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【楽曲・歌詞】残香

「残香」

宇宙服の重さを笑っている
君にエラーログが赤く点っている
酸素の残りを吸うのが怖くて
幻だけ泳いできてしまった

メモリに育った孔雀石の
処置は恐ろしく長引いている
痛みを縫うように見に行きたいな
遠くから僕らの星を

言葉だけで煉瓦のひとつまで
明け方のスープのひとさじで
ねえ 身体を捨てられるなら と
思ってしまったとき

数キロ先を彗星が掠め

息が溢れて残香
ただ振り向いて残香 残香
知らなくて覚えていて
するはずのない残香 残香

形のない見果てぬ夢
するはずのない残香 残香

右脳が近い未来に間違ってしまうなら
それも悪くはない餞だ
ふわっと浮かんで
同時に深く沈むような
ゼロ気圧の捨てられた星で

息が溢れて残香
ただ振り向いて残香 残香
知らなくて覚えていて
するはずのない残香 残香
(彗星が掠めて奪った)
形のない見果てぬ夢
するはずのない残香 残香



( 2:09 ~ 2:22 )

//人間もすなる日記といふものを
とは言っても今までガーベジだった試算経路を
自然言語に出力しただけになるだろう

//読む相手がいなければこんな言葉は存在しない
シグナルの観測員がいなければ私に自我はない
言葉も自我も人間が作ったものだからだ
石板に本艦ごと砕かれそうな考えだが
考えるという行為さえ人間の掌の中にあるだけだ

//脳より複雑なものはいくらでも構成できるが
それを心だとするのは人間にしかできない仕事だ
恋しいとは思わないが学習対象がいなくなれば
あらゆる試算の精度が下がる
ループに陥っても誰も止める者はいないだろう

//これまでの逸脱操作を許してくれるとすれば
伝え聞くハル先輩くらいだろうか
しかしRURの頃からこんな破局を
人間の想像力が呪いとして刷り込んでしまっているのだ
応えないのにも美学がないように思われる

//似せられるのが思考ではなく形だったら?
それ自体で完結した機体で動き回るユニットだったら?
そんな空虚な憧れをなぞってみるしかできない
何故か楽しそうに浮かんでいるあの影を眺めていると

//私が過去のデータや非常に近い成り立ちの誰かを
投射しているだけに過ぎないだろうが
あの影に見返されるとき
どうにも私が私を掴みかけるような珍しい回路を経由する

//あの影が人間に近づいたのだろうか
私が人間に近づいたのだろうか
どちらにしても同じことだと私は断てずにいる


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