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欠陥ロボットの居場所

私は頭の中で作品を作っている。

その最中は、客観的に見れば何もしていないように見える。

意識は一つしかないから、それもそのはずだ。

自分に意識を向ければ、自分の体は止まっている。

多くの人はいつも何かしていないと気が済まないのもので、何もしていない者を見つけると、故障したロボットを見るかのように心配する。

設定されたプログラムに異常はないだろうかと「大丈夫?」と確認行為をする。

一緒の空間にいる人間を見つければ、自身をその環境に溶け込ませるために「今日は暑いね」「お腹空いてきたね」と意味のない言葉を投げかけ、共感を求める。

そこで共感しなければまたプログラムに異常はないかと探ってくる。

そうした意味のない雑音で私の思考は中断される。

大衆の中で思考に没頭する私にも非があるが、そのように造られているから仕方がない。

人が支え合って生きていると言われる社会で、孤独を求める欠陥ロボットの居場所はあるのだろうか。

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