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歯痛の薬で麻痺・過敏を取る

私はここ数か月ずっと歯の治療を続けていました。虫歯が悪くなっていたので神経を抜いたのですがアンドロゲン補充療法をしていたせいか、神経細胞が何度も伸びてしまっていたんです。おかげで全然治療が進まないんです。

丁寧に神経を取り除いたはずなのにしばらくしてみてみるとニョキニョキ伸びてきているので3回目の時に歯医者さんが私を怖いものを見るような目で見てきました。ついに先週同じことを6度繰り返したのですが頭痛と視力低下がひどい状態でした。頭がガンガン痛いし熱は高くて夜も眠れません。目やにが付いたように白っぽいもやが視界にかかっていて小さい文字などは全く読めませんでした。そのことで凄く不安になりました。

歯医者さんでもらった抗生物質と解熱剤を飲むのですが全く効果がありませんでした。解熱の目的で手持ちの牛黄を飲みました。少しだけ良くなったのですが勢いで飲みすぎたせいか心臓がバクバク。しまった飲みすぎたと思ったのですが頭の痛みは少しマシになりました。

次の日漢方薬局に行って相談してみたところ「歯痛にはこれ」と、ある漢方薬を紹介されました。最初は1/10量から試しました。ピタリと痛みが止まりました。

「素晴らしい!!!」と思って飲んでいたら子供が「私も飲みたい」と言いました。うちの子供がそんなことを言うのは珍しいのです。何か欲しいものがあってもいつもソファにふんぞり返って「ジュースちょうだい!」とか偉そうにしているだけなのに、わざわざ自分から近寄ってきて私の服の裾をつまんで真剣な顔をして言うんです。

私は何かに導かれるような感覚に包まれて、「やってみよう!」となぜか思いました。そこで夜寝る前に1包の1/10量を水に溶かして飲ませてみました。

次の日の朝、不意に気になって舌を観察してみると前の日にぐっさり穴の開いていた地図状舌が改善していました。

そしてうちの子は毎日10回は「お母さん、足が痛いの。助けて、足が痛いの、見て」と言いますが、これも一切言わなくなりました。気になって足や口元の麻痺の残っていたところを触ってみるとそれほどビリビリという反応がありません。いつもは過敏があるので触ると皮膚が勝手に動く感じで反応します。そしていつもしびれているような足の皮膚を触ってもいつものようにぼや~っとした感じにはなっていません。

あれ???
麻痺が取れている???

そして毎日おむつを使っていたので痔もひどかったのですがそれも改善していました。

全身良くなっているよ?!


私の歯痛のための薬が、地図状舌と麻痺と痔に効いている実感があったんです。

地図状舌を治すための努力は今までたくさんしてきました。1つ良い方法を見つけて効果を感じていても、しばらくするとまた悪くなりました。脳性麻痺という病気はもぐらたたきのような病気で1つ良くすると次の症状が現れしばらくすると前と同じところに戻っているんです。その戻る場所がうちの場合は地図状舌でした。

なぜかというと舌の表面のシアル酸(糖鎖)が溶けて脱落しているということは、脳の中でも同じことが起きていてシアリダーゼという糖鎖分解酵素が多い状態にあるということを表しています。これは脳のダメージ部分を修復しようとしている物質の1つであるシアル酸を溶かす酵素が増えすぎているという状態です。失われたシアル酸を補充するために舌や消化器系のシアル酸が足りなくなるんです。それで舌に穴が開く。
それが間に合わないと脳で炎症が起こり、むき出しになったダメージ部分が反応して発作を起こします。この時糖をとても沢山必要とするので筋肉が少なく体に糖質をため込めない低緊張の子供は命取りです。このため私はシアル酸などの糖鎖に関する勉強をして食べ物や薬でこれをコントロールしようとしてきました。

糖鎖研究は基礎研究の段階であって病気を治す手立てとしては「早すぎる」と言われている分野です。お医者さんに聞いてもわからないので世界中の研究者や大学教授に直接メールや電話をして質問をして教えてもらいながらやってきました。先生の実家に泊まり込みでお風呂掃除やお仏壇の掃除をしながら徹夜で習ったこともあります。

そうしながらやっとわかってきたことは「糖鎖のコントロールがちゃんとできていたら、てんかん様発作も起こらないし地図状舌もできないし、筋力もついて知的に上がる」ということでした。でもそれはとても難しかったしまだなにか薬が足りないと感じていました。


