民事裁判修習

さて、司法修習について、お話していきます。

司法修習の一つに民事裁判修習があります。

裁判所には、法廷の他に、裁判官の部屋があります。

これは、通常の各部の受付の奥にあり

裁判官は、裁判官専用のエレベーターで

この裁判官室から法廷に行くことができます。

司法修習生もこれには乗れません。

同じエレベーターに法服を着た裁判官がいたら

権威が下がってしまいますので

そのためのデモンストレーションの一つです。

民事裁判修習では、この裁判官の部屋で

裁判官の机の隣に修習生の席があり

ここで、裁判官の仕事を間近で見ることになります。

余談ですが、裁判官は、民事裁判官と刑事裁判官で

それぞれ分かれており

原則として両方をやる人はいません。

民事裁判では、裁判官は

当事者から出された法的主張の記載された書面や

証拠書面がありますので

これを見て、原告の請求が認められるのか

検討していくことになります。

訴状から始まり、被告の答弁書、

各当事者の準備書面が

毎月1回程度のペースで出されていきます。

その中で、裁判官が争点を整理していきます。

そして、最後に証人尋問を行い

判決という流れです。

この間の期日を見聞し

裁判官と事件について雑談するなどして

民事裁判の進め方を勉強していくという修習です。

はっきり言いますと

民事裁判は刑事裁判や検察のようにドラマチックではありませんし

弁護士のように外に出ることもなく

淡々と記録を読み続ける仕事ですので

一番退屈な修習とも言えます。

ただ、この時に裁判官と仲良くなっておくと

後々弁護士になり

事件で悩んだ時に

色々と相談に乗ってくれて助かりますので

裁判官との関係は今後の法曹人生を左右する

ものになります。

弁護士の能力は当事者の主張を組み立てる能力ですが

裁判官の能力は証拠に基づき判断する能力です。

この2つは全く違う能力ですので

実務についてから弁護士が裁判官のような

判断力や見通す力を身につけることは非常に難しいので

裁判官のアドバイザーを作ることは非常に大切です。

その意味で、民事裁判修習は非常に大切です。

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