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しおりの小説の書き方講座⑥「プロット実践編!」

こんにちは、しおりです!

前回は、「プロットとは何か」について説明しました。
小説の一側面に、「ストーリー」と「プロット」がある。ストーリーは「何が起こったか」、プロットは「なぜ起こったか」の大枠に分けられるという話をしました。
作家は、基本的にはストーリーを伝えることに尽力し、物語をおもしろくするためにプロットを用いる。
でも、「どうやってプロットを書けばいいの?」という話はまだおざなりになっていたというわけです。

そこで!
実はもっと理論的な話をしようと思ったんですが、ガツンと! 今回、実践編に移りたいと思います。
どうやってプロットを書いていくのか――の、私なりの実践を、今回は示していこうというわけです。
それを説明するため、今回は、私の、比較的構造が分かりやすい小説を用意しました。ウェブ小説向けに書いたので、演出がちょっとわざとらしいかもしれません(笑)

https://ncode.syosetu.com/n1624gb/
「幼馴染さん、なんでもいいから、ほんと、幸せになって?」
読了時間はだいたい10分くらいだと思います。4000字です。

――

読んでくださったでしょうか。
読んでないよ、という方も、この記事は読めますので、ご安心を――。

早速、プロットの話をしていきます。
プロットを書くにあたって、確認すべきはまずプロットが「なぜ起こったか?」に対する答えだった――ということです。
先にプロットを書くということは、実は、その答えに先回りして答えるということになります。そこで、まずは、

なぜその物語を書くのか――?

ということを明らかにしなければなりません。
例えば、「好きなものを具現化したかったから」とか、「みんなに教えたかったから」とか、そんな答えでもいいと思います。
ここで答えたプロットは、「極大プロット」とでも名付けておきましょうか――これは、書き始めたら絶対に変えてはいけないプロットになります。

実は、先の作品では、この極大プロットはほとんど決まっていました。というのも、「幼馴染をハッピーエンドで書く」と、お題が決まっていたからです。
この場合、「なぜその物語を書くのか」という質問には、「幼馴染の良さを伝えたい」という形で答えられます。私の極大プロットはこれで決定です。

次に問題になるのは、「じゃあ、なんで幼馴染を伝えたいの?」というところです。つまり、「幼馴染とは何か」――という問いに通じます。
これは、「好きなものって何?」とか「何を教えたいの?」という問いにも通じます。これに対する答えが、「大プロット」とでも呼んでおきましょう。
ここまで書いて、なんとなく察しがついたと思いますが、プロットは、階層をなすんですね。「なぜ起こったか」の下に更に、「なぜ起こったか」が現れる。
例えば、「犯人が人を殺した」というストーリーに、「犯人に殺意があったから」「その人にいじめられていた」「いじめの中で、逃げられない環境下に追い込まれていた」という風に、プロットをどんどん掘り下げていくようになるわけです。
プロット自体にこのような性質があるため、プロットを自ら作っていくときも、階層で作っていけば、上手くいくのではないか――と言う寸法ですね。

さて、今回の「大プロット」ですが、「幼馴染」がなんなのか――といったところの特徴を上げていけばいいということになります。残念ながら私には、幼馴染というものがいなかったので、私に足りなかったもの――をあげていくことになりますね……。
「気の置けない仲」「その人にしかない過去の思い出」「友情と恋愛の間の揺らぎ」などなど――挙げてて哀しくなってきました。ハァ――マジか。
今回は短篇小説のつもりだったので、ここらへんでいいでしょう。私の「大プロット」は「気の置けない仲で、その人との大事な過去があって、友情と恋愛の間を揺らいでいるような淡い関係」を描き出す――と言うイメージです。

(※ただ、今回はのっけから、カップルという設定にしたので、「友情と恋愛の間の揺らぎ」は盛り込むことができませんでした。
大プロットは、多少の加減はしてもいいと思います。下になればなるほど、自由度が高くなっていきます)

