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海千山千のリーダー論を気持ちよく消化する

何度でも言ってしまうのだが、リーダー論は非常に多様だ。そしてそれら同士は相反する。どちらも正解であるにも関わらず。これが人をリーダー論から遠ざける理由の最たるものな気がしている。この問題を決着させたいというちょっと度を超えたことを試みるのが今日のお話。前回記事からの続きのつもり。

強いリーダーか、弱いリーダーか

ある成功者は言う。「強いリーダーが必要だ」。人を迷わせず、迅速的確に向かうべき道を示し、率先垂範し、人を鼓舞し続ける。そうでなければこのVUCAの時代を乗り切ることなんてできない。

別の成功者はこう言う。「弱いリーダーが必要だ」。自分を武装せず、大きく見せようとせず、等身大の自分を見せる。強みもあるが弱みもある。そしてその弱みこそを包み隠さず周囲に見せるからこそ、人はリーダーを信頼し、そしてリーダーの弱みを自分の強みで補おう、という発想が生まれ、組織が強くなっていく。VUCAの時代のリーダーだからこそ、多様性から力を引き出し、新しい状況に対応し続けられる組織づくりをしなければいけない。

これらはどちらも正解だ。どちらの話にも、真実が含まれている。何よりも、その語り手自身がその姿勢・思想を体現して結果を出してきているわけだから、迫力があり、そして説得力がある。だからどちらの話にも引き込まれる。

で、どっちなのか

問題はここからだ。誰かのスリリングなストーリーを消費するだけであれば構わない。しかし、リーダー論に関心がある方の多くは、そこから学び、自分自身がリーダーシップを発揮したいと願っている。しかし、自分はどうすればいいのか?強いリーダーになればいいのか?弱いリーダーを目指せばいいのか?自分の性格からすれば弱いリーダーが性に合っていそうだけれど本当にそれでいいのか?

魅力的な「リーダー論」を語るリーダーは、間違いなく皆素晴らしいリーダーだ。しかし、それはリーダーの方々が「リーダーシップ論」を学んだ結果そうしているわけでは必ずしもない。どちらかというと、ご自身の置かれた状況、出くわしたチャレンジの中で、一つ一つ学んでこられたケースが多いのではないか。

状況を持ち込む

謎掛けはここまでにしよう。「強いリーダー」も「弱いリーダー」も正解というのはどういうことか。答えはシンプルだ。「状況による」。

・・・当たり前すぎる回答だろうか。しかし誤解しないでほしい。答えがわからないから「状況によりますね」と逃げているわけではなくて、これは本当のことなのだ。そして、逃げセリフの「状況による」のように煙に巻いたままお茶を濁すのではなくて、ちゃんと「どんな状況だとどうなる」という話をしたい。

ここからご紹介したいのは、いわゆる「状況適合理論」だ。このリーダーシップ理論もあくまであまたある理論の一つに過ぎない、という見方もあるだろう。しかし、どうか食わず嫌いせず一度、この理論にしっかり向き合うことにお付き合いいただきたい。

ダニエル・ゴールマン氏をご存知だろうか。「名前は聞いたことがある」という方はおそらく「EQ理論の提唱者」だと記憶されているかもしれない。IQ=Intelligence Quotientが大盛況だった時代にEQ=Emotional Intelligence Quotient で一石を投じた偉大な研究者だ。一言で言うなら「成功を左右する要素はIQではなくEQである」という主張をされた。そのリサーチの過程は緻密で膨大であり、その結果組み上げられたEQ理論は非常に強力な説得力を持っている。・・・ただ、「リーダーシップ論」のみに関心がある方であれば、EQのリサーチをくまなく読んでいただく必要はない。このEQに関する研究結果を下に、我々が関心を持っている「状況適合理論」のみに焦点を当てれば事足りる。

・・・前さばきだけで一記事程度のボリュームになってしまったので、状況適合理論の具体的な話は次回に持ち越しにさせていただきたい。次回はあまり御託は並べずに中身のお話を中心にしたいと思う。



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