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【解説】陰謀論はなぜ恐ろしいのか

陰謀論は「自分の知らない世界のことを知りたい」と思っている人が勉強せずに秘密を暴いているような気分を味わう娯楽です

「実はあの事件は○○の陰謀だったのではないか?」と妄想するのはSF小説を読むのに似た体験で、集中力が続かなくて小説を読めないような人たちでも楽しむことができます。

なぜ陰謀論がお手軽なのかと言えば、そもそも根拠がない話だからです。根拠がないから、考えなくて良いし知識さえいりません。むしろ知らないことによって成り立っています。ワクチンのことも政治経済のことも知らないし理解できないから”自分(たち)だけが知っている真実”という妄想を信じることができます。

勘違いしてほしく無いのですが、娯楽と割り切った陰謀論は何ら問題はありません。悪の集団が世界を思い通りに操っているんじゃないかと妄想してドキドキするのも楽しいでしょう。
陰謀論を何十年やっても人間としての成長は一切見込めませんが、娯楽なのだからそれでもいいのだと思います。
陰謀論は誰もがすぐに楽しめるとても敷居の低い娯楽です。それゆえテレビやYoutubeと相性が良く大昔から人気のコンテンツでした。

しかし、陰謀論で現実世界を見ようとする人たちは社会にとって大きなリスクです。社会の足を引っ張る危険な人間にならないために、陰謀論を現実に持ち込んでしまう人間の欠陥について知って欲しいと思いこの記事を書きました。

陰謀論とは基本的に
【XX(権力を持っている人や団体)が△△(儲けるとか)するために○○(事件など)を起こした】
という論理の形を持っています。証拠が全くないから何も言っていないのと同じなのですが、ともかく論理の構造はあります(トンデモ論理というやつですね)。

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ワクチンの専門家が仕組みを説明しても、「専門家も製薬会社に買収されているから信用ならない!」と陰謀論を根拠に否定しようとします。
反対意見はすべて相手の陰謀にしてしまえば、考える必要もありません。
自分の信じることと違う情報を調べない。こう言った陰謀論は医療に限らず、様々な領域で氾濫しています。

そしてこれらの人たちは選民思想を持ちます。自分は他の人たちと違って、世界の秘密を知っていると思い込みます。こうなると本人の力では止めることができなくなります。家族や友人でも止められません。

一度選民思想を持ってしまうと、今度はSNSでの誹謗中傷行為や他人の医療行為への妨害が本人にとっては正義の戦いになります。こういう人たちは友人を失い、社会から排除されるから、同じような人たちが集まってカルト集団化していきます。

陰謀論にハマる人たちは単に楽な方に流れているだけです。
「自分の気持ちに嘘は付けない」というセリフが漫画やドラマなどで使われますが、これは嘘です。自分ほど騙しやすい人間はこの世に存在しません。常に自分を疑い、考えることを止めず、科学的思考にしがみつく力を持ちましょう。


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