横浜がトリコロールに染まった日後編
初めに
この記事は2部構成となっており、こちらは後編の記事になります。
前編と合わせてお読みいただけますと幸いです。
いざ開戦
そんな大迫力の行進を終え、席に着く。
今日は諸事情によりゴール裏ではなく、メインミックスからの応援である。
2階サポーターズシートでもよかったのだが1階で試合を見届けたい思いが勝った。
席に着くとペットボトルを入れることができる場所に赤色の紙が丸められて入っていた。
コレオやるんだなあ。まあ決勝ならそうか。
と思いつつゴール裏の様子を見る。
いつも以上に多くの人が入っていて、旗もかなり多い。
いつもと明らかに違う。
決勝戦とはこういうことだよな。
そんなことを思っているとアップがスタートした。
いつも以上の観客であるため、応援の声量もいつも以上で、ゴール裏はいつも以上の華やかさを見せていた。
気合満点のアップの間に私の周りに続々と歴史の当事者たちがやってくる。
しかしあまり手拍子をしている様子はない。
まあ試合開始前だしそんなもんよな。
そもそもマリノスのホームゲームをメインで見るのは初めてだ。
これがいつも通りなのだろう。
しかし、アジアの決勝だ。
ゴール裏に行ってる私にとってはどこか少し物足りないと思ってしまった。
ただ、この席を選んだのは私自身。
他人にどうこう言う前にやることがある。
ゴール裏の時みたいに飛び跳ねることはできない。
ただ、手拍子の熱量だけはいつも通りであろう。
そう思った。
アップも終わりトリコロールギャラクシーの時間だ。
いつもより人が入っているからこそ本当にきれいで民衆の歌も声が出ている。ホームゲームの雰囲気は徐々に完成されていく。
民衆の歌が終わるとさらに美しい景色が目の前に現れた。
美しい景色ではある。しかし言葉が美しいだけでは足りない。
圧巻である。
これぞホームゲーム。これまでで一番美しいホームゲームの景色だった。
間違いなくこの瞬間横浜はトリコロールに染まった。周りが立ち上がり、写真を撮り始め、私も立ち上がる。
この景色を見ただけでもここに来た価値があると感じた。
錨を上げろ
そんなコレオに見とれていると選手たちが入ってくる。
後にXでサブメンバーが入ってくる様子の動画を見たが選手たちにとってもこの景色は圧巻だったようだ。
この日はスタメンに主将喜田が復帰し、ベンチにも渡辺皓が復帰。
出場停止の上島に代わり、エドゥアルドが先発。負傷の天野に代わり山村がACL初のベンチ入りだ。
最高の雰囲気になった横浜国際総合競技場は5万3704人の歴史の当事者たちが集い、キックオフを迎えた。
キックオフ直後から積極的に攻撃するもシュートはゴールの上に飛んでいく。
前半12分カウンターから失点する。
シュートのこぼれ球を詰められてしまった。
スローインからのカウンターでエドゥアルドが入れ替わられてしまった。
相手のラヒミが速すぎる。
個人的には「一本目を止めただけでもやっぱポープすごいな」と感じたが一瞬で押し込まれていた。
アル・アインの選手たちがこちらに走ってくる。
「富士山見てなんか今日いけそう!とか思ったのは安直だったかなあ…」なんて思った。
ビハインドになってしまったがまだ前半なんなら決勝戦の1/4も終わっていないと気持ちを切り替え、手拍子を続けた。
しかし、私のほかに手拍子をしているのは1人か2人。
ここはゴール裏ではないとわかっていたけれどやはり少し寂しいと感じてしまった。確かにミックスだからアル・アインのサポーターの方も座れる。
「でもこれじゃあ圧倒的なホームの雰囲気にならないじゃん!」
私はACLを一種のお祭りのような感じだと思っているため少し物足りなさを感じてしまった。