脳性麻痺の子供の脳は常に炎症を起こしています。だから大量の糖質を必要とするし女性ホルモンもシアル酸もそこに集まって行くせいで代謝に問題を抱えている。根本的な問題は炎症です。だから絶対に炎症を抑えなければとは思っていたけれど良い方法が分からなかったんです。

時々は牛黄を飲ませていました。牛黄という生薬は昔から子供の万病に効くと言われています。これも炎症を取る薬です。中国では脳梗塞の薬として有名な丸薬の主成分で後遺症を軽減すると言われていました。脳の良い薬です。でも日常的に飲むには高すぎます。コロナウイルスが流行る前は1g6800円くらいだったのに今は15000円ですから。それに牛黄だけでは爆発的に良くなったという実感がありません。何か他のものと混ぜるべきだと思いましたが何と混ぜればいいか知る人はいません。チロシンキナーゼと上皮成長因子受容体に関わるということはわかっていましたが、飲みすぎた時に心臓に悪さをします。子供がそれを私に伝えることができないうちは適正量を探ることも難しい。私はこの問題について本当に困っていたんです。

でも今回の薬はピタリと症状全てを止めてくれました。

それが「ツムラ立効散エキス顆粒」という薬です。歯痛の薬と言いましたがヘルパンギーナなどに効果のある「夏風邪の薬」でもあります。

その中身を見てみると、

日局サイシン………2.0N:ウマノスズクサ科
日局ショウマ………2.0N:キンポウゲ科
日局ボウフウ………2.0N:セリ科
日局カンゾウ………1.5N:マメ科
日局リュウタン……1.0N:リンドウ科

どう見ても私たちが飲めなさそうな生薬が入っています。

私たちはガレクチンを含む植物は食べることができません。双子葉合弁花の生薬は避けていたんです。今までダメだった生薬は合弁花以外にも「色が青い花」もありました。ウマノスズクサ科やキンポウゲ科は毒の科目というイメージが強いです。

「これは全部毒では?!」と私が言うと漢方の先生は「麻酔薬だからねー」とにっこり。

リュウタンというのはリンドウです。青い色の花弁の根元がくっついた植物ですから、どう考えても苦しむに違いないものでした。

でも歯が痛すぎて「失敗してもいいから試してみたい」と思って挑戦してみたんです。完全にアタリでした。飲んでから20分後には視界のもやは半分くらいに消えていました。頭痛も歯の痛みもピタリ!と止まったんです。そもそもこの「立効散」という名前そのものが「早く良く効く」という意味だそうです。本当にその名の通りすぐに効果がありました。

漢方の先生は「だめだと思っても少量ずつ試してみたらいいと思う。いいか悪いかは量によって決まる。反応が強く出るタイプだから使う量だけ気を付けて、少しずつ試してみたらいい」と言われました。

立効散はいわゆる「麻酔」のようなものです。水で飲むとわかりにくいですが口の中にしばらく入れておくと舌がしびれて麻痺します。でも私はそのしびれがそれほど嫌ではありませんでした。美味しいしびれです。少し苦くて辛くて渋い味。その味は夜泣き貝のようでした。夜泣き貝というのは高級なお寿司屋さんで時々見かける貝で、夜泣きをする子供に食べさせると黙って寝るので薬として使われていたものです。夜泣き貝は毒があって舌が痺れるんです。それにソックリ。

その麻痺させる薬が子供の体の麻痺を取るとは。一体だれが歯痛の薬がうちの子供の体をここまで変えると思っていたでしょうか。

立効散について調べてみると、口内炎や知覚過敏にも効果のある薬で舌の粘膜の病気に使ったら効果があったという論文も発見しました。

・口まわり、頭痛を取る
・炎症を抑える
・粘膜を修復する

こういう働きがあるなら、理屈に合わない訳では無いですね。そして炎症を抑えたりする能力が脳にもよく働いているのかもしれないです。

数日で滑舌がよくなりました。しゃべれるようになると一気に賢くなった気分になるのか本人はとてもうれしそうです。

私の絶望的な歯痛は立効散と出会うために必要なものだったのかもしれません。甘草が含まれているので長期で使うことはできませんが、この薬もうまく使いこなしてもう一段階子供の麻痺を取っていけたらと思います。


