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年末年始雑記(2022→2023)


 オフィス

 仕事納め。午後からみんなで大掃除をした。
 いい加減にやってぼんやりして誤魔化そうと思っていたのにみんなちゃんとやるからちゃんとやった。
 最後は同期の女と一緒に、白い壁を激落ちくんでこすった。こすった跡を見ながら彼女が「これむしろ汚れ広がってません?」と言った。なるほど引きで見たら広がっているように見える。水拭きをしたら綺麗になった。
 少し離れた箇所を同期の男がこすっていた。「千葉さん、どうですか?」と聞かれたので「水拭きした方がいいかも」というと彼はさっきの我々と同じように雑巾を濡らしに行った。彼が素直に言うことを聞いたので私はわずかにサディスティックな快感を覚えた。それにしてもどうして彼らは敬語で話すのだろう。
 会社を出てその足で新幹線に乗った。

 

 地元の駅に降り立つのは3月以来のことで、4月に就職したから私はすっかり東京に染まっているはずだった。にもかかわらず、このさびれた場所にはつい先月も来たかのような妙な感覚を覚えた。

 

    私の布団がないので毛布を3枚重ねで寝ることになる。なぜ布団がないかというと、猫がおしっこをしたからである。

 祖母

 父方の祖母に会う。
 この人はもう80を過ぎているはずだが非常にかくしゃくとしておりサッパリとした気質で若々しい。ただ近年は一日中「時代劇チャンネル」をつけっぱなしにしているらしく、さすがに歳をとったのだなと思う。
 祖母はよく本を読むのだが、ラインナップが東野圭吾だったり浅田次郎だったり宮部みゆきだったり、まぁ人気作家だ。あと直木賞や芥川賞受賞作あるいは候補作もよく買ってるようで、要するに結構ミーハーな読書をする。尾崎世界観の『母影』があったのにはびっくりした。「私にはよくわからなかった」と言っていた。こんな発言は前にもあった。よくわからないと言いながら祖母は、話題の本を買い続けている。

新聞

    妹もよく本を読むが、不可解なのは新聞は全く読まないという点だ。
    私は帰省した時はちゃんと新聞を読む。自分ではとってないが新聞は好きだ。ところが妹は新聞に拒否反応を示し、全く読まない。読むべきだと思うが、新聞特有の文体や段組みが合わないのかもしれない。私は二段組の本が苦手だ。それだったら上下巻に分けてもらっていい。いくら好きな作家でも全く頭に入らない。

加山雄三

    紅白で加山雄三を見る。純粋に良いステージだと思ったが、一方でもうこんなに歳をとったのだなと思った。

ジャニーズ

    ジャニーズのカウントダウンライブを見る。マリウスも神宮寺もジャニーズではなくなってしまう。
    神宮寺くんは単に「同い年だから」という理由で好きなのだが、初めて知ったのは10年以上前だった。肺炎で入院した時、親戚が雑誌を持ってきてくれて、それで見たのだった。
    ジャニーズJrという存在も初めて知った。私は、同い年でこんな顔の綺麗な男の子がいるのだと思った。そして10年は過ぎた。一般の地味顔も王道アイドルも同じ10年を生きて歳をとった。
 
雑煮

    母が大量に作った雑煮の汁が、冬なのにすぐだめになってしまった。
    「雑煮もうだめかも。なんかちょっとすっぱい」と母が言った。一口飲んでみると確かにすっぱかった。非常に残念だった。
    私が雑煮を好きだから大量に作ってくれたのだろうと思う。しかし一方で、例年こんなにも大量に作ってたっけ?とも思った。

友人

    友人たちとあけおめLINE。しかし1人の友人から何も返ってこない。
    以前は驚くほど返信が早かったのだが、去年の秋頃から、何日もしないと返ってこないようになった。
    彼女は休職し、お母さんと一緒に大阪で暮らしている。そこに至るまでには難しい事情があった。また働き出して忙しくなったわけではない気がする。あまり、スマホを見たくないのかもしれない。
    友人も芸能人もみんな変わっていく。

つまらない犯罪

    新聞を読んでいると、この時期に近くで事件があったという記事があり驚愕した。現場はよく知っている場所だった。
    容疑者は私と同い年だった。まさか同級生か!?と思ったが知らない奴だった。私や神宮寺くんが中学生高校生の頃、こいつも中学生高校生だったはずなのに、というのは変な言い方だがつまりは、こんな大人になったのか、みたいな嫌な感じがした。
    ちなみに私の同級生にも、もっとつまらない犯罪でニュースになった奴がいる。
 
変化

    2022年はなんだかたくさんの著名人が死んでいった気がする。これも新聞だが、2022年亡くなった人々の特集記事の一番最後に「あき竹城」と書いてあったのにはさすがに参った。極力ネットニュースは見ないようにしているので知らなくてショックだった。

    年末年始は面白おかしく過ごせたが、有名無名問わず知ってる人間の変化についていけない自分がいい加減きついなとも思った。私には、そういうところがあった。亡くなった著名人、結婚した芸能人、離婚した芸能人、デキ婚した友達、育っていくその子供、返信が遅くなった友達、新しいアイドル、卒業するアイドル、事務所を辞めるアイドル、明らかに歳をとった親戚たち、明らかに歳をとった芸能人、明らかに大きくなったイトコたち。
    それらにいちいち心を動かされ、疲れてしまう自分がいたが、年末年始で初めて自覚したように思う。いつまで私はこうなんだ。

 これがいわゆる心理的ホメオスタシスというものなのかもしれない。しかしよく考えれば、私自身も相当変わったはずだった。
 たとえば子供の頃はお泊まりの行事が不安で、すぐホームシックになっていたのに今では東京で一人暮らしをしている。価値観だってそうだ。完璧主義だったのにだんだん力が抜けてきた。私の中にホメオスタシスがあったとしても関係なく、いつの間にか私自身も相当変わっている。
 だから他人を見すぎる必要はないのだった。

 他人を見すぎてしんどいなら、自分がもっと変わっちゃえばいいのだ。今年はどんどん新しいことをして、見た目とかも変化していきたい。もちろん無理せず焦らずに。


【今日のおすすめの一曲】

ザ50回転ズ「Vinyl Change The World」

 あのー私、ロックバンドってやっぱり4人だろみたいなところがあるのですが、50回転ズを聴くようになって今更思いました。スリーピースのボーカルって凄すぎね?弾きながら歌う、かつ自分以外に弾いてくれる人いないって、負担パないよ!
 ボーカルのダニーさん、他の動画を見てみるとまぁ喋る喋るw 下手な芸人よりよっぽど喋るし面白い。これくらいエネルギー溢れる方じゃないと務まらないよなぁと感心しております。
 これは「レコードの魔法」にリスナーをいざなう曲になっています。すごく温かいし、2番Bメロ「君みたいだね〜♪」のくだりが気がきいていると思う。今どき馴染みのないレコードと人間との繋がりをここで作ってくれてるというか。
 MVの監督は俳優としても活躍中の渡辺大知くん(黒猫チェルシーも大好きなバンドです)。




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