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読書メモ ScrumMastery 1章 RESPECTED:尊敬されている

スクラムマスターや、スクラムマスターの支援をしているので、改めてスクラムマスター系の文献を調べています。その読書メモを残していきます。

ScrumMasteryでは、偉大なスクラムマスターが持っている特性をRE-TRAINEDで表すことができる。各記事で順番に説明していきます。初回は、Respectedから。

  • RESPECTED:尊敬されている
    チーム内でも組織全体でも、誠実であるという評判がある

  • ENABLING: 権限を付与する
    他者を効果的に支援することに情熱がある

  • TACTFUL:機転の利く
    外交的である

  • RESOURCEFUL:才覚のある
    生産性の妨げとなるものを取り除く創造力がある

  • ALTERNATIVE:取って代わるもの
    カウンターカルチャーを推進する用意がある

  • INSPIRING:鼓舞する
    他者に熱意とエネルギーを生み出す

  • NURTURING:育成
    彼らは、個人とチームの両方が成長し、成長するのを助けることを楽しむ

  • EMPATHIC: 共感できる
    彼らは、周囲の人たちに敏感である

  • DISRUPTIV:大変革を起こす
    彼らは、古い現状を打破し、新しい仕事のやり方を生み出すのを助ける

RESPECTED:尊敬されている

チーム内でも組織全体でも、誠実であるという評判がある

スクラムマスターは、何の権限もない。スクラムマスターはスクラムの価値と原則を体現し、スクラムのプロセスを促進することを期待され、チームの成長を導き、組織のチェンジエージェントであることが求められる。そのために、スクラムマスターが効果的であるためには、チームだけでなく、組織内の影響力のある人たちから尊敬される必要がある。

偉大なスクラムマスターは、チームと信頼関係を素早く築くことができるので、困難な状況でも効果的にファシリテーションできたり、チームに内省を促す厳しい問いを投げることができる。

良いスクラムマスターを見つけるためには、チームや関係者での投票をすることが良い。しかし、これは経営陣が選ぶ人とは異なることが多い。スクラムマスターがサーバントリーダーとしていい仕事を氏てないのであれば、チームは自分たちで新しいスクラムマスターを見つけるべきだとまで言うかもしれない。

尊敬されるスクラムマスターは、皆謙虚さを持っている様に見える。ある守の無欲さとエゴのなさが彼らの誠実さを尊敬を高めているのだ。謙虚なスクラムマスターは時間を取って勉強したり、誰が助けてくれたか振り返る。謙虚さを実践するには、助けを求めたり自分の知識のギャップを認めたりしよう。

偉大なスクラムマスターは意見が、影響力を持つ人たちにより大きな重みを持つために、組織内での障害を取り除き、変化させることの成功率が高くなる。

尊敬の大きな要素は、誠実さを持つことから生まれます。誠実さには、正直さ、一貫性、信頼性、強い道徳心が含まれます。

ヒント:レトロスペクティブで、いいスクラムマスターになるためにどうしたらいいか?のフィードバックをチームに求める。
ヒント:信頼を得るためには、約束をしすぎず、小さな約束を守ることを繰り返すし、失敗したら謝る。

何よりも、チームに力を与える(Above All,Empower the Team)

A good ScrumMaster will be indispensable to a team.
A great ScrumMaster will become both dispensable and wanted.

良いスクラムマスターはチームにとってなくてはならない存在になる。
偉大なスクラムマスターは、不要な存在になると同時に、必要とされる存在にもなる。

スクラムマスターが尊敬されるためには、わざと主導権を握らないこと
スクラムマスターの役割を始めた人に2つのアドバイスをする
まず、チームに聞くこと、もう一つは自らを冗長にすること。

まず、チームに聞く

どのような質問でも、難しい問題でも、基本的には「チームがどうすべきだと思うか聞いてみる」べきだ。
これは言うは易し、行うは難しである。

問題を解決するための直接的な質問だけではなく、重要な学習ポイントを発見するために、現実的なものも、抽象的なものも、チームに振り返ってもらうことを勧めている。

自らを冗長にする

このアドバイスは、スクラムマスターの役割を不要にするつもりでスクラムマスターの役割に就くこと。POと良好な関係を築き、スクラムをよく理解し、高いパフォーマンスを発揮する自己管理型のチームを作ること。

彼らがSMを必要としないほど偉大になるということ。

これは最高のテストであり、最も難しいテストである
奉仕される者は人として成長するか。奉仕されている間に、彼らはより健康になり、より賢くなり、より自由になり、より自律的になり、彼らがサーヴァントになる可能性が高くなるのか?

