見出し画像

私はこうしてGoogleに入社した(アイルランド編)

こんにちはKotaです。
アイルランド在住ソフトウェアエンジニアです。Googleアイルランドに勤めております。

今まで自分がアイルランドへ来た経緯とかは一部の人にしか話してなくて「なんでアイルランドなの?」って聞かれることが多くあったので、この記事を残そうかと思います。だいぶ長くなっちゃいましたが全部読んでくれたらとても喜びます。最後に有料コンテンツとしてオファー額+αを載せていますので興味がある人は買ってみてください。

リクルーターからの接触(2019/12)

2019年12月にリクルーターからの最初のメールが来ました。渋谷オフィスができて、オフィスに人を集めたいから受けないか?とのことでした。学生時代に一度Googleを受けて落ちた経緯があってそのリストを使って連絡してきたそうです。前職には特に不満はなかったですが、最終面接まで行ったら渋谷オフィスのランチが食べられるし、どーせ受からないだろうから行ってみようと軽い気持ちで受けることにしました。2019年の年末は長期で旅行していたため年明け二週間後くらいに人事との面談->テックスクリーニングを終えました。
テックスクリーニングでは情報科学に関する基本的な事象についてリクルーターと議論するタイプの面談でした。だいたい雑談で終わりました。その時にちょうどダイヤモンドプリンセス号の話があったりしてコロナの話が少し話題になるくらいでした。
2020年2月下旬にテックスクリーニングの合格と一次面接の案内、そしてコロナでゲストのオフィス立ち入りができないということを知りました。この時点でオフィス行けないし引き返そうか少し迷ったのですが、折角の機会だし、コロナもすぐ終わるだろうしと楽観的なことを考えつつ次の電話面接にうつることにしました。

電話面接(2020/3)


テックスクリーニングと違って電話面接は対策しないとヤバイぞということだったので、面接までに人に見られることを意識してコーディングをする対策をしました。具体的に言うと、AtCoder Beginner ContestのD問題をFaceRigで可愛いアバターにしてVtuberぽいことをYoutubeで配信しながら解いてました(最高同時接続者数2)。だいたい毎日この配信をやってて合計で30問くらいD問題を解きました。以前解いたことがある問題だったり、解くのに10分くらいしかかからない問題でも、配信しながらだと解くスピードが落ちたりするってことがここでわかったので、こういう試験は慣れが必要だなと感じました。

配信用に高いマイクとハードウェアボイチェンを買いました。


この間コロナでちょうど前職がリモートワークへ移行したり、面接が延期になったりとかで3月下旬いろいろゴタゴタになってました。

電話面接ではGoogle Video Chatじゃなくて電話回線を用いてGoogle Docsに回答をシェアする方式でした。今だとコーディングテストのときに使うブラウザ内エディタが社内ツールとしてあるのですが、当時はGoogle Docsだったため、変な補完とか変な修飾とかが書いてる途中に発生し、だいぶコーディングに苦労しました。ここで出された問題がだいぶ難しくて(一般的なコーディングテストではでないような問題)解くだけで精一杯な感じでしたが、翌日無事面接通過の連絡をいただきました。
次の面接が”オンサイト(笑)”面接でした。

面接対策(2020/4)

リクルーターの勧めによりLeetCodeを始めたのもこのタイミングです。AtCoderでは入出力を含めてコードを全部書く必要があったのに対して、LeetCodeではクラスと関数の定義が与えられているのでこっちの方がコーディングテスト向きじゃんと思いました。
ちょうど4月上旬で1度目のみんなステイホームを守っていたころの緊急事態宣言だったため家にいる時間が多く、面接対策に対して真摯に取り組めました。
自分はL4(mid level)での採用だったため、最終面接ではコーディングテストのほかにシステムデザイン面接とリーダーシップ行動面接の対策をしなければいけませんでした。
システムデザイン面接では大学時代の分散システムの授業の資料や課題を読んだり、リクルーターから勧められたSystem Design Primer を読んだりしてましたね。

