ラグビー好きのための英語

ラグビーのワールドカップが終わった。サッカーと違って選手は強く下手に演技をしたりしないし、プレイが止まると時計も止まる。観客は目が肥えたひとが多く、サッカーのようにお祭り騒ぎをしたいだけのにわかファンはほとんどいない。スタジアムは鳴り物応援がなく、美しい歌声だけがこだまする。世界ランキング上位のチーム同士が戦う試合では、つくづく本当にトライが決まらない。なんという身体的な強さか、というほど敵の攻撃を跳ね返していく。プールと呼ばれるグループステージでは反則があった場合でもラインナウトをしたり、スクラムを選んでトライを取りに行くプレーが多かったが、準決勝、決勝ではまずは手堅くショットを狙っていた。本当に奥の深いスポーツだと思った。

さて、ラグビーの試合の面白いところは、審判団とTMO(Television Match Officials)と呼ばれるプレイ中の肉眼では見逃してしまう反則などを映像確認する審判団との会話がTVに聞こえてくることだ。そして審判が選手に反則を取る・取らないの説明をするところも全て聞こえてくること。そして多くの国際試合ではそれらは英語なので、ラグビー好きの人は英語をわかるとラグビーがもっと面白くなると思う。

審判はいろんな地域出身なのでそれぞれ特徴のある英語を話す。今大会の出場チームで、英語が少なくとも公用語である地域は、 England、Scotland、Wales、Northern Ireland、Republic of Ireland、Republic of South Africa、Australia、New Zealand、Tonga、Samoaなど今大会の出場チームの大半。審判はこれらの地域のいずれかの出身の人が多い。つまりいろんな地域の英語がきけるのだ。今大会の動画CMで出てきた、前回大会の決勝をさばいたNigel OwensはWales。そして今大会の決勝を裁いたJérôme GarcèsはFrance出身であるがフランス訛りの英語で試合を裁く。いつも思うのだが、日本人は北米のカナダと合衆国で話されるアメリカ英語を重要視しすぎだと思う。人口3億人近い北米英語の話者は多いが、世界で出会う人の話す英語は多種多様。英語はいろんな話し方があり、多様で面白い。イングランドの北部の方言や、スコットランドの英語なんかも癖があって何を言ってるかわからないこともあるが独特で特徴的で個性的でとても面白い。そういえばニュージーランドの英語も面白かったな・・短母音のeは全て、BBC英語のɪに聞こえるという。米語が基本とか、絶対とか思い込まずにもっと多様な英語に触れられることを望む

ところでこのNigel Owens氏は試合中に時折面白いシャレの効いた面白い冗談というかタワブレをするのが結構面白い。ボールボーイがタッチラインを割ったボールを投げ返して、間違って彼に当ててしまった時に、マジ顔でボールボーイにイエローカードを出して後で笑顔で合図していたり、審判を騙そうとする選手に「This is not soccerこれはサッカーではない」って言ってみたり、とにかく時折そう言った言葉を挟んでくるのである。でも選手を律して、試合を引き締めることもする。

さて、彼はウェールズ訛りの強い英語なので幾つか彼の生声の聞ける動画を紹介。この動画には、「サッカーのくだり」や、ボールボーイにボールをぶつけられる場面が

この中で笑ったのが、"You don't like the scrimmage? But, if you don't, you're in a wrong position."の一節。訳すと「スクラム好きじゃないの?だとしたら、君の位置どり(体勢)が悪いからだよ」

こちらは主審とTMOとの会話が聞ける動画。

ところで、ラグビーの反則等についての英語だが、最もよく聞く反則は、Knock on、Offside、Obstruction、Not Releasing、High Tuckle、Forward Passなどだろう。これらは名刺なので、単語の前にa/anをつけて、文章としてはIt/That/This was - の後につなげれば「これはオフサイドだな」「あれはノックオンだ」と言った言い方ができる。ただしNot Releasingだけは、That was not releasingって感じに言う気がする。

それ以外にも以下のような表現があり得る。実況がよく言っている。
- He was offside.
- He was clearly obstructed by the opponent flanker.≒The opponent flanker clearly obstructed him.
- He couldn't release the ball.
- He knocked it on. There was a knock-on. It/That/This was a knock-on.
- That was a forward pass.≒That pass was forward. He passed the ball forward.
- His tackle was a shoulder charge.

ぜひラグビー好きの皆さんには英語を覚えてもらい、さらにラグビーを楽しんで欲しい。

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