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無駄に怖い話-雪の恐怖-

–息が、白い。シックスセンスのようだ–

それだけで私は、嫌な予感を感じていました。
いつもより早く起き、足場が悪いことを想定し、
徒歩を選択したのでした。

綺麗に晴れた朝ではありましたが、嫌な予感を感じていた私は
予定よりも到着まで時間がかかる事を思うと、
早く歩きたい気持ちがありつつも、
転んでしまえば最悪あちらの世界にいってしまう事を恐れ、丁重に、しかし確実に、歩みました。


…急に滑った自転車がぶつかってくるかもしれない。
…曲がり角から知らないおじさんが悲鳴を上げながら突進してくるかもしれない。
…曲がり角を曲がったところで私自身が悲鳴を上げながら突進してしまうかもしれない。

そう考えると、朝日の照り返しでキラキラと光る足元が、
とても怖いものに思えてなりませんでした。


はさっ…。

…はっ!

どこからかもわからない擬音。
な、なんだ、樹木に積もった雪が落ちたのか。

肝を冷やした…。


ビクッ

…ぁあっ!

な、なんだ。
滑ってビクッとなるのは私だけじゃないんだ。
人類皆兄弟…か。
急に動きが機敏になる人を見ると、つられてリアクション
しちゃうものだなぁ…。
無駄に肩があがっちゃうなぁ…。


ギリっ!

ぅ…?

な、なんだ。
身から出た錆か…。
緊張と寒さで体が強張ってしまったんだな…。

歳かなぁ…。


へぁっ!!


ぁあぶなっ!


雪がないところで滑るとは誤算だった…。

…それにしても今、なんか、

ウルトラマンみたいな声出たなぁ…。

なんだろう。
なんだか、腹立つなぁ…。


…すすっ。


…あぶなっ。


思い出し笑いは外ではご法度だ…。

でも、なかなかどうして。
…じわるなぁ。

自分の声なのに、他人の声みたいだったなぁ…
なぁんか、嫌だなぁ…。

いや、ウルトラマンの声ってなんだ…?

あいつら口、動かねぇじゃねぇか。

なんだか、
また腹立って来たなぁ…。

一体どういうつもりであの声を採用したのだろうかあの頃の演しゅ

…っへぁっ!!

…。

板について来てるやん。


…。


そんな、今朝でした。
なんだか、すみませんでした。

みなさまはどうか、ご自身の声に自信をお持ちになってくださいませ。

良い夜を。
お休みなさい。


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