大学時代の授業で参考図書として取り上げれていた本です。自分が当時購入したのはFirst Editionですがインターネットでタイトルを探すと作者がPDFを公開しているので時間をかけて読みました。今でもDesignDocを作るときに知見が役に立っています。

行動面接は自分の仕事とかバイトで書いたコードを眺めて自分が過去に何をやったのかを想定QAに当てはめるとかやってました。

コーディング面接対策は電話面接のときと同じようにバ美肉配信してました。アバターを替えたら大学の後輩に「先輩の新しいアバターかわいいっすね」って褒められました。LeetCodeのHardばかり2週間で30問くらい解きました。

最終面接x2 (2020/4)

通常時の面接は1日でランチを含めて5面接やるみたいなのですが、自分の時はコーディング面接を三連続別々の面接官でオンラインで受け、面接官の評価が高かったらシステムデザインと行動面接は後日に受けるという方式でした。
コーディング面接では日本じゃないアジアのオフィスのエンジニアが面接官でした。3人とも別々の国のオフィスのエンジニアでした。面接後のQAで様々なオフィスの人と話せたことは、コロナでオンライン面接出来なくなった唯一の良かった点だと思います。
コーディング面接の問題は想定したよりもはるかに簡単に感じて、Hardの問題をひたすらやった甲斐があったと思いました。ただ3つの面接とも、動的計画法の問題だったので面接官同士でそこはすり会わせろよとは感じました。
実際、後年自分が面接官になったときに、同じ日に同じ人の面接をする場合は、別の面接官と相談して問題のタイプを変えるようにはしてます。

面接官から全員Positive Feedbackということだったので次の面接に進む連絡が翌日来ました。ここはスピーディーでいいですね。
システムデザイン面接は図を描く必要があったため、iPadとApple Pencilを用意して臨みました。図を書いて説明するのにどんなアプリを使ってもいいよということだったので、Whiteboard fox ってフリーのホワイトボードサービスを利用しました。



行動面接は覚えてないです。。。唯一メモしてないし、あんまり印象に残りませんでした。。。

ステイホームのゴールデンウィークを挟み、リクルーターの有給明けに無事採用委員会の採用決定通知をいただくことができました。

決まらないチーム(2020/5 - 12)


多くの人が述べてるように、Googleの採用は採用委員会の採用判断後、即入社決定とは行きません。
そこが難関でした。2020年5月当時コロナでいくつもヘッドカウントがCloseしていたのもあり、全くチームマッチの声がかかりませんでした。リクルーターの方から”今月はNo-update”ですよってメッセージが6月,7月,8月,9月と送られてきてだいぶもどかしさを感じました。Blindを見ると同じ待遇の会社のオファーレターを見せるといいよということだったのでLinkedInで声をかけてきたMeta Londonのシニアポジションを受けたりしましたが、自分の実力では受かることなく、チームマッチを待ち続ける日々が続きました。
10月に日本のチームと1度チームマッチコールがあったのですが採用されず落ち込んでいたところ、リクルーターから「日本以外のチームも考えてみないか?」と連絡がありました。
自分はもともと「将来は海外で働きたい」と卒業文集に書くほど海外志向が強く、前職も本社はアメリカで、アメリカ研修を受けさせてくれるってのが内定受諾する決め手となっていました。そのためリクルーターからの提案は渡りに船とばかりに思いました。実際行きたい国のリストてのが渡されて、「英語圏または中国語圏の先進国でビザの問題がなさそう」ということで台湾・シンガポール・中国(GCPのポジションがあります)・イギリス・アイルランドが候補に挙がりました。

採用通知とビザ申請(2021/1)


年は空け、2021年1月にダブリン・台湾のチームとのマッチコールがありました。台湾のチームはハード関連でダブリンはGCPを使った社内ツールということでしたが、当時GCPについて知りたかったしヨーロッパ面白そうということもあって、GCPを取り扱うダブリンのチームに入社希望を出したら。翌日採用通知が届きました。
海外で働くには労働許可をする必要があります。アイルランドではCritical Skills Employment Permitといっていわゆる技術者ビザを申請することになりました。仕事と大学の専攻がマッチしていることが技術者ビザを取得できる条件ですが、大学院が情報科学の専攻だったためそこは問題ではなく、大学の成績表とか卒業証明書とか諸々の書類を大学に申請するのに郵送しか受け付けてないため書類を集めるのに苦労してました。
ビザも取得できたのであと渡航ということですが、当時はアイルランドの入国制限がまだ解除されておらず、ワクチンを打ってから渡航しようということで、GoogleJapanに9月まで所属し、9月からGoogle Ireland へ行くことになりました

