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今日覚えたい発音:

先月24日から、フランスではワクチン証明書の名前と効力が変わったようです。

以前:le pass sanitaire
現在:le pass vaccinal

おなじみの 1jour1actu でも記事になっています。
このビデオを45秒あたりから少し聞いてみてください。
(Le passe vaccinal remplace le passe sanitaire, utilisé auparavant dans notre pays pour lutter contre l’épidémie de Covid. の箇所です)

気づきました?いや、もう少し前からおわかりだった方も少なくないかもしれませんね。

ぼくは数行前で「少し聞いてみてください」と申し上げたということは、そう、音の話です。

全体を通してナチュラルスピードで "le pass vaccinal" を解説内で使っている時には、例の同化が起こっています。

「例の?」
decin は mètcin のような音に、tout de suite は tout' suite のような音に変わりますよね。

le pass vaccinal と言おうとすると、口が勝手に真ん中の [s] の音を [z] にしちゃうのです。だってそのほうが言いやすいから。
(英語で)have to / has to はなんと発音しますか?同じ原理です。
この現象を逆行同化と呼びます。

日本語で「なんば」と発音するときの「ん」の音の作り方と、「なんかい」と発音するときの「ん」の作り方は違いますね。次に何の子音が手前の音に影響を与える現象は日本語にも存在しますよ。
「なんば」のときは [b] を準備して唇を閉じて [m] である一方、「なんかい」は口は開けっ放しで「ん」の音を作っているはずです。

le pass[z] vaccinal に対して、le pass sanitaire は次にも同じ子音 [s] が続くので、[s] のままで音が濁る(有声音化する)ことはありません。

今一度全体を通して le pass vaccinal の音を拾ってください。
ねっ?ほぼ毎回同化しているでしょ?

なお、ネイティブにとっては自然で無意識下で行われる音の変化なので、同化に気づく人はほぼいないと思われます。

まあ、日本人でもいないか?
マニアの勲章ですかね。

あのう、1jour1actu さん。
ちょっと聞いていただけます?

この場合の pass って単語は英語由来なので、 passe ではなく pass ですよ。
まあ、読んでくれていないだろうけど。

とここまで書いたら、passe が正しいという記事も多数見つかりました。
わからないですね。

政府発表の記事は、すべて le pass になっています。

ご参考まで

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