試合開始前よりモヤモヤする感情になったが点を取られた以上取り返さなければ優勝はできない。そして誰もやらないなら私がやればいい。己が周りを巻き込めばいい。(前編の3枚目の写真参照)
「俺がやってやる!って気持ちが大事さ」と歌っていたのは私自身である。
そんな思いで手拍子を続けた。
失点直後もVARに助けられ追加点を防いだが、なかなか得点できない。さらにはエドゥアルドが負傷交代。
ゴールには間違いなく迫れているが、キーパーの好セーブに阻まれ、こちらのビックチャンスミスもあり、ビハインドで前半を折り返す。
前半にも危ないシーンは多々あったし、カウンターが武器のチームだからこそ一瞬でやられる。
少しこの先の心配も覚えた。
肌で感じた確かな変化
お互いのサポーターの声援を背に受けてゴールを目指す後半戦が始まった。
後半も変わらず私は手拍子を続ける。
マリノスは前半と変わらずどんどん攻撃的にゴールを狙う。しかしゴールは決まらない。
ここで私はとあることに気づく。
少し周りからの手拍子の音が大きく聞こえてきたということだ。
少しうれしかった。少しだけ私は周りを巻き込めたのではないかと思った。
いい気分になったのだろう。私は手拍子をさらに大きくした。
後半15分宮市と渡辺皓がエウベル、喜田に代わりピッチに立つ。
宮市はボールを持つ渡邊泰に要求するも要求のタイミングにボールは来ず、オフサイドに。
この時宮市は渡邊泰に「出せよ!」というリアクションを見せる。
何か違う。いつもより頼もしく感じる。
そのあとも果敢に縦への仕掛けを繰り返し、クロスを上げたと思えば斜めに走り中でボールを受けようと動いた。
明らかに宮市が効いている。
私は流れが少し変わったように感じた。
左の宮市だけではない。右のヤンも植中とのコンビネーションでクロスを供給し続ける。
渡辺皓もピッチを縦横無尽に駆け回り、囮になったり、前線への素晴らしいボールの供給も見せた。
トリコロールに染まった瞬間
後半27分戻りオフサイドによる間接フリーキックから試合が動く。
交代で入った渡邊泰から宮市、ロペスとつなぎ右のヤンがクロスを上げるとバックステップで軌道に合わせた植中が全力で首を振りヘディングシュート。ついにゴールが決まった。待ち続けていた同点弾。
左、真ん中、右と大きく揺さぶって得ることができた。何度も抜け出しを見せていた植中が、声援、手拍子を続けたマリノスサポーターが報われた瞬間だった。
あまりにも大きすぎる。
私も含めて周りが絶叫し、立ち上がっていた。
このゴールの直後から空気は一変する。
私の周りでは私以外に前半1人、2人しか手拍子をしていなかったが、明らかに人数が増え、音が大きくなった。
このゴールが与える影響はあまりにも大きかった。
明らかにこの瞬間マリノスは勢いを得た。
直後に植中は足を攣り交代。ナムとともに交代となったが彼が空気を一変させたのは言うまでもない。
ここで投入されたのは山根と榊原である。
榊原は植中の位置に、山根は渡辺皓の位置に入り、渡辺皓がナムのポジションに入る。
この直後からさらにチャンスシーンは増えていった。
中盤の交代により運動量が大きく増えたと感じた。
そんな果敢に勝ち越し弾にチャレンジする選手たちが報われる。
後半41分ヤンのコーナーキックからはじかれたボールを山根が競り、榊原が回収するとヤンにボールは渡る。クロスは大外フリーの宮市に。
後でDAZNで確認すると「来た!」みたいな口の動きをしていた宮市はボレー。枠をとらえていなかったが、とっさに膝で合わせた渡辺皓の勝ち越し弾。
と思われたがオフサイドの判定。叫んだ私はちょっと辛かった。
がVARが介入する。
ゴール。遂にひっくり返した。
私も含め周囲は立ち上がり、叫んだ。私はまた泣いていた。
私は渡辺皓のゴールパフォーマンスが大好きである。
