リゾートバイト体験記〜Kの子さんの奇行Vol.1〜

例のタイムカードの写真の件があっても、
Kの子さんと私はなんだかんだ上手くやっていた。


派遣同士、仕事の苦労や愚痴をこぼしあった。
やはり見知らぬ地で同じ境遇の仲間がいるのは心強い。


ある時、私は「歯ブラシ忘れちゃったんだよね…」とKの子さんに話した。

すると、彼女は「じゃあ、パートのおばさんに言ってみるね!貰えると思う!」と言ってくれた。

この日の業務は、わたしが仲居さんとして配膳、彼女は掃除だった。掃除中に備品から、こっそり歯ブラシを工面してくれるんだろう、ありがたい。
10円くらいの歯ブラシとはいえ、会社の備品だから、社長にバレないようにしないと…まあ、バレるわけないでしょ。業務も備品整理もガバガバだし。などど、軽く考えていた。




その日の業務終わりは午後10時。
へとへとに疲れていた。タイムカードを押そうと、手を伸ばした。

Kの子さんに歯ブラシを頼んでいたことは、すっかり忘れていた。

いや、その場で鮮明に思い出した。



歯ブラシが刺さっていたから。

タイムカードに。社長の机の目の前に置いてあるタイムカードに。

マジックで、大きく、袋に「みくちゃん」と書かれた歯ブラシが。


なぁあああんでだよぉおおおおおおおお、なぁああんでそこに刺す!?





後日、私は社長に呼び出された。会社の備品を勝手にとるなと。(当たり前だ)

Kの子さんの方がめちゃ怒られたらしい。(社長曰く元凶はそもそもあなただと。)(いや、私が悪い。)

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