継承 - 初音ミクの消失
※トップ画像は、電脳少女シロ「【歌ってみた】初音ミクの消失」よりスクリーンショットをお借りしました。問題があればご指摘ください。
11月28日の「いいニーハイの日」をスルーし、11月29日は「いい肉の日」でやろうかなと思ってましたが……
ツイッターのトレンドに「初音ミクの消失」が入ってたのを見て、こちらを取り上げようかと。トレンド入りの原動力はこの方。
【歌ってみた】初音ミクの消失
2019/11/29
VTuber四天王の一人、電脳少女シロちゃんの歌ってみたがアップされてたんですね。
原曲は、cosMo(暴走P)さんの「初音ミクの消失」(2008/4/8)。もう11年半も前になりましたか……
初音ミクオリジナル曲 「初音ミクの消失(LONG VERSION)」(cosMo@暴走Pさん)
2008/4/8
後に10周年を記念してリメイクされ、YouTubeにも投稿されています。
[Official] 初音ミクの消失(THE END OF HATSUNE MIKU: 2018Remake) / cosMo@暴走P
2018/4/8
2007/8/31に登場した初音ミクは、ニコ動でブームとなっていましたが、10年以上続くとは当時ほとんどの人が予測していませんでした。盛況ではありましたが一過性のブームで消えても何も不思議ではない。そうした意識が、作り手・聴き手ともにあった黎明期に、初音ミク現象がいつか終わる時を想って作られたのがこの「消失」です。
初音ミクの辿る運命を初音ミク自身に歌わせたイメージソング。アップテンポのシンセロックに、悲劇的な歌詞のギャップ。人間ではないボカロだからこそできるBPM240という、歌詞を詰め込んだ超高速歌唱(JOYSOUNDの2011年「難しすぎて歌えない曲」ランキング1位に選ばれています)。
まあ、人間側からの逆襲もいくつもあったんですけど。
(上)YouTube:2017/9/7(音源はニコ動に投稿されたのと同じもの)、(下)ニコ動:2009/9/15
時代を捉えたボカロ曲として、投稿後47時間で10万再生、約7ヶ月で100万再生を達成し、多くのPVも派生作品として生まれました。
※これらのPVに登場するスタイリッシュな歌詞演出は、KineticTypographyと呼ばれますが、シロちゃんの歌ってみたMVにもみられる手法です。構図が似通っているので、おそらく上記PVのリスペクトなのでしょう。
cosMo(暴走P)さんの代表作として、2010年に曲名をタイトルとしたアルバムがリリースされ、2012年には小説化も。
アルバムのキャッチコピーに「初音ミク。その「誕生」「暴走」「戸惑」「分裂」「破壊」「終焉」「消失」そして「激唱」」と謳われたように、「初音ミクの〇〇」とタイトルがついた作品も、「消失」ストーリー・シリーズとして投稿されています。
(気づく人も多いと思いますが、これらのタイトルネーミングは谷川流原作のライトノベル・アニメ『涼宮ハルヒ』シリーズに影響されてたり)
一連の「消失」ストーリー・シリーズ構成曲について見ていくと時間が足りませんし、ちゃんとcosMo(暴走P)さんを追いかけてる人に添削してもらわないと。詳しい人お願いします(投げた
シロちゃんの歌ってみたに戻ります。VTuber創成期を牽引した立役者の一人である彼女がこの歌を歌う……それはどうしても、VTuberの未来を捉える文脈を重ねて見ることになります。
オワコンと呼ばれながらも10年以上を経た初音ミク。往時に比べて勢いが衰えたと言われようと、ボカロ文化はすでに根付いており、今日明日に消える存在ではなくなりました。いまや音楽に触れるときに当たり前のようにボカロがある時代です。一般的な音楽とボカロを取り立てて区別しない、ボカロネイティブ世代が今後は増えていくでしょう。
「消失」を歌うことで、そんな先達にVTuberを重ねてあやかろうとしていると捉えるのは穿ちすぎでしょうか。
2018/8/12
2019/9/11
VTuberの未来にも幸がありますように。
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