ご自身の奥様、お子様に向けてのパフォーマンスはいつ見ても素敵である。
途中出場からの大仕事はあまりにもかっこよすぎた。
これが偉大な父の姿。ぜひお二人のお子様にもこの歓声と景色は忘れないで欲しいなんて思ってしまった。
そしてこのゴールの後さらに私の周りには変化が起きた。
遂にはチャントを歌い始める人がいた。
私が見たかった景色そのものだった。
ハマスタで野球を見ているときと雰囲気は瓜二つ。
全方向から応援歌が聞こえる。
最高の雰囲気。圧倒的ホーム感を感じた。
この後惜しくも外れた宮市のロングシュート、相手のコーナーキック、フリーキック等あったがスコアは動かなかった。
提示されたアディショナルタイムは6分だったが、この雰囲気ならなんとなく大丈夫だなと感じた。
その予感は当たり2-1で逃げ切ることができた。
試合後
私はほんとにこの試合に来れて良かった!と強く感じた。
私事ながらこの場所で3試合観戦で3連勝。
本当にACLはお祭りだった。
次も勝ちましょう!
アジアを取るぞ!
にさらに沸いたスタジアムはまさに「横浜沸騰」この言葉がふさわしかったと感じる。
スタジアムを出る前に写真を女性サポの方にお願いすると快く引き受けてくださった。
タオルがめくれているとわざわざ教えて直してくださり、すごく優しい方だったのでとてもうれしかった。
撮っていただいた写真はお気に入りの写真になった。
そして外に出ると二次会が始まっていた。
私はこの後予定があったため少しだけ歌って待ち合わせの場所に向かった。
いつもより愛を知った帰宅
ホテルに一泊し、帰宅する。
バスの車内でこの記事も仕上げるつもりだったが爆睡していた。
浜松から試合を復習し、記事を書くが終わるわけがない。
気休めにXを見ているとサッカーダイジェストの写真が出てきた。
名古屋駅に着くと即本屋さんに向かい購入した。
そして電車の中で読みながら帰宅した。
ACL開幕戦で4失点したこと、本職CBがいない状態で3バックシステムを採用し勝ったこと、勝てばラウンド16の試合で開幕戦4失点した仁川にダブルを食らったこと。マスカット監督を勝利で送り出したこと。
ラウンド16から毎ラウンド退場者を出す苦しい状況を乗り越えたこと。
そして一森、西村、角田、健勇が確かにチームに貢献していたこと。
このACLを共につかみ取った、テル、マルコス、智輝、レオ、高丘、譲瑠、樺山、ターラ、ウッズ、西田、オビ、池田、田川というかけがえのない仲間たち、頼れるスタッフがいたことを思い出した。
横浜での壮絶なACLでの戦いは終わりを告げた。
これだけたくさんの人たちの想いが繋がれているんだなあと感じた。
だからこそ優勝しなければならないと感じた。
ふと、本屋さんに向かう途中に愛知ってどうして愛知って名前なんだ?
と思った。
調べると愛知郡名古屋城下からとったそうだ。
バスを降りた私は、大好きなチームの試合を見に行き、帰ってきた瞬間に「私ほんとにマリノス好きなんだな」と感じた。
この場所に帰ったという事実で間違いなく何かに対する愛を知ったことは間違いないと強く感じた。
最後に
まずはお疲れ様でした!
ほんとに今もうれしい気持ちで心がいっぱいです。ただ、まだ90分ありますし、何も得ていません。
蔚山に勝った私たちなら1点のリードもひっくり返る可能性があることは分かっていると思います。
アジアを勝ち取る
それは決して簡単ではないですが、みんなでアジアを勝ち取りましょう!
そして5/25
マリノスに関わるすべての人たちみんなで幸せになりましょう!
今回も読んでいただきありがとうございました!
すべてはマリノスのために!
#6
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