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僕と薬のうつ日記 4年目その9「初めてボランティアに行った話Ⅲ」

前回のお話

現場について最初の30分くらいは、皆漠然とそれぞれが作業をしていた。
しかし、このままでは作業が全然進まないのでは?
という不穏な空気が出てきた。

そこでD君と僕で作業工程を整理しようという話になった。

作業の手順としては
・側溝のコンクリート板を開ける
・泥をすくう
・すくった泥を用意された専用の布袋に入れる
・泥がいっぱいになったら袋を閉じる
・閉じた袋が集まったら台車に乗せ回収所へもっていく
・側溝にコンクリート板を戻す

こんな感じだ。
これらの工程を誰がやるか5人で振り分けることにした。

側溝の蓋開け&戻し、泥すくいは力がいるので自分、D君、上夫さんの三人でまわし、泥袋を固定したり、縛ったり、台車に乗せて回収所まで運ぶのをDちゃんと上子さんにお願いした。

最初はぎこちなかったが、やってみて違和感を感じたら互いにアイデアを出して改善していくようになった。

蓋の置き場所や、道具の置き場所、袋の配置や足のステップに至るまで、D君と僕は「効率!効率!パッション!パッション!」と冗談を言い合いどんどん作業肯定を磨いていった。

やがて皆の歯車が噛み合いはじめた。

昼休憩の時になると、僕とD君はすっかり意気投合していたので一緒に昼ごはんを食べようということになった。Dちゃんも同席した。

ちなみにD君とDちゃんはかなり仲良さそうなのでカップル参加なんだと思っていたが、聞いてみるとそうではなく、大学の同じサークルなのだそうだ。
もしかして、どっちかがどっちかを好きとちゃうん?とゲスな目(guessだけに…)を光らせてみたが、本当に違うみたいだった。

昼休憩が過ぎて、また皆で集合した。

午後も午前中と同じく、誰かが問題点を見つけたらアイデアを出し改善することを繰り返した。
3時休憩も終わり、夕方近くになると皆で声を掛け合いながら夢中になって作業をしていた。

僕らは午前中では考えられない作業効率とスピードになった。
最後には、「せめてここまではやりたい!」とみんなで同じ目標まで持つようになった。

残念ながらタイムリミットになり、自分達で設定した目標にはあと少しで達しなかったが、数十メートル分の泥すくいができた。
素人が数時間でやる作業としては頑張った方だと思う。

数日間一緒に作業すれば、練度はもっと上がり更に速度が出ただろう。

最後に地元の方が「お疲れさまでした」と缶コーヒーを差し入れてくれた。温かい笑顔と甘いコーヒーは疲れた体に心底染みこんだ。

ただでさえ大変な状況なのに、かえってこちらが元気をもらってしまい申し訳ない気持ちになりつつ、できる限りの笑みで僕も返答した。
そんな生優しいものではない事を承知のうえだが、少しでも助けになったのならと思う。

最後はまた元のボランティア運営の大本へ行き手続きを済ませ、帰りのバスへに乗り込んだ。

途中、高速の休憩所で小学生みたいな顔してソフトクリームを食べてたら、D君に背中を押されたDちゃんが僕の連絡先を聞きたいと話しかけてきた。
また今度ボランティアに行くときに誘ってくれるそうだ。
もちろん喜んで(内心ヘラヘラしながら)連絡先交換をした。

後日、実際にDちゃんから連絡がきたが、その時は出られず。
あとでかけ直したがそれっきりだった、まあそんなもんかな。

こうして僕の初ボランティア体験は無事に終了した。
寝不足状態ではあったが、危惧していた体調不良が出なかったのは幸いだ。

バス会社さん、ボランティア運営さんの手厚いサポートを得た上だが、最後までつまづくことなく行動できたのも今後の自信に繋がった。

そして初めて会ったのに、テンションや息をぴったり合わせてくれたD君、そして年下の僕とD君があれこれ仕切ったにもかかわらず、快く提案を受け入れてくれた上夫さんと上子さん、サポートしてくれたDちゃんには大きな感謝をしている。

全く知らない者同士が集まり、知恵と力を出し役に立てた事は本当に嬉しかったし大きな充実感を得た。

人の役に立ちたくて参加をしてみたが、結果的に自分に得るものがとても多かった。大きな土産をもらってしまった感のある体験だった。

現地で迷惑をかけないよう、自分のコンディションが1番優先を大前提として(さらに周囲の理解も得たうえ)、

もし、何かしたいと思ったとき。
チャンスがあるのなら、ボランティアへ参加してみるのも1つかと思う。


カバーに素敵なkei02さんの写真をお借りました。
ありがとうございました。

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