Work From Japan In Irish Timezone(2020/04 - 08)


初物理出社はワクチンの職域接種でした

入社日が3月末だったのですが、入社日になってもラップトップが届かずに自宅待機で「こんなんで賃金発生するのか」と思ったりしましたが。GTIという新入社員プログラムをAPACの皆さんと受け、いよいよダブリンチームとのオンボーディングを始めました。日本にいるあいだは昼3時に起きて夕方5時から仕事をする生活でしたが。朝が苦手な自分は本当に天国のような昼夜逆転生活でした。

夢だったGoogle渋谷には職域ワクチン接種のため二度行きました。不用品をメルカリで売ったり、自家用車を船で実家の九州へ送るなど結構慌ただしい中の移住でしたが。ワクチン打って2週間後の8月23日、パラリンピックの開会式があった日に渡愛しました。

Work From Ireland remotely(2021/08)


隔離期間中のリモートワークの図

渡航したあともリモートワークは続きます。隔離を経てアイルランド名物PPS/IRP/家探しやらで慌ただしい日々が続いていました。当初は9月オフィスのリオープンだったのですが、α株で延期し、δ株でさらに延期しということでダブリンにいるのにずっとリモートワークの日でした。


オフィス入社が許可された後も、自分の入館証がMTV->東京->MTV->ダブリン->MTV->紛失->再発行->MTV->ダブリンと謎の世界一周をするなどしましたりしてなかなかオフィスへ行くことができませんでした。が2021年11月 オフィスローテーションということで無事オフィスへ入ることができました。

初出社 (2021/11-)


ダブリンフォフィスの3つの建物同士をつなぐ橋です。

Googleのダブリンオフィスは某まとめサイトでバズっていた通り、きれいでキラッキラッしてました。東京オフィスも渋谷駅に連結してるなど立地はいいですがダブリンオフィスも City Centre (イギリス英語だからCenterじゃないよ!)の隣の電車駅の目の前と、なかなかいい立地です。

ダブリンオフィスは建物が複数に分かれていて、MTVよりも小さいですが一つのキャンパスを構成している感じです。東京には無いいろんな施設があります。例えば

  • Googleグッズが返るSWAGストア(MTVとダブリンだけらしいです)

  • プール

  • ソフトクリームマシーン

  • アジア料理・ヨーロッパ料理・ヘルシー料理・カロリー沢山アメリカ料理といったテーマごとに分けられてる合計9か所の社食 (謎日本料理もたまに出ます)

などがありました。何度通っても飽きないですね。

初出社時の自分のデスク。ディスプレイも何もない状態でした。コンセントの変換プラグ使って仕事してました。
初出社時のランチ このときはローテーション出社でぼっち飯でした


しばらくローテーション出社でほかの人とはタイミングをずらして通っていたため、週1でぼっちで作業をしていました。オフィスに来る意味は無料ランチしかなかったのですが、2022年4月、自分がダブリンに来てから8ヶ月目オフィスフルオープンということでチーム全員が集うことになりました。

まとめ

ダブリンでの仕事、自分の英語力が至らなかったりとかチームのReorgでハチャメチャになったりとか(過去記事参照)いろいろと波乱万丈ですが、おかげさまでうまくやれています。X(Twitter)でもよく投稿してますがチームイベントで斧投げたりVRゲームをしたりイベントも様々です。Reorgの時期に転職する動きをしたこともありましたが、今はいろいろあって落ち着いてはいます。しばらくアイルランドにいるとは思います。

最後に、Googleアイルランドでのオファー額+αを有料コンテンツとして載せておきます。
ここまで読んでくれてありがとうございました。

ここから先は

839字

¥ 980

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?