守破離

守破離の比喩は、スクラムチームとスクラムマスターに非常に当てはまる。

ミヤギ氏は、空手の技を教えるのではなく、車にワックスを塗っては落とすという動作を繰り返させる。この繰り返しのポイントは、新しい筋肉の記憶を作ることで攻撃されたときに何も考えなくても必要なときに適応できるようにすること。この段階では、根拠を聞いても「私が言うからそれをしろ」としか言われない。これは守破離の守の段階。そして、生徒は反復練習の背後になる合理性に気づく。破の段階。メカニズムに疑問を持ち始め、原理を体現する新しい方法を見つけ始める。この段階では、教師は生徒がルールを破ることを推奨し始める。最後の段階、離では、生徒が教師から超越し、教師を必要としなくなる。

このようなプロセスを経て、スクラムマスターはスクラムチームがスクラムマスターを必要としないチームを作る。

あなたは余剰人員になり、履歴書に、「私は、チームと組織がアジャイルで高パフォーマンスを発揮できるようにし、私はもはや必要とされなくなった。」と書いても、心配しなくてもいいくらいに需要が高いことを主張したい。

平和を維持する?(Keeping The Peace?)

A good ScrumMaster will help maintain team harmony.A great ScrumMaster will guide a team throughdisharmony to reach a new level of teamwork.

良いスクラムマスターは、チームの調和を保つ手助けをする。
偉大なスクラムマスターは、チームの不調和を乗り越え、チームワークの新たなレベルに到達するよう導く。

パトリック レンシオーニの著書「あなたのチームは、機能してますか?」に出てくる5つの機能不全の第1は信頼関係である。

私が見てきた偉大なスクラムマスターの主なパターンは、彼らが尊敬の範囲内にとどまりながら、互いに情熱的に正直でオープンになれるような安全感をチームに芽生えさせることである。

あるチームは、スクラムを初めて体験するチームだった。最初のスプリントを半分ほど終えて、お互いに慣れて、仕事とのリズムを確立しているところだった。
スクラムマスター未経験だったが人間的なスキルの高さからスクラムマスターに選ばれた。しかし、チームメンバーの1人がデイリースクラムに遅刻することが多かった。

あるふりかえりの時間に、デイリースクラム遅刻問題が持ち上がった。チームは罰金制度を導入した。しかし、遅刻していたメンバーは同様に遅刻を続け、ある日は罰金を前払いするために20ポンド札を持って現れた。協力を促すことについては的外れだった。

問題の表面化

初回のふりかえりにて、スクラムマスターはデイリースクラムの遅刻がチームにどのような影響を与えているのか表面化させようとした。スクラムマスターがこの問題を放置していたら、チームが遅刻者中心に業務を進めるようになり、チームの恨みは有害なレベルまで達していただろう。スクラムマスターは、ふりかえりをうまく処理し、自分の考えをチームに押し付けるのではなく、チームから問題を引き出すことに成功した。
チームに問題を発言させることは、はるかに強力である。沈黙を居心地悪くさせることは、人々を会話に引き込むための素晴らしい戦術である。

しかし、スクラムマスターはレトロスペクティブまで待つ必要はなかった。スクラムは、チームが作業プロセスを毎日点検し、必要であれば適応させることを積極的に奨励している。チームは、正式な機会があるとわかっているからといって、スプリントの終わりまで変更を待つという罠に陥ることがある。

