「本件競業避止条項」という)。

「この度、会社を退職するにあたり、下記事項を遵守することを誓約いたします。
                記
1.在職中に知り得た職務上の守秘事項を他に一切口外しません。
2.会社関係書類および電磁記録媒体等の情報記録媒体は、一切社外へは持ち出しません。また、第三者への口外および交付はしません。
3.退職後、最低一年間は同業種(同業者)、競合する個人・企業・団体への転職は絶対にいたしません。
4.
5.上記に違反する行為を行った場合は、会社から損害賠償他違約金として、退職金を半額に減額するとともに直近の給与6ヵ月分に対し、法的措置(民事・刑事ともに)を講じられても一切異議は申し立てません。」

★ Y社は平成11年頃から、フロアー長以上の地位にある従業員が退職する場合には競業避止義務および秘密保持義務を負わせることとしていた。役職者誓約書を提出させる目的として、同社は独自のノウハウを活用して家電量販店業界第一位の地位を達成し続けており、そのようなノウハウおよびその運用は機密情報であって、社外に流出させないことが同社にとって重要な関心事であり、役職者は、多数の部下を指揮監督し、同社独自のノウハウを熟知してその運用や改善に携わる立場にあるので、機密情報の社外流出を防ぐためには一年間の競業避止義務を課する必要があると説明している。

▼ XはY社を退職した翌日である17年4月16日、人材派遣会社であるS社に登録し、ケーズモバイル(以下、K社)に派遣されて、労務提供を開始した。その後、Xは同年6月1日付でギガスケーズデンキ(以下、G社)に入社した。

★ G社は、家電製品の販売等を目的とし、家電量販店チェーンを全国的に展開する会社である。K社は、G社の子会社であり、携帯電話機の卸売り等を主たる業務としている。

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