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「戦争体験を語り継ぐ」という嘘

①戦争体験の記憶はすでに死んでいます

まず第一に、戦争が終わったのが今(2023年)から78年前だということを理解しましょう。
78年前というのは大昔です。第2時世界大戦の戦場に立つには、当時の時点で20歳程度である必要があります。つまり、今生きているとしたらその人は若くても98歳ということです。

もちろん98歳以上の男性全員が戦場で戦った経験があるかといえばそうでもありません。98歳以上のさらにその一部の人しか戦場を知りません。

つまり、第2次世界大戦の戦闘体験というのはこの世にほとんど残っていないということです。

②老人の記憶は信用できない

それに、90歳を超えるような老人の話を信じるのはとても危険なことです。一部では意識がはっきりしている方々がいるでしょうが、ほとんどは日常生活をこなすことで精一杯になるぐらいまで衰えています。そんな人の記憶の話を全て事実だと信じるのは非常に難しいです。

人間の記憶というのは頼り無いものであり、時間が経つごとに事実からは離れていきます。今生きている人から聞く戦争体験談とは78年分劣化した記憶の話なのです。本人が覚えていると言い張っても関係ありません。

③戦争体験談は又聞きにすぎない

今戦争体験として話している人たちの多くがやっていることは又聞きです。
「戦争の恐ろしさを語り継ぐ」と講演をしている老人たちの中には、戦争当時に生まれてすらいない人たちがいます。その人達が「語り継ぐ役目」があるなどと非常に宗教的で意味不明なこと大義名分にして又聞をまるで実体験のように話しているのは非常に大きな問題です。

戦争の話であろうとなんであろうと、又聞きとは「他人から聞いた話」です。本人の記憶の話ですら時間が経ってしまえば信用できないのに、さらに信用ならない又聞きを重宝するのは非常に危険です。

④事実でなければ戦争話であっても妄想にすぎない

戦争の話になったとたんに「事実かどうか」という観点が抜け落ちて、なんでもかんでも「貴重な戦争の話」とありがたがって聞くのはとても宗教的です。
なにが真実なのかと追求する姿勢を失った人が聞く体験談とは、感傷的になるために消費するコンテンツでしかありません。

⑤戦争体験談のほとんどが貧困体験談

戦争当時のほとんどの人がただの一般市民だったといういうことを忘れてはいけません。市民の戦争体験とは、多くの場合は貧困体験です。

「戦争当時は貧しかった」とか、「空襲が恐ろしかった」とか言っていますが、そういう話だったら78年前の頼りない記憶の話ではなく、今紛争地帯で苦しんでいる人を見ればいいでしょう。
そもそも78年前なら世界のほとんどの地域が貧しいし、食べ物が無くて苦しむ人たちは戦争に限らず世界中にいました。

⑥貧困体験談は戦争理解につながらない

貧困で苦しかった話を聞くことは戦争の理解には全くつながりません。78年前の人の体験話を聞いて世界平和を祈るとか、平和への思いを強くするとか言っている人たちは本当に意味不明です。

戦争・紛争は今現在世界各地で起こっているのに、78年前の戦争の話をまるで人類最後の戦争であったかのように聞くのはとても奇妙です。戦争について知るには第二次世界大戦というブランドがなくとも良いはずです。

⑦体験談は役に立たない情報

絶対に忘れてはいけないのは、体験談とは極端にバイアスが強い話で信用ならないということです。体験談を聞けば戦争のことがわかると思い込むのは間違いであり、非常に危険です。

理解した気になることは理解から最も遠いことだと忘れないでください。


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