マガジンのカバー画像

自作詩

25
ナルが書いた自作の詩のようなものたちです。読んでいただけたら成仏できます。
運営しているクリエイター

#夏

夜空に泡々

曹達に浮かんでは消える星々 次の星が消えたなら それから何度見送ったのか この店にはふたりきり 夜空の奥にきみが見える わたしより本が大事みたい こっち見てよ、話したいの また星が浮かんで消えた しゅわしゅわと消える星たちが この想いまで連れて行きそうで 今日言わなきゃ、その何度目かの今日に そ知らぬ顔ではじける曹達 曖昧なまま夏が終わりそう 蝉時雨と祭り囃子、壁に向日葵の刺繍 降り出しそうな夕立の前に 次の星がはじけて消えたなら ふたりの恋を、今はじめたいよ はじけ

乱反射

空色の瓶ラムネを 晴天に引き合わせる 乱反射する陽光が きみの笑顔に触れる 何年経っても夏は暑いまま ふたりは離れずにいるね 少しだけ微睡んできた恋心 それでも一緒がいい 登り坂、駆け上がる アオハルなんて言葉じゃ足りない ふたりが一緒にいるならば それだけが全ての日々 空色の瓶ラムネ 晴天に引き合わされて 乱反射した陽光と きみの笑顔に触れた どんな夏も冬も一緒にいよう 季節の果ての愛があるはず 少し微睡んできた恋心 それでも、ずっと一緒 空色の瓶ラムネ 心の温度を

泡を繕う

夏らしいことしたいね きみがそんなことを言うから わたしは泡を繕いはじめる サイダーの涼しさを 手の中でかたちにする 暑さを増していくばかりの夏に もういや!って言うよりも わたしたちは涼しいのよって 手の中の泡に触れる 一瞬の花火、サイダーの泡、蝉時雨 カメラよりもポップに残せたらいいと思わない? 喉を涼しくする、サイダーは通り雨 駆け抜けて、夏になる 夏らしいことしたいね ふたりエアコンの効いた部屋 私は泡を繕いはじめる サイダーの涼しさも ふたり生きていくこれからも

ブーゲンビリア

あなたの肩越しのブーゲンビリア 海風と喧騒、5時のチャイム 駅前の行列、頭の上にカラスアゲハ 古本屋のミステリ小説 結末は黒く塗りつぶされていて ふたり、大笑い あなたの頬に触れた日 風鈴と線香花火、8時のバラエティ 静寂と鼓動、てのひらの汗 駅前から響くレゲエミュージック なんだか気が抜けてしまって ふたり、キスをした ぼくがいないと寂しい?って訊く そんなの当たり前じゃない、ずっとそばにいて 甘い時間にブーゲンビリア いまはたったひとり いまはわたしひとり 寂しいっ