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子供の病気の技術を大人に活かす#4歯ぎしりを治す方法

私は以前から歯ぎしりが酷く、下あごの骨の形状が変わるほど歯ぎしりをしていました。子供が2~3歳になるころにはキリキリギリギリという音をさせて寝ているので「歯ぎしりも遺伝するのか…」と思っていたのですが歯科医に尋ねてもその理由は教えてはもらえませんでした。

一般的に歯医者さんは「歯ぎしりはストレス」「歯ぎしり自体の治療方法はないから歯を守るためにはマウスピースが必要」と言って嬉しそうな顔をします。マウスピースは使いにくく何度も作り変えてもどうやっても合わず、歯ぎしりも改善しないままマウスピース代だけが私の負担になりました。そりゃ儲かるわ!にやにやするわけだわ!と、脱力。

「本当に歯ぎしりの治療法はないものなのか…」と、しばらく考え漢方薬局に向かいました。漢方の先生は「ありますよ?」と一言。

そこで教えてもらったのが「甘麦大棗湯」でした。

え?また?と、思いました?私のnoteに頻繁に出てくる漢方薬です。どれだけこの薬に助けられたでしょうか。すごい万能薬のように思えますよね。

甘麦大棗湯の特徴は、睡眠中の血糖値を高い値でキープすることです。低血糖症状が起きないということは多くのメリットがあります。

・反り返りや足のつりなどを防止する
・子供の夜泣き
・頻繁に目が覚めるのを防ぐ

血糖値が下がると危険なので、体はコルチゾールを分泌して血糖値を上げようとしますがこれは目を覚ますホルモンでもあります。夜中に何度も目が覚めるので体は寝ても寝ても疲れが取れずしんどいまま。起きてもだるいので活動量が増えず今度は寝つきも悪くなり、というように悪循環は続きます。低血糖で体の筋肉に貯めた糖を溶かして使う時にヒラメ筋に貯蔵したものを使います。だから足がつる。そして次に使うのが肩甲骨の間の筋肉に貯めたものです。その時体は暖かい部分と冷たい部分ができるのでそれによって筋肉が緊張して筋肉はつります。

夜泣き、反り返り、足のつりは1セットですがここにもう一つ特徴的な症状が加わります。

それが「歯ぎしり」です。

筋肉がつると痛いので歯ぎしりをします。大体首を後ろに反らせているので、子供が苦しんで歯ぎしりをしているときは寝姿を普通に整えてやります。U字のクッションを使ったり、小さなクッションで補正をすると落ち着いて寝てくれます。その時足元を温めてやったり腰のあたりにカイロを当ててやると少し改善します。何よりそのタイミングでブドウ糖水溶液を飲ませると楽になるようです。

甘麦大棗湯を使うとどうなるかというと、嘘のように歯ぎしりをしなくなります。ぐっすり寝れるので次の日は朝目を覚ました瞬間からにぎやかに遊びたがります。

「なーんだ、歯ぎしりなんて簡単じゃない!漢方薬で治るなら楽勝!」と、思って歯医者さんにそれを言うと誰も信じてくれませんでした。まあ私みたいなただのおかあさんに言われてもね。

とりあえず私も同じ漢方薬を飲み始めました。すると歯ぎしりはしなくなったようで周囲から指摘されることも減りました。ベビーシッターさんは「隣の部屋にいても聞こえるくらい大きい音で歯ぎしりしてるけど歯は折れないの?大丈夫?」と言っていたのに「最近一切歯ぎしり聞いてない」というので多分大丈夫。ただ続けて飲んでいると関節が痛くなってきたので飲みすぎ注意です。薬に頼らず夜間低血糖を防ぐには寝る前の炭水化物の摂取以外方法がありません。多少太るけど仕方がない。

歯ぎしりがストレスからくるものというのもなんだか微妙な感じですよね。コルチゾールは抗ストレスホルモンですし。夜中にコルチゾールがたくさんでいていたらいざという時に使うためのコルチゾールは枯渇するかも。ストレスに弱い状態になれば筋力が低下して、ふくらはぎにグリコーゲンを貯められなくなる。

ということは???

歯ぎしりをする人がストレスをためているのではなく、歯ぎしりをするほど夜間低血糖だからストレスがたまるのでは?

テストステロンの量が歯ぎしりに関係があるとも言えるのかな。筋力を鍛えられれば夜間の低血糖も防げるし。グリコーゲンを貯められる能力の違いこそが歯ぎしりをするかどうかを決めるのかな~?

色々想像できますね。

これについては24時間血糖値を測る機械を歯ぎしりの激しい人につけてみて夜間低血糖の具合を計測して、血糖コントロールの手法を使ってみたら結果が出そうな気もするけれども。


ちなみに甘麦大棗湯と対になる薬が1つあります。それが抑肝散という漢方薬です。抑肝散は大抵「子どもの夜泣き」「筋肉のつりを抑える」などの症状に対して処方されるお薬で、「抑肝散が効かない子は甘麦大棗湯が効いて、甘麦大棗湯が効かない子は抑肝散が効く」と言われているそうです。同じジャンルなのに正反対なんて面白いですね。

抑肝散はいわゆる“疳”の強い子供に向くとされていて、どちらかと言うとおとなしい性格の私の子供にはちょっと違うかなという印象でした。抑肝散を飲ませた時はまだ漢方の生薬の相性について理解できていなかった時なので飲んですぐ苦しむ姿に驚きました。

× 柴胡(サイコ):熱や炎症をさまして筋肉の緊張をゆるめる
× 釣藤鈎(チョウトウコウ):脳循環をよくする
× 蒼朮(ソウジュツ):水分循環を改善する
〇 茯苓(ブクリョウ):水分循環を改善する、動悸をしずめる
× 当帰(トウキ):血行をよくする
× 川きゅう(センキュウ):血行をよくする
× 甘草(カンゾウ):緩和作用

これが抑肝散に含まれている生薬です。×は私の子供が飲めない生薬で、〇が飲んでも問題が少なかった生薬です。双子葉合弁花類やシトクロムに関係する生薬は使えないのでほぼ使えない薬で構成されています。

甘麦大棗湯が効かない人には抑肝散をというのは歯ぎしりに関しても言えるようで、専用のお薬も発売されているほどです。

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歯ぎしりを漢方薬で治すときは、「抑肝散」を選ぶのか、それとも「甘麦大棗湯」を選ぶのかについては生体異物除去食を食べることができるかどうかということを基準に考えると良いかもしれません。

色々考えるのが面倒な人はいったんどちらかを飲んでみて効いた方を続けて飲むという方法があります。私の漢方の先生はこの手法がお気に入りのようで、最初に抑肝散を出されたのでうちの子は一度死にかけました。


歯ぎしりをするというだけで、悩みがあるのではないかとかストレスを抱えたややこしい性格の人間だと思われそうでとても嫌です。特にそれほど悩んでいるわけでもないのに歯医者に行くだけでちょっとしたことで落ち込む性格なのではないかとか邪推されるのもなんだかね。

ただ単に血糖コントロールの問題であったということが分かれば、対応方法が決まります。

よく食べてよく寝る!そして運動!


ちなみにアンドロゲン補充療法をでテストステロン軟膏を塗っている時期は嘘のように歯ぎしりが止まります。漢方薬の比ではありません。

わざわざ歯ぎしりのために使うのはどうかとも思うけれど、使っているときはピタリと止まるのは興味深い事だと思います。



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