さらに、1回目の振り返りでは、スクラムマスターは最初に出てきた提案を選んでしまったが、これは新人のスクラムマスターにありがちなことだ。これによって、チームは1つの問題を表面化することはできたが、すべての症状を調査したり、根本的な問題の解決に取り組んだりすることはできなかった。私は、もっと深い問題があったのではないかと疑っている。例えば、あるメンバーがなかなか見つからない、どこに胃たのか、何に取り組んでいたのか、気が散るようなことがあったのか。

いつ掘り下げるか正しく判断するためには経験が必要である。なぜなぜ分析をつかうことで、問題の真因を見つけることができるが、誰かが身構える可能性があるので使い方は気をつけて。

チームの編成段階

この物語では、タックマン・モデルで言えば、まだ「形成」段階にあり、ほとんどのチーム・メンバーが受け入れられることを望み、可能な限り対立や衝突を避ける時期である。快適だが、フラストレーションが溜まる段階でもある。しかし、対立がないため、進展がないし、チームワークもないため、フラストレーションも溜まる。お互いを怒らせないように懸命になっている。

スクラムマスターは、このことを認識しチーム開発のこのフェーズを素早く通過できるようにチームを導く手助けができるように準備すべきである。私が見てきた中で、最も成功したスクラムマスターの介入は、チーム規範のファシリテーションに焦点を当てている。

ここから、チームはストーミング期に移る。対立があり、自分たちの立場を合理化しようとするとき、対立するアイデアや価値観が表面化する。いいスクラムマスターと偉大なスクラムマスターが分かれるのは、多くの場合ここである。

良いスクラムマスターは、その対立をできるだけ簡単かつ迅速に解決し、チームを再び調和に戻す。これは良いことだ。なぜなら、対立が活発だとチームはうまく機能しないからだ。
しかし、偉大なスクラムマスターは、ほとんどの場合痛みを伴うプロセスであるにもかかわらず、チーム内の対立を、チームを後退させるのではなく、前進させるために利用する。
対立を深く意味のある解決に導くには、時間がかかり、慎重に進める必要がある。多くの場合、チームがチーム内の各個人の価値観を振り返り、チームの価値観に決着をつけたり、修正したりすることになる。

ドーナツと腕立て伏せ

デイリースクラムに遅刻する問題への対処法をたくさん見た。ドアにロックをかけるとか、人数より1つ少ないドーナツを買うとか、腕立て伏せをさせるなど。

チーム形成活動とチーム規範の確立は、スクラムマスターの重要な職務である。チームに影響を及ぼしていると感じたら、必ずしもレトロスペクティブまで待ってチームに問題を提起すべきではない。また、チームが最初に出した提案を鵜呑みにすることも避けるべきだ。その代わりに、チームが本当の根本的な問題をカバーしていると納得するまで、掘り下げ続けることだ。

本当の正直さは、チームがそれに対処できるほど成熟して初めて得られるのは事実だが、チームが成熟するためには正直な反省を実践する必要があるため、微妙なバランス感覚を必要とする。しかし、チームがチームとしてどの程度成長しているかを判断する最良の判断材料になることは稀であり、スクラムマスターであるあなたは、チーム開発の初期段階において、おそらく不快な方法でチームに挑戦することになるだろう。

説明責任を果たす(Holding To Account)

A good ScrumMaster will hold team members to account if needed.
A great ScrumMaster will hold the team to account for not holding their teammates to account.

良いスクラムマスターは、必要であればチームメンバーに責任を押し付ける。偉大なスクラムマスターは、チームメイトに責任を押し付けなくても、チームに責任を押し付ける。

ワーキングアグリーメントを文書化しているスクラムチームのほうが、それを守り責任を負う可能性が高い。

あるチームでは、ワーキングアグリーメントを決めているにもかかわらず、ルールを守ってないし、ルールを破った人に対しても何も言っていない。そこでスクラムマスターは、「これらの合意は、あなたたちの意図した行動を本当に反映していますか? あなたたちは自分たちのルールを破っているだけでなく、行動を起こすことも、お互いに責任を負うことも怠っているから」。他のメンバーも、これが非常に現実的な懸念であり、ミーティングに集中できないことがあることに同意した。

