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ネトフリ配給ドラマ『トロツキー』がヤバい

レーニンに次ぐソ連の初期最高幹部の一人であり、アナーキストとして一種謎めいた名を歴史に残すトロツキー。
その人生を描いたロシア産ドラマがネトフリで配信中だ。ロシアでは、レーニンのドラマと同時期に放映開始したが、視聴率でトロツキーが勝ったという。私はまだシーズン1の第3話までしか観てないが、そのクオリティの高さや内容の激烈さに唸らされている。

史実として、トロツキーは亡命先のメキシコで暗殺されるのだが、ドラマでは、その人生後年を送るメキシコでの回想という形を取る。第1話ではメキシコの祝祭「死者の日」を背景に、『007 スペクター』よろしく、様々なドクロが出てくる。トロツキーの後の暗殺や、その血に色塗られた革命の人生、そしてロシア映画特有の死に対する強い問題意識が重なるような描写。

第3話までの段階でも、死や暴力がいくつか出てくる。詳細は書かないが、とにかく理不尽だ。革命前も革命後も、そして革命の中でも様々な矛盾と対立が織りなされる。

当初は(激しいが)純粋に人々の解放を追求したいたトロツキーが、自身の政治的台頭を得るために下した第2話が興味深い。おそらく脚色だが、心理学者・フロイトと対峙するシーンだ。フロイトの講演会、セレブたちが集う場、「金儲けも芸術も革命も性欲の延長である」と断じるフロイトに対し、トロツキーはその理論の誤謬を指摘する。鋭い指摘にフロイトの顔色が変わる。しかしトロツキーは、貴方は間違っていないと結ぶ。このパラドックスを受け入れたトロツキーは、政治的野心への迷いも振り切った用に見える。

歴史ドキュメンタリーに止まらないメッセージを感じる本作。生と死、強さと弱さ、矛盾と確信というコントラスト。振り幅が広いこのドラマに目が離せない。

#ネトフリ #ドラマ #トロツキー

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