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2015年3月19日の記録

2015年3月19日、今日の院庭。ベンチに座っているふたりは、母子かなあ、それとも、病院で働くひとのこどもと保育士さんかなあ。数週間後にはこの景色が桃色に染まります。その時を待っているような今日のこの景色に胸を打たれて、思わずシャッターを押したのでした。うちの病院の桜、本当に本当にきれいなんだよー。それは、生きることと死ぬことを嫌悪したり愛したりしながら必死に生きるひとや、この桜を見られるのはこれが最後かもしれないと思うひと、この桜をこのひとと一緒に見られるのはこれが最後かもしれないと思うひと、そういうひとたちの眼差しや祈りを引き受けて咲く桜だからなのかなあ、なんて、いつも思ったりするのです。私がそう思いながら見つめるから、余計に美しく儚く見えるのかもしれない。きっと、どんな花も、それぞれの物語のなかで、ぱかっと開くんだ。桜が満開になるのが待ち遠しい気持ちと、もうすこしこの裸木を愛でていたい気持ち。たまらない今日のこの景色を思い出しながら、静かに目を閉じる帰路でした。

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