話し合いが終わると、チームはスクラムマスターにワーキング・アグリーメントの練習をもう一度やってもらうことに同意した。今度は、自分たちが本当にやりたい、チームとして約束できると思う行動だけを含めるようにと、スクラムマスターはチームに念を押した。それぞれの望ましい行動について、スクラムマスターはチームにその影響を説明するよう求めた。

提案された合意事項ごとに、チームはDECIDEカードを使って支持の度合いを投票し、いくつかの反復と明確化の後、チームが支持、擁護、または譲歩したものはすべて、自分たちが従いたいルールとして、チームメンバーの一人がフリップチャートシートに書き込んだ。スクラムマスターは、全員が少なくとも1つのルールを個人的に書く機会を持つようにした。すべてのルールがシートに書き込まれると、チーム全員がサインをしてから、元のシートの代わりに壁に掛けた。

まずチームに尋ねる

ファシリテーターとして、スクラムマスターにはいくつかの選択肢があった。無視することも、チームを問い詰めたり、個々のメンバーに問いただすこと、EメールをチェックしたときにPCをシャットダウンしたり、退室を求めたり、ワーキングアグリーメントを再検討するための時間を取ることも、他の責任を果たすための休憩を取ることも。
結局のところ、この状況において、自分やチームの他のメンバーが観察した明らかなルール違反を指摘し、それについてどうするつもりかをチームに尋ねることを選んだ。これは非常に勇気ある行動だった。たとえ一度であっても、この行動を放っておけば、チーム内の取り決めはそれほど重要ではないという前例を作ってしまうことになる。問題を解決したり、ルール違反者に立ち向かったりすれば、自分がルール警察として機能することをチームに教えることになる。解決策をチームの肩に置くというスクラムマスターの決断は、判断を下さないまま、防衛行動や対立を最小限に抑えるのに役立った。

良いスクラムマスターなら、どんな状況であろうと、コミットメントを破った人の責任を問うに違いない。スクラムマスターは、特に開発の形成や規範化の段階にあるとき、チームの良心の役割を果たすことが多い。しかし、時間が経つにつれて、スクラムマスターは、チームメンバーが合意を守らなかったことに対して、お互いに責任を追及することをより強く期待するようになるはずである。

フィードバック文化を創る

信頼関係が崩れた相手に正直なフィードバックをすることは、簡単なことではない。同僚からの批判的なフィードバックを受け入れることも同様だ。チームメンバーは、言い争いを誘発したり、チームメンバー間にくさびを打ち込んだりすることなく、お互いに責任を押し付け合う方法を学ぶ上で、助けが必要になる可能性が非常に高い。

スクラムチームも、チーム内の個人も、そして彼らが活動している組織も、全員がフィードバックを頻繁に与えたり受け取ったりするプロセスに慣れる必要がある。要求の状態、設計の決定、見積もり、優先順位、他のチームメンバーとのやりとり、そして最も重要なのは、何をどのように作ったかについてのフィードバックを受け入れる必要がある。
多くの組織がフィードバックを大切にしているというが、いざとなると、人々は有益なフィードバックを受け取ることに不慣れであったり、準備ができていなかったり、したがらなかったりする。フィードバックを与えたり受けたりするのが得意だと思っている人が、往々にして一番苦手だったりする。

私は、この2つのモデルが、チームがフィードバック文化に慣れるための良い足がかりになることを発見した。スクラムは、組織、チーム、そして個人に対して、より定期的で具体的なフィードバックに慣れるように求めている。これは、ある人にとってはショックなことであり、定着させるには時間がかかる。良いスクラムマスターは皆、すべての関係者が成功するために必要な決断をするために、必要なフィードバックを提供する方法を見つけるだろう。偉大なスクラムマスターは、さらに一歩進んで、フィードバックがあらゆる方向に自由に流れ、仕事の進め方の一部として受け入れられ、期待され、評価されるような環境を作る。


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