大プロットが終わったら、次は「中プロット」に移ります。多分、中プロットが、普段大勢の人が言っている「プロット」に近くなるのではないでしょうか。
つまり、私たちは以前なら、中プロットからいきなり書き始める――というわけだったんです。ですが、今の私たちには「極大プロット」と「大プロット」があるわけです。この二つをもう一回見比べて、いったん深呼吸してみましょう。「幼馴染の良さを伝えたい!」――そうかそうか、今の私は、幼馴染の良さを伝えたいのか。伝えなきゃな――伝えましょう。

すると、どんな場面だと、それを伝えることができるようになるでしょうか。「その人との大事な思い出」を語れる場所――最初、私はやっぱり「家デートかな?」って思ったんです。二人の家族とも、仲良くご飯を食べて……んん~、幼馴染っぽい!
でも、ダメだと思ったのは、一つ、この話が短篇だったんですよね。短い構成で、家族団らんのシーンはちょっと刺激が足りないかなあ――と(純文学だったらこれでもよかったんですが、今回はウェブ小説向けだったので)。
それで、じゃあ、二人を危機的状況に押し込めば、「大事な思い出」が際立って感じられるようになるかなあ――と言うことで考えたのが、カップルの片っぽの告白のシーンだったんですね。突然の告白に男はどうでるのか――女の方は、ドギマギしちゃって不安でしょうがない。(女主人公なのは、私が単に書きやすかったからです(笑))

中プロット一つが完成しました。「片っぽの告白シーン」です。それを「隅っこで見守る」というのは、数珠つなぎで思いつきました。
なので、次は「見守ってて何をするか――」だったんですけど、これは、大プロットの「その人との大事な過去」から派生して、「幼馴染との回想シーンを入れる」というところに落ち着きました。

回想シーンかあ――すぐには思いつかなかったので放置です。まあ、内容は書いてて思いつくでしょう。ということで、あともう一つは、大プロットの「気の置けない仲」の演出です。
まあでも、これも、随所に入れていけばいいか――ということで、これも放置しました。実際には「ミニスカートが嫌い」というエピソードと、男が「この様子だと、君を殺し屋かなんかだと思ったんだろうぜ」などと言い当てるシーンなんかで、まあ演出できたかなあと思います。ちょっと弱かった可能性もありますが、わざとらしくなるよりはマシでしょう……。

ここまでボコボコ出したところで、まとめておきます。「男が告白されているシーン」を「女主人公が傍から見守」りながら、妄想を開始して回想シーンに突入する。
告白なので、女が「好きです!」という場面を、起承転結のうちの転の部分に入れたらいいだろうなあと漠然と考えれば、その後のオチは、主人公が止めに入って、幼馴染と男のいちゃいちゃでハッピーエンドかなあ、くらいまで決まっちゃいました。
ここまで書き出せて、ちょちょっとまとめれば、プロットはほとんど完成です。後は、「回想のシーン」を大雑把に決めて、その展開を具体的に決めていけば、ほとんど、真っ先に書くプロットとしては、完成と言っていいでしょう。

「先にプロットを書くこと」の利点の一つに、書く前に、どんな話を書くのか、あらかじめ伝えられるということがあります。
例えば、誰かに「こんな話を書いてみようと思うんだけどどうかな」ということを質問するために、その作品のストーリーではなく、プロットを説明する。
例えば私の作品であれば、「幼馴染の彼氏が女の子に告白されているところを物陰から目撃しながら、ひたすら妄想する話を書きたい!」と伝えられるというわけですね。これがおもしろいかどうかわかりませんが――多分、「ひたすら妄想」の内容を話せと言われる可能性はありますが――ストーリーをもくもくと話すよりも、断然魅力があって、また、その作品の個性を主張できるんですね。
このように、プロットを書く練習はしておいて損はないということです。

ですが……このようにプロットを決めても、いざ作品を書き始めようと思っても、全然プロット通りにいかない――なんてことがあるんですね。
実は、プロットには数々の落とし穴があるのです……そこら辺を、次回は説明していきたいと思います。私の作品をもっと具体的に切り刻んでいこう。

ではっ、次回また!

落葉しおり

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