ちなみに脳性麻痺も低緊張タイプと筋緊張の強いタイプに分かれます。立効散が柔らかいタイプだけに効果があるのか、すべての麻痺と過敏に効果があるのか他の方でテストできていないのでわかりませんが、抑肝散や甘麦大棗湯の関係のように「柔らかい体の麻痺」と「固い体の麻痺」も2つのベクトルで治療が進んでいくような気がします。ですからもしかしたら筋緊張が固いタイプの人は立効散が効果がないかもしれません。効果がないばかりか頭痛や動悸の症状がでて死の恐怖を味わうかも。

脳性麻痺の麻痺と過敏に立効散が効果があると知る人はほとんどいないと思います。ですが効果は絶大でした。地図状舌がひどい時はてんかん様発作が必ず起きました。発作が起きる前は鼻や耳の匂いを嗅ぐと独特の生々しいにおいがするんです。この匂いは血の匂いや擦り傷の匂いに似ています。

これ以外にも予兆は次のような症状で現れます。

・お風呂に入った時に皮膚の温度が違うのか「赤くなる部分と黄色い部分」にくっきりと分かれる
・歯ぎしりをする
・おでこが出っ張ってきて大泉門のあたりが張ってくる
・よだれが出る量が増えて低緊張が加速する
・関節に痛みを訴えるようになってくる
・食事量が著しく減る、または絶食期間に入る
・尿の回数が増える
・同じ単語を延々と繰り返すようなしゃべり方になる
・鼻くそが溜まって呼吸がしずらそうになるがなかなか取れない。独特の匂いの鼻くそが出る
・移動や運動をあまりしなくなり、一か所でぐったりとしている
・遠くをぼーっと眺めるようなことが増える
・寝るときに蛙の座り方のように足をまげて正座して寝る
・発汗量が増える
・顔がパンパンに丸くなり浮腫みで首がなくなる
・大量の鼻血が出る
・寝ているときに反り返る


舌に穴があくときは、このようなてんかん様発作の前兆は沢山ありましたが、この薬でこれらの症状はすべて消滅しているんです。

地図状舌の研究はあまり進んでおらず、病院で相談しても「経過観察しましょう」と言われて終わります。何の対処もされず放置され続けてきました。
一生この舌と付き合い続けなければならないのかと思うとゾッとします。

立効散は脳性麻痺のアンドロゲン補充療法の基礎的な薬の1つとなるものだと思います。


これは本当に良い発見です。
ああ、よかった。

これで発作がおきなければ、私も寝れる…。


追記。

その後漢方の先生と相談した結果、この薬の使い方は次のようになりました。

・1日の投薬量は1包の1/10~20量を基本とする
・症状が出てきたら1/20量からスタートし、最大量で1/10量とする

・投薬期は4日で1クールとする。
 1日目:1/10量
 2日目:1/10量
 3日目:1/10量
 4日目:1/20量

この量を1日1回寝る前に飲ませる。

それ以上は飲ませず休薬期に入り、発作や吃音の症状が明確になったら飲ませるようにする。効いた実感が凄い時は明らかに飲ませすぎているはずなので、絶対に飲ませすぎない。はた目から見て「足りていない」と感じる程度をキープする。「しっかり薬を効かせよう」とは絶対に思わないこと。

現在私の子供の体重は52kgです。それでこの量で充分効果があるのですから、もしも2歳くらいの時にこのことに気づいていたら、量で失敗して苦しんでいたかもしれないですね。

それと立効散は私が数日飲み続けると必ず頭痛と動悸がありました。倦怠感も強く起き上がるのもつらいほどでした。子供も「頭が痛い」と言って学校に行くのを嫌がりました。私も子供も足がパンパンにむくみました。そしてなぜか眠れません。

そこで一番最初に効果があった時のことを思い出しました。立効散を始めて飲んだ時、それは夕方でした。朝私は牛黄を飲んでいたんです。それで立効散に少量の牛黄を混ぜて飲んでみたところ全く頭痛は起きませんでした。

「立効散+牛黄」

これは頭痛を取りましたが不眠になりました。

そしてその後牛黄を飲んだ後2時間くらい経ってから「鹿茸」を少量飲良く眠れるようになりました。

それを漢方の先生に伝えたところ、「水でゴクゴク飲んでしまうのではなくて、とろみがつくくらいに伸ばしたらそれを口の中に塗ってみてはどうだろうか?」とアドバイスをされました。

口の中から吸収させる方法です。確かに水で飲むと胃が重くなる感じがしていたんです。下痢ではないけれどやや柔らかくなるようでちょっと変だなと思っていました。

しばらくこれを続けて様